あいつが帰ってくる!
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「剣城と天馬がいるだろ。こいつらは足も速いし、何よりも化身が使えるじゃないか」
「ああ、なるほど!」
「でも倉間、お前はどうすんのよ」
倉間の提案に速水も納得するが、雷門のFWである彼がどうするのかと浜野が尋ねると、倉間はフッと笑った。
「囮になる。ディフェンスを中心に引きつければ、こいつらも攻めやすくなるだろ」
「倉間先輩……!」
「勘違いすんな。勝つためには、それが一番いいと思っただけだ」
一年である自分たちに任せてもらえることに天馬は嬉しそうに顔を向けると、倉間は少し睨むように一蹴した。それに天馬は苦笑するしかない。
――屋内グラウンドに移動し、さっそく必殺タクティクスの練習に入ることになった。円堂が開始のかけ声を上げる。
「絶対障壁を破る必殺タクティクスを、試合までに完成させるんだ!」
「「「「「はい!」」」」」
「よし来い!」
「だド!」
「いくぞ」
「あっ、うん!」
準備万端だと構える車田剛一と天城。センターラインから剣城と天馬が足を踏み出すとホイッスルが鳴った。最初にドリブルするのは剣城だ。
「止めるぞ!」
「よーし!」
神童と霧野と一乃七助が、三人で剣城を止めにかかった。さすがにキツいのか剣城はサイドに向かってボールを蹴ると、倉間と青山俊介を突破した天馬がパスを受け取ってドリブルする。
「かわせるかな~?」
「ボールはもらうよ、天馬!」
「そんな、いきなり……!」
ピ――ッ!
「ダメでしょ! ラインの外に出ちゃ!」
「あっ、はい!」
迫り来る浜野と信助に戸惑った天馬がボールをキープすると、ホイッスルが鳴って春奈から叱咤を受けた。足元を見れば確かに半歩ラインの外に出ている。
(思った以上に難しいぞ、この必殺タクティクスは……!)
俊足や決定力だけでなく、ディフェンスに対する咄嗟の判断力も必要になって来るだろう。天馬はそれを直にやることで痛感した。
「でも、乗り越えられない壁なんてない!」
あきらめずに練習を続けるが、結局今日は進展がなく解散することになった……。
☆☆☆☆☆
夜――吹雪は打ち合わせも兼ねて円堂家に泊まることになり、瑞貴の手料理を食べた。普段なら就寝時間でも、円堂と吹雪はもう少し話をするために起きて、朝が早い瑞貴は先に休むことにした。
「じゃあ私は先に寝るね」
「ああ」
「おやすみ、瑞貴ちゃん。久々の瑞貴ちゃんの手料理、おいしかったよ」
「フフッ。ありがとう、士郎。おやすみ、二人共」
瑞貴がリビングから出て部屋に入った音を聞くと、吹雪はコーヒーをひと口飲んで向かいに座っている円堂に顔を向ける。
「ありがとう、円堂くん」
「ん?」
「いきなりこんな話を持ち出して来たのに、快く受け入れてくれて」
「いや、決めたのはあいつらだ。それに俺だって放っておくことはできないさ」
「そっか……」
円堂のその言葉に吹雪は懐かしさを覚えた。雷門中に頼ったのは対戦校で革命を目指しているからだけじゃなく、かつて自分たちを引っ張ってくれた、最高のキャプテンと副キャプテンがいるチームだからというのもあるのだ。
「瑞貴ちゃん、円堂くんと一緒にいられて嬉しそうだね」
「……お前、まだ瑞貴のことを?」
「うん。――好きだよ。僕の気持ちはあの頃と変わっていない」
真っ直ぐに向けて来るその瞳は、確かに嘘偽りもなかった。だからこそ質(タチ)が悪いと円堂は苦笑する。
「お前といい鬼道といい、あきらめが悪いな」
「当たり前だよ。……異世界から来たせいかわからないけど、瑞貴ちゃんは不思議な魅力を持っている」
「…………」
「暖かくて優しくて……でもどこか儚い。だけど瑞貴ちゃんだからこそ惹かれるし、守ってあげたくなるんだ」
「吹雪……」
「あの笑顔が失うのを僕は見たくない。僕は――僕らは君だからこそ託せたんだよ、円堂くん。瑞貴ちゃんが一番信頼して心を許している君に」
「ああ……わかっている……」
円堂だって吹雪たちの気持ちにずっと知らなかった訳じゃなかった。当時のマネージャーたちと瑞貴に対する空気が違うことになんとなく気づいていたし、両想いになって結婚式でも彼らの当たりが強かったことも覚えている。
「ああ、なるほど!」
「でも倉間、お前はどうすんのよ」
倉間の提案に速水も納得するが、雷門のFWである彼がどうするのかと浜野が尋ねると、倉間はフッと笑った。
「囮になる。ディフェンスを中心に引きつければ、こいつらも攻めやすくなるだろ」
「倉間先輩……!」
「勘違いすんな。勝つためには、それが一番いいと思っただけだ」
一年である自分たちに任せてもらえることに天馬は嬉しそうに顔を向けると、倉間は少し睨むように一蹴した。それに天馬は苦笑するしかない。
――屋内グラウンドに移動し、さっそく必殺タクティクスの練習に入ることになった。円堂が開始のかけ声を上げる。
「絶対障壁を破る必殺タクティクスを、試合までに完成させるんだ!」
「「「「「はい!」」」」」
「よし来い!」
「だド!」
「いくぞ」
「あっ、うん!」
準備万端だと構える車田剛一と天城。センターラインから剣城と天馬が足を踏み出すとホイッスルが鳴った。最初にドリブルするのは剣城だ。
「止めるぞ!」
「よーし!」
神童と霧野と一乃七助が、三人で剣城を止めにかかった。さすがにキツいのか剣城はサイドに向かってボールを蹴ると、倉間と青山俊介を突破した天馬がパスを受け取ってドリブルする。
「かわせるかな~?」
「ボールはもらうよ、天馬!」
「そんな、いきなり……!」
ピ――ッ!
「ダメでしょ! ラインの外に出ちゃ!」
「あっ、はい!」
迫り来る浜野と信助に戸惑った天馬がボールをキープすると、ホイッスルが鳴って春奈から叱咤を受けた。足元を見れば確かに半歩ラインの外に出ている。
(思った以上に難しいぞ、この必殺タクティクスは……!)
俊足や決定力だけでなく、ディフェンスに対する咄嗟の判断力も必要になって来るだろう。天馬はそれを直にやることで痛感した。
「でも、乗り越えられない壁なんてない!」
あきらめずに練習を続けるが、結局今日は進展がなく解散することになった……。
☆☆☆☆☆
夜――吹雪は打ち合わせも兼ねて円堂家に泊まることになり、瑞貴の手料理を食べた。普段なら就寝時間でも、円堂と吹雪はもう少し話をするために起きて、朝が早い瑞貴は先に休むことにした。
「じゃあ私は先に寝るね」
「ああ」
「おやすみ、瑞貴ちゃん。久々の瑞貴ちゃんの手料理、おいしかったよ」
「フフッ。ありがとう、士郎。おやすみ、二人共」
瑞貴がリビングから出て部屋に入った音を聞くと、吹雪はコーヒーをひと口飲んで向かいに座っている円堂に顔を向ける。
「ありがとう、円堂くん」
「ん?」
「いきなりこんな話を持ち出して来たのに、快く受け入れてくれて」
「いや、決めたのはあいつらだ。それに俺だって放っておくことはできないさ」
「そっか……」
円堂のその言葉に吹雪は懐かしさを覚えた。雷門中に頼ったのは対戦校で革命を目指しているからだけじゃなく、かつて自分たちを引っ張ってくれた、最高のキャプテンと副キャプテンがいるチームだからというのもあるのだ。
「瑞貴ちゃん、円堂くんと一緒にいられて嬉しそうだね」
「……お前、まだ瑞貴のことを?」
「うん。――好きだよ。僕の気持ちはあの頃と変わっていない」
真っ直ぐに向けて来るその瞳は、確かに嘘偽りもなかった。だからこそ質(タチ)が悪いと円堂は苦笑する。
「お前といい鬼道といい、あきらめが悪いな」
「当たり前だよ。……異世界から来たせいかわからないけど、瑞貴ちゃんは不思議な魅力を持っている」
「…………」
「暖かくて優しくて……でもどこか儚い。だけど瑞貴ちゃんだからこそ惹かれるし、守ってあげたくなるんだ」
「吹雪……」
「あの笑顔が失うのを僕は見たくない。僕は――僕らは君だからこそ託せたんだよ、円堂くん。瑞貴ちゃんが一番信頼して心を許している君に」
「ああ……わかっている……」
円堂だって吹雪たちの気持ちにずっと知らなかった訳じゃなかった。当時のマネージャーたちと瑞貴に対する空気が違うことになんとなく気づいていたし、両想いになって結婚式でも彼らの当たりが強かったことも覚えている。