「得点は全て、我々がいただく!!」

「!!」

「マ…マズい！　あれはオレの最強技を粉々にした……」


円堂の進化した正義の鉄拳を砕ける威力を持つアフロディの必殺技が放たれる。


「ゴッドブレイク!!」

「そうは…させないぞ――っ!!」


踵落としでシュートを撃つアフロディとは反対に、なんと吹雪は高く飛んでボールを蹴り上げた。しかし、アフロディは容赦なくそのまま蹴り降ろしていく。


「愚かな」

「ぐぁあぁあっ!!」

「士郎――っ!!」

「吹雪――っ!!」


ミキミキという痛々しい音がして吹雪は悲鳴を上げ、瑞貴も円堂も目を見開く。

ボールは弾いてなんとかラインの外に行ったものの、ダイレクトにアフロディの必殺技をくらった吹雪は利き足に怪我をしたようだ。

右足を抑える吹雪の元に瑞貴を始めみんなが集まる。


「クッ！」

「士郎！　大丈夫!?」

「ああ……なんともないよ」


ズギンッ！


「ぐぁっ！」


立ち上がろうとした吹雪は再び体制を崩す。秋がアイシングしても治せないほど重傷のようだ。


「ムチャをするな、交代だ!!」

「ぐ……」

「どうやら骨にいっちまったようだな」

「そ…そんな」


円堂が促すも吹雪は頷かない。怪我の様子を見た不動明王の言葉に五郎はショックを受ける。


「大丈夫。頼む、このままやらせてくれ……」

「だけど、お前足が……」


土方の言う通り、その足ではプレーの続行は不可能だ。だけど吹雪は苦しさを抑えて笑顔を絶やさない。


「このくらいで引き下がれないよ。ボクは日本代表であると同時に白恋中の代表なんだ」


……それは吹雪が日本代表候補に選ばれ、白恋中を去る日のことだった。吹雪を見送るために集まった白恋中サッカー部は悲しんでいた。


『寂しいなー……。しばらく吹雪くんとサッカーができないなんて……ううう……』

『泣くなよ紺子!!　ここは笑顔で吹雪を送るべ』

『押矢だって泣いてるべ』

『泣いてないべ――っ!!』


涙ぐむ白恋中サッカー部の中で荒谷紺子と押矢万部が特に泣いていた。だけど押矢は必死に吹雪に向き合う。


『がんばってくれよな、吹雪……!!　吹雪はオレたちの…オレたちの誇りだべ!!』

『みんな……』


仲間たちの声援を受け、吹雪は白恋中を去って行った……。


「わかるだろ。送り出してくれたみんなの気持ちに応えたいんだ……」

「士郎……」

「吹雪……」

「ボクはみんなの代表として、半端なサッカーはできないんだ!!」

｢｢｢｢｢!!｣｣｣｣｣


吹雪の只ならぬ覚悟と誇りを、瑞貴や円堂たちイナズマジャパン全員がビリビリと感じ取った。

交代はないまま試合再開。涼野のスローイングでボールは南雲の元へ――。


「うぉおぉ――っ!!　追いついてみせるぞ!!」

「何っ!?」

「よっしゃ――っ!!!」


なんと土方が南雲も前に出てボールを奪った。そしてそのままドリブルで上がって行く。


「よし今だ！　いくよ!!」

「オウッ!!」


瑞貴も豪炎寺も攻撃陣が土方を中心にカウンターを仕掛けるために上がる。

だがファイアードラゴンも戻りが早い。土方がソンファンとミョンホに囲まれ、パスを出そうにも瑞貴にパク＝ペクヨンが、豪炎寺にファン＝ウミャンが徹底マークしている。


「そ、そんな……」

「フフフッ。残念だったね……」


せっかくのチャンスもファイアードラゴンが防ぐ。円堂はショックを受け、アフロディは優雅に笑う。