「っ！」

「井吹！」

「止めろ！　井吹！」

「オウッ！」

「スターゲイザー！」

「ライジングウラッシュ！」


神童や天馬や鉄角に応えるために井吹は止めに入ったが、オズロックが蹴りあげたボールから無数の流星が現れて、尾を引きながらゴールを強襲される。狂気のエネルギーが大量に宿したシュートだ。


《ゴォ――ルッ!!　先制点はイクサルフリート!!》

「がっ……くぅ……！」

｢｢｢｢｢…………！｣｣｣｣｣

「これがイクサルフリートのサッカーだ｣

「っ！」

「フフフフフッ。私たちは長い間より過酷な状況に耐え、乗り越えて来たのだ。この程度の戦い、どうということはない」


先制点を奪われたことよりもイクサルフリートの狂気にアースイレブンは圧倒されたのを感じた。オズロックは自陣に引き返しながら天馬にそう告げたあと、肩を震わせながら笑った。



☆☆☆☆☆


――ＶＩＰルームでもまたその光景にショックを受けたが、ポトムリは決して動揺していなかった。


「アースイレブンは先制点を決められると、逆に闘志に火が点くのです。『負けられない』…『負けたくない』……『必ず勝つ』！　その強い想いが、彼らを成長させてきました。大丈夫。先制点はアースイレブンの勝利を呼びます！」

｢｢うん！｣｣


水川みのりと融合してアースイレブンとずっと一緒にいた彼の言葉は、特に説得力がある。それにまだ始まったばかりなので、カトラとララヤは顔を見合わせて頷いた。



☆☆☆☆☆


瞬木は今まで各惑星で案内係を務めていたイシガシが、今まで内側に秘めていた憎悪を出してきたことを天馬と剣城に告げる。


「あの案内係、本性見せてきたぞ」

「イシガシさん……」

「スゲー気迫だったぜ」

「これまでの相手も、星の存亡を賭けて気迫のこもったサッカーをして来た。だが、イクサルフリートはそれ以上だ！」

「――サッカーのようで、サッカーじゃない。そんな気がする」


三人の話の輪に入って来た神童の言葉に、天馬はどういうことなのかと問う。


「サッカーじゃない？」

「黒岩監督は『狂気』と言っていた。ボールを奪おうとして突っ込むと、奴らが抱える心の闇に引きずられそうになる」

「そいつをぶち破ってボールを奪うには、今まで通りのサッカーなんて通用しないぜ！」

「…………」


拳を手の平に打ち付けながら瞬木はそう言うと、天馬は数拍考えたあと……。


「俺は、自分のサッカーをやる！　真正面からぶつかって行く！」

｢｢うん｣｣

「キャプテンの言う通りだろ。それでいいと思うぜ」

「それが俺たちのサッカーだもんな！」

「よし！　取り返すぞ！」

｢｢｢｢｢オウッ！｣｣｣｣｣

「うん！」

「……へぇ」


天馬の方針に神童や剣城だけで鳴く、久坂や鉄角たちも賛同して声を上げた。あきらめず戦おうとする仲間たちに天馬は満足げに頷くと、そのうしろで瞬木がどこか面白そうに不敵に笑った。

ポジションに戻った天馬は、向かい側で対峙するオズロックに顔を向ける。


「攻めて来い、チキュウ人」

「…………！」