イナズマイレブンGOVSダンボール戦機W
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フラウ・ア・ノートリアスの一室で、モニターとしても使っていた水晶玉に乗ってフランは過去を夢に見ていた。
フランたちの世界は科学が発達している代わりに戦争の真っ只中で、その影響か『セブンス』と呼ばれる能力が近年の子供たちに宿り始めた。それがフランにも宿り、両親はフランの異変を知り医者の紹介で『能力開発研究所』という場所に預けた。そこではフランと同じ能力を持つ子供たちが集まり、力を正しく使えるようになったら両親の元へ返す……そう言われていたからだ。
しかし本当は違う――研究所では子供たちに過酷な実験をし、戦争となった世の中に兵器として運用するのが目的だったのだ。その中でフランはアスタやサンや他の子供たちより飛び抜けており、研究者たちに期待を寄せていた。もちろん兵器としての……。
『どこへ逃げた!?』
『どうせ、この施設からは逃げられない。施設内をしらみつぶしに探すぞ!』
そんな中、フランは耐えきれずに部屋から脱走した。しかし施設からは出られないので物陰に身を潜めるしかない。
『まだ見つからないとはな』
『まったく、なんとういう失態だ!』
『あの子の力を使えば戦争に勝利できるというのに……。もし敵の手に渡るぐらいなら――殺すしかない』
あまりにも身勝手な研究者たちの言葉に、フランは怯えるしかなかった。
「――……フラン、フラン」
アスタが何度も呼びかけたのでフランは目を覚ました。誕生日会の記憶と違って思い出したくもない記憶の夢を見たのだ。
「夢を見ていたわ……」
「姉さん、奴らが来るよ」
サンの報告にフランはもう一度目を閉じ、開いたときには鋭い目をしていた。
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雲を抜けた先にあった目的地は、周りに小さな島がいくつかあり中央には塔がある。これが座標G223――カトンナディア諸島だ。
「パリの凱旋門、ローマのコロッセオ、エジプトのピラミッド……本来なら同じ諸島に集まらないのに……」
「磁場を中心に各地の遺跡が……」
「これも彼女の秘めた力なのかもしれないデヨ。いったいこの世界をどうしようというのか……」
お互いの機体を通信で繋げているので会話がわかっている。瑞貴も宇崎もオタクロスも、フランの力の奥深さや狙いがわからずにいた。
そして目指す中央の塔――カオスタワーを両機体は全体を見るために旋回しながら上空へ行って着陸した。全員降りると、神童や天馬たちは奥にある頭の中へ続く通路を前にする。
「フランたちは、本当に悪い奴なんでしょうか?」
「僕もわかります、それ……」
「ヒロくん……」
天馬やヒロの脳裏に浮かぶのはフランと過ごした時間――短い間だったがカレーのおいしさに驚いたり、花を見て笑顔になったり、一喜一憂する姿は偽物のように思えなかった。
「ヒロ、天馬、だけど世界は消され続けている。今はこの戦いに立ち向かわなければならないんだ」
「バンさん……」
拳を強く握り締めているバンは本当なら天馬とヒロと同じ気持ちなのだろう。しかしフランたちが敵として立ち向かう以上、戦わなくてはならないとわかっている。両チーム共に頷いた。
「っ!」
「ジンくん、どうしたの?」
何かに気づいたジンに続いてユウヤも視線を追って見上げると、通路の一部に乗るデジトニアスⅠとデジトニアスⅡがいた。
〈やあ、よく来たね〉
「「「「「!」」」」」
〈でも、ここから先はサッカープレーヤーとLBXの戦士のみだ!〉
機体を通じてサンの声が聞こえ、デジトニアスⅡが手を上げると、光が天馬たちとバンたち、さらに瑞貴までその場から姿を消した。残ったのは葵と水鳥と茜とワンダバとアルノ、淳一郎と宇崎とコブラとオタクロスだけである。
「天馬!」
「消えた!?」
「っ……!」
そして残った者たちもみんなが中にいるだろうと思い、その場から駆け出すのだった。
――天馬や錦たちが目を覚ますと、先ほどまでの場所ではなくサッカースタジアムだった。
「ここは……?」
「ここが試合場ってわけぜよ」
「まるで古代ローマのコロシアムのようだ……」
続けて霧野が言うと、上空からホーリーロードスタジアムのときにもいたフラウ・ア・ノートリアスが浮かんでいた。
「あれは!」
「あいつらの飛行ユニット!」
バンやランを始め全員が気付くと、フラウ・ア・ノートリアスは今までが固く閉じた蕾だったのか、花のように開き始めた。しかし禍々しいオーラを放っている。ヒロはフランが好きな花とすぐに連想した。
「花……」
「――ようこそ、私たちの神殿へ」
神殿のような屋根には、フランを中心に両隣にはサンとアスタもいる。すぐにバンや神童は声を上げた。
「カズとアミはどこだ!?」
「消した人たちを元に戻せ!」
「慌てないで。この戦いにあなたたちが勝てば、望み通り返します」
「何故世界を消そうとするんだ!?」
「それは……――世界を救うためよ!」
「何?」
「救うだと!? 世界を破壊しているのはお前たちだ!」
無表情で答えるフランに意味不明だと剣城も神童も言葉を返す。場所や人を関係なく消して繋いでいくフランたちの行動は、どう見ても世界を救うように思えないからだ。
「私は世界に不必要な部分を削除し繋ぎ合わせた。世界には、存在してはならないモノがある」
「なんだ、それは!?」
「『戦い』よ」
バンの問いに、フランは冷たい目を向けて淡々と答えた。
「憎しみを生み出す戦いという概念……戦いを消さなければ、大切なモノが消えてしまうから。今日ここで――全ての戦いを消し去る!」
サンとアスタがその場から消えると、フランは両手を広げて優雅に回っていく。すると今までいなかった観客席が、どこからか現れた人たちによって満員になっていった。
「さあ、多くの者たちに戦いの醜さを見せてあげましょう!」
「これは……!?」
「――お前たちの相手は、俺のイレブン……名付けて、デストラクチャーズ!」
観客に天馬たちが驚いている間、いつの間にかゴール前に現れたアスタがデュプリを発動させて十人の少年少女たちを出現させた。
「手強いぜ?」
「クッ……!」
ホーリーロードスタジアムで見たアスタは実力を半分も出していないだろう。未知の相手に天馬たちは気を引き締めた。
そしてまたバンたちは円盤状の飛行マシンに乗って、スタジアム上空にある天空の城のようなジオラマを前にした。もちろん相手はサンである。
「フッ……。僕のデジトニアスの力、見せてあげるよ」
「「「「「っ……!」」」」」
先ほど自分たちの前に現れたデジトニアスⅠとデジトニアスⅡ、見る限りこの二体で七人を相手にしようというのだろう。しかしサンは数百体のLBXを一人で操れるのだ。油断ならない。
――フラウ・ア・ノートリアスの中心に立ったフランは、床に映し出された二つの戦いを見物することにした。
「これで戦いが消える……」
「――フランちゃん」
フランがうしろを振り向くと、そこには先ほど天馬たちと共に消えた瑞貴がいた。忍び込んだりしたわけでもなく、フランの意思もあってこの場へ誘導したのだ。
「どうして私をこの場へ?」
「強いて言えば気に入った、ってとこかしら。でも、あなたさえよければ私たちの仲間にならない?」
「仲間……!? 私は守や仲間たちを取り戻したいの。君たちが世界をメチャクチャにする行動に賛成はできない」
「なら、あなたもここで見ているがいいわ。どちらの戦いも見れる特等席よ。そして知るがいい――戦いがどんなに愚かなことかを」
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《あっ! 何故だかわからないが、ドデカい試合が始まろうとしているぞ! 実況の専門家としてはやるしかない! 松風天馬率いるイナズマジャパンに対するのは、謎のチーム・デストラクチャーズ! 試合の流れ全く読めないぞ!!》
実況席に現れた角間は何がなんだかわからずにいたが、実況が必要だという使命に駆られたのか滞りなく始める。
「いくぞ! オーディーンMk-2(マークツー)!」
「アキレスD9!」
「へぇ、新しいLBXか」
今までのイカロスシリーズと違うのでサンは興味深そうだった。そしてバンとヒロに続いて他のメンバーもLBXをジオラマに降り立たせる。もちろんサンのデジトニアスたちもだ。
「サッカー」
「LBX」
「「ダブルバトルだ!」」
アスタもサンもフランのために負けられない……そのために天馬やバンたちを全力で叩き潰すだろう。
《さあイナズマジャパンのボールでキックオフです!》
白竜からボールを受け取った剣城は、天馬にバックパスしてそのまま上がって行った。
「よし、みんな攻めるぞ!」
「「「「「オウッ!」」」」」
天馬の合図でFWとMFのメンバーが上がって行く。ドリブルする天馬にジニアスとオキッドとダンテがディフェンスに駆け込んで来た。
「神童先輩!」
「フッ」
「あっ!」
天馬は神童にパスを出すが、神童の前に出たアスタによりボールを奪われてしまった。そのまま一気に信助のいるゴールへ向かって行く。
「信助!」
「来い!」
天馬の合図で信助が構え、霧野と狩屋と黄名子がアスタからボールを奪おうとするが、アスタはサイドに上がったジニアスへパスを回した。