恐怖のサイクロンスタジアム!

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「なんだい?」

「大丈夫? やっぱり霧野先輩にシードの話を……」

「いや、気にしてないよ……――っ!」


それだけで去ろうとした狩屋だが、何か思いついたようで立ち止まる。


「ホントは、気にしてるかな……」

「俺、霧野先輩に言おうか? 狩屋は絶対にシードじゃないって」

「いや、いいよ。こういうのってプレーで証明するしかないからさ」

「そうか! よし、後半も頑張ろう!」


天馬がベンチへ向けて駆け出す背中を狩屋は少々驚きながら見届けてニヤリと笑うと、自身もベンチへ向かう。


「変な奴……全然疑わねぇもんな」


円堂から後半の指示が伝えられることになり、選手たちは全員輪になるように集まる。


「後半、車田は信助と交代だ」

「俺ですか?」

「竜巻を利用する月山国光からボールをカットするには、信助のジャンプ力が有効だからね」

「わかりました。頼むぞ、信助!」

「はい! がんばります!」


月山国光の甲斐がやったように、雷門中でジャンプを得意とする信助が必要だと瑞貴も判断したのだ。


「それから、霧野」

「はい!」

「後半、お前もベンチに下がれ」

「なっ!?」


円堂からの指示に霧野はショックを受けた。今まで何度もディフェンスに貢献していた霧野が下げられることに神童は疑問に思う。


「霧野はディフェンスの要です。それを下げるなんて――」

「いいな、霧野」

「……はい」


納得できないと思っても円堂は神童の言葉に耳を貸さないで告げた。だから霧野は受け入れる他ない。


「では、監督。誰と交代を?」

「「!」」


顔をうつむける霧野を目にして、神童は交代選手が誰かと問いかけると一乃と青山に緊張が走った。だが――。


「後半は、この十人で戦う!」

「「「「「ええっ!?」」」」」

「十人!?」

「十人、ですか?」

「以上だ。みんな、後半に備えろ」


人数はちゃんといるのに円堂は一人足りないまま戦うと告げる。青山や天馬たちも驚くが円堂はそれ以上告げることなかった。

マネージャーが各自にドリンクとタオルを渡す中、葵は狩屋にドリンクを手渡しながら声援を送る。


「後半、がんばってね!」

「ありがとう」

「――監督、狩屋は残すんですか?」


急な霧野の声に葵は不思議に思って顔を向け、天馬も黙ってそれを見る。

霧野が一番気になっているのは狩屋の存続だ。自分を差し置いて後半も続けて出る彼のことを円堂や鬼道に言うが……。


「そうだ」

「どうして!?」

「人のことはいい。前半のお前のプレーはかなりのムラがあった。結果としてそれはチームの連携を乱す」

「乱しているのはあいつのほうです。あいつは……」


霧野が一度別の場所で記録をつける瑞貴に目線を向けたのは、瑞貴が狩屋と古い仲だからだろう。しかし言わずにはいられない。


「あいつは、シードかもしれないんですよ!?」

「どうしてそう思う?」

「あいつは嘘を付くんです……。嘘でチームの内部崩壊を狙ってるんです……!」

「ハァ……頭を冷やせ」

「なっ……!? わかりました……」


円堂に溜息をつかれたばかりか、信じてもらえないことに霧野はショックを受けて渋々と引き下がった。

ベンチに座った霧野の前に天馬は立って、狩屋について思うことを言う。


「霧野先輩。俺、狩屋はシードじゃないと思います。あいつ、『プレーで証明する』って言ってました」

「それなら証明してもらおうじゃないか。俺はここから見ているからな……少しでも怪しい素振りがあれば、許さない」


霧野は顔をうつむきながらも、狩屋を睨み付けるように見ていた。まるで一挙一動の全てを逃さないというように。
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