甦れ! 俺たちのサッカー!!
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「円堂監督。――俺の初恋の人を奪った罪は重いですからね。幸せにしなきゃ承知しませんよ」
「「「「「え…ええぇぇえええ!?」」」」」
南沢の初恋の人を初めて聞いたので、雷門中サッカー部全員だけじゃなく瑞貴本人も円堂も鬼道も春奈も驚いた。
「あ、篤志くん!? 何言って! てか、私と守のこと……!」
「気づいていないと思ったんですか? バレバレですよ。改めて、ご結婚おめでとうございます」
「「なっ……!?」」
その言葉で円堂と瑞貴はさらに驚いた。しかし当の本人である南沢は、最後に瑞貴に向けて一礼すると月山国光の元へ戻る。……気になって会話を聞いていた彼らも物凄く驚いた顔をしていたが。
「いくぞ!」
近藤の号令で月山国光は規律正しく退場して行く。そんな彼らを観客は惜しみない拍手で見送るのだった。
(これでもう、フィフスセクターには戻れぬな)
ただでさえ試合に負けたのだ。見捨てられてもおかしくないだろう。しかし近藤を始め月山国光はフィフスセクターに懇願する気も戻る気もない……――本当のサッカーを知ることができたのだから。
和解したあとの空気の中、狩屋だけは面白くなさそうにしている。
「なんだよあいつら、ケンカしてたんじゃなかったのかよ。しかもあの先輩、瑞貴姉さんに手ぇ出しやがって……!」
「狩屋」
最後の台詞は拳を握り締めながら言っていたが、そんな彼に声をかけたのは霧野だった。
「ありがとう、信じてくれて」
「信じる? 別に信じていたわけじゃないですよ」
「わかってる。お前は勝ちたかった、それだけだよな。でも俺にはわかるんだ……お前がサッカーを好きだってこと」
「っ!」
初めて狩屋が微かに反応を見せた。しかしそれを隠すようにニヤリと笑いながら霧野を見る。
「いいんですか、そんなこと言って。俺はシード……今度は何をするかわからないですよ」
「お前はシードじゃない」
「!」
今まで疑っていたのに、この試合で霧野は狩屋への認識を改めることができた。何もかもが予想外過ぎて、狩屋は少し気まずくなったのか、再び挑発するように言う。
「……後悔しても知らないですよ」
そう言って立ち去った狩屋。しかし霧野は『あれが狩屋マサキなのだ』と呆れるように苦笑したのだった。……それを見た円堂と瑞貴も、顔を見合わせて頷いた。
☆☆☆☆☆
夕方になり雷門中でミーティングも終えたサッカー部のみんなも下校した。しかしそこへ私服姿の女性が旧部室の前に現れて、看板に優しく手を当てる。
「もういらしてたんですか!」
「お待たせ、瞳子義姉(ネエ)さん!」
ボールを持った円堂と共に駆け寄った瑞貴は嬉しそうだ。女性は吉良瞳子――元雷門中サッカー部の監督であり、瑞貴が姉のように慕っている存在だ。
「ごめんなさいね、円堂くん、瑞貴。狩屋くんのこと、いきなり頼んじゃって」
「いえ。あいつみたいなサッカー好きは大歓迎ですよ」
「私の弟子でもあるからね。久しぶりに一緒にサッカーできて嬉しいよ」
「口は悪いけど、蹴るボールは優しいんです……。ボールから優しさが伝わってくるんです……」
円堂は持っていたボールを両手に取ると、それを見ながら狩屋のこれまでのことを思い返した。口の悪さとは裏腹に、プレーは素直で真っ直ぐなのだ。
「あの子がお日さま園に来たのは、十一歳のときだった……」
瞳子が狩屋との出会いを、円堂と瑞貴に話し始める。
――二年ほど前の雨の中、お日さま園の瞳子の元に男性から連れて来られたのが狩屋だった。狩屋の親は騙されて会社を倒産に追い込まれ、それが原因で人を信じられなくなり、誰とも溶け込めずにいた。
「「「「「え…ええぇぇえええ!?」」」」」
南沢の初恋の人を初めて聞いたので、雷門中サッカー部全員だけじゃなく瑞貴本人も円堂も鬼道も春奈も驚いた。
「あ、篤志くん!? 何言って! てか、私と守のこと……!」
「気づいていないと思ったんですか? バレバレですよ。改めて、ご結婚おめでとうございます」
「「なっ……!?」」
その言葉で円堂と瑞貴はさらに驚いた。しかし当の本人である南沢は、最後に瑞貴に向けて一礼すると月山国光の元へ戻る。……気になって会話を聞いていた彼らも物凄く驚いた顔をしていたが。
「いくぞ!」
近藤の号令で月山国光は規律正しく退場して行く。そんな彼らを観客は惜しみない拍手で見送るのだった。
(これでもう、フィフスセクターには戻れぬな)
ただでさえ試合に負けたのだ。見捨てられてもおかしくないだろう。しかし近藤を始め月山国光はフィフスセクターに懇願する気も戻る気もない……――本当のサッカーを知ることができたのだから。
和解したあとの空気の中、狩屋だけは面白くなさそうにしている。
「なんだよあいつら、ケンカしてたんじゃなかったのかよ。しかもあの先輩、瑞貴姉さんに手ぇ出しやがって……!」
「狩屋」
最後の台詞は拳を握り締めながら言っていたが、そんな彼に声をかけたのは霧野だった。
「ありがとう、信じてくれて」
「信じる? 別に信じていたわけじゃないですよ」
「わかってる。お前は勝ちたかった、それだけだよな。でも俺にはわかるんだ……お前がサッカーを好きだってこと」
「っ!」
初めて狩屋が微かに反応を見せた。しかしそれを隠すようにニヤリと笑いながら霧野を見る。
「いいんですか、そんなこと言って。俺はシード……今度は何をするかわからないですよ」
「お前はシードじゃない」
「!」
今まで疑っていたのに、この試合で霧野は狩屋への認識を改めることができた。何もかもが予想外過ぎて、狩屋は少し気まずくなったのか、再び挑発するように言う。
「……後悔しても知らないですよ」
そう言って立ち去った狩屋。しかし霧野は『あれが狩屋マサキなのだ』と呆れるように苦笑したのだった。……それを見た円堂と瑞貴も、顔を見合わせて頷いた。
☆☆☆☆☆
夕方になり雷門中でミーティングも終えたサッカー部のみんなも下校した。しかしそこへ私服姿の女性が旧部室の前に現れて、看板に優しく手を当てる。
「もういらしてたんですか!」
「お待たせ、瞳子義姉(ネエ)さん!」
ボールを持った円堂と共に駆け寄った瑞貴は嬉しそうだ。女性は吉良瞳子――元雷門中サッカー部の監督であり、瑞貴が姉のように慕っている存在だ。
「ごめんなさいね、円堂くん、瑞貴。狩屋くんのこと、いきなり頼んじゃって」
「いえ。あいつみたいなサッカー好きは大歓迎ですよ」
「私の弟子でもあるからね。久しぶりに一緒にサッカーできて嬉しいよ」
「口は悪いけど、蹴るボールは優しいんです……。ボールから優しさが伝わってくるんです……」
円堂は持っていたボールを両手に取ると、それを見ながら狩屋のこれまでのことを思い返した。口の悪さとは裏腹に、プレーは素直で真っ直ぐなのだ。
「あの子がお日さま園に来たのは、十一歳のときだった……」
瞳子が狩屋との出会いを、円堂と瑞貴に話し始める。
――二年ほど前の雨の中、お日さま園の瞳子の元に男性から連れて来られたのが狩屋だった。狩屋の親は騙されて会社を倒産に追い込まれ、それが原因で人を信じられなくなり、誰とも溶け込めずにいた。