「さあ……あきらめるがいい!!」


みんなに体力はもう残っていない。さらにゴールにキーパーはいない。あのままでは点を取られる。誰もが絶望していた中、瑞貴は――。


（この世界にトリップしてサッカー部に入部した、あの頃から……何度も何度も挫折を乗り越え、仲間を増やし、たくさんの練習をして……やっと…やっとここまでたどり着いたんだ……だから……）


脳裏に甦る、これまでの日々……。辛いことも、楽しいことも、たくさんあったが、それが全て力になった。


「だから……!!　あきらめてたまるかぁ――ッ!!」

「瑞貴!!」


瑞貴はゴールに向かって詰めていく。まさかの展開にアフロディも驚きを隠せない。


「なんだとー!?」

「あきらめるもんか……!!　あきらめないことで私たちはここまで……ここまで、勝ち上がってきたんだぁあぁあぁ――ッ!!」


瑞貴がアフロディを押しのけ、ヘディングで突っ込んだ。そしてボールは……見事ゴールに。なんと……雷門中の思いを託したラストボールは、最後の最後で瑞貴が決めた。

そして終了のホイッスルが鳴り響く。


《果たしてこの結果を誰が予想したでしょうか!?　中学サッカー全国大会・フットボールフロンティアはなんと……雷門中の優勝だぁ――ッ!!》

「瑞貴――!!」


円堂は瑞貴に抱きつくが、当の本人はまだ実感が湧かずボーッとしている。


「終わったの……？」

「ああ！　俺たち勝ったんだぜ!!」

「勝った……――やったぁ!!」


ようやく実感したのか、瑞貴も円堂を抱きしめ返し、仲間と共に喜び合う。


「そんなバカな。雷門中の力が『神のアクア』を上回るなんて……」


神の力を手に入れても勝てなかった影山は信じられず、アフロディは愕然としていた。


「いい加減お前も敗北を認めるときがきたようだな、影山！」

「おっ…鬼瓦!!」


影山の背後に現れたのは鬼瓦源五郎と雷門夏未。影山の不振な動きに気づいた夏未が、鬼瓦に通報したのだ。


「控え室から『神のアクア』とやらは押収したぞ。今度こそおしまいだ」

「くっ……」


影山は再び逮捕された。

雷門中が喜び合う中、観客からとある声が上がった。


「イナズマイレブン!!」

「自然の(ﾅﾁｭﾗﾙ)プレーヤー!!」

「イナズマイレブン!!」

「自然の(ﾅﾁｭﾗﾙ)プレーヤー!!」

「イナズマイレブン!!」


四十年前、雷門中には自然のプレーヤーを含めたイナズマイレブンと呼ばれる伝説のチームがあった。

そして今、幾多の苦難を乗り越え、再びここに、その自然のプレーヤーとイナズマイレブンが復活したと言ってもいいのではないだろうか……。


「守。私、もしかして自然の(ﾅﾁｭﾗﾙ)プレーヤーになって……。そして私たちは……」

「ああ……。そうだな。――オレたち、イナズマイレブンになれたのかもな……」


こうして波乱づくめのフットボールフロンティアは雷門中の優勝で幕を閉じたのであった……。

人々の記憶にイナズマ伝説を残して……!!