生きるか死ぬか 天秤デスクッキング!!
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……食の祭典・クッキングフェス。第一回戦のトライアスロンクッキングも大詰め! 手に入れた食材の調理にとりかかる小松。しかし、手にしていた包丁はメルク包丁ではなかった!
☆☆☆☆☆
ちゃんと給具所で手に入れたメルク包丁ではなく、普通の包丁に会場はどよめきが生じている。ブランチも驚きのあまり小松さんのいる調理台へ向かってしまったほどだよ。
《Pardon? あの業物・二代目メルク包丁はどうした!?》
「小松シェフ……何故?」
「おいおい、どうしたんだ? 小松?」
……製作者のメルクはもちろん、トリコも驚きを隠せなかった。もちろん小松にはメルク包丁とは別の包丁も持っていたが、今彼の元にあるのはその包丁でもない。
「なんやその包丁は!?」
「えっ? ああ、係りの人に用意していもらいました」
「『係りの人に用意してもらいました~』……――お前のメルク包丁はどないしたんやって聞いとんのやないかい小松―!」
「メルク包丁は……」
「ああ?」
「給具所から持って来ませんでした」
ザワッ……!
小松さんのひと言にさらにどよめきが上がる。ブランチも顔を近づけて怒鳴ったから長い鼻が小松さんの頬に当たった。
「なんやてー!? 持って来んかったやと!? どういうこっちゃねん!?」
「だって……僕が1位でゴールしたのも、制限時間内に給具所に入れたのも、ブランチさんのおかげです」
確かに小松さんのあのスピードじゃ1位にはなれなかったし、ましてや給具所で自分の調理器具を手に入れなかっただろう。私は小松さんの気持ちを優先して先に進んでいたし、ブランチがいなかったら小松さんは制限時間内にゴールで来たのかも怪しかった。
「僕の力じゃメルク包丁は持ち帰れなかった……ですから、持って来ませんでした!」
「おんどれアホか――っ!!」
「ぎええぇぇえええ!?」
いきなり大声で叫び出したブランチ。真正面だから小松さんは目が飛び出すほど驚いて両耳を塞いでいる。その光景と小松さんの理由に対して私は笑いを抑えきれなかった。
「アハハッ」
「どうしたんだじょ?」
「なんか小松さんらしいなぁって。そこが小松さんのいい所なんですけどね」
隣にいた節乃さんが不思議そうに問いかけたので、私は微笑みながらそう答えた。でもまた私とは対極にブランチは小松さんの胸倉をつかんで顔を近づけ、反対の手の指を小松さんの額に押しつける。
「ええか、ワレ! わしが勝手にワレを引っ張ってきたんじゃ! ンなモン気にしとってどないすんねん! ただ勝つことだけを考えとったらええとちゃうんかい!?」
「でも……」
「あ?」
「勝負したいんです」
小松さんのひと言に不意を突かれたブランチの手が緩んだらしく、その間に小松さんはブランチの手から離れて向き合う。もうさっきの驚いていた顔はどこにもない。
「勝てるかどうかはわかりませんけど……――正々堂々と勝負したいんです!」
真っ直ぐな目を向けてそう答える小松さんに、ブランチもすっかり毒気を抜かれたらしい。立ち上がって盛大に溜息を吐く。
「ったく、めんどくさいやっちゃのう。勝手にしいや! ホンマにアホなやっちゃ! 頭にドがつくほどのアホや! じゃが……おもろいやっちゃ」
最後の言葉は聞こえていたのかはわからないけど、背を向けて手を上げるブランチに小松さんは深々と礼をした。
ステージから降りたブランチは私の隣に移動すると、観戦をするために再び小松さんの方向に体を向けた。
「どう? ブランチ? あれが料理人の小松さんなんだよ」
「フンッ。この業界、あんな甘いだけじゃ生き残れへんで。わしと直接対決することになったら手加減せえへんけどな」
「うん。それも小松さんが望んでいることだよ」
ただ料理が上手いだけじゃトリコだってコンビにならなかったし、食材の声も聞こえて来ないだろう。小松さんのあの性格と人柄があってこそ、私たちみんな小松さんの元に集まってしまうんだから。
「ったく……」
「小松くんらしいよね」
「小僧……あの生意気な天狗野郎を適応させやがった。フンッ」
「ブランチを動かしたのも、小松の人柄って所だな」
「小松シェフは、なんとなく応援したくなるんだよね」
……四天王もメルクも、小松の行動には納得するものがあり、そしてブランチもいつの間にか小松のペースに引っ張られているのがわかった。
《さあ料理をJudgeする審査員・G7も準備OKだー!》
「さて小松シェフ。自分の調理道具を使わないのは君の自由だが、審査は厳しくさせてもらうよ」
「はい!」
パッチさんの忠告を聞いても、小松さんは堂々と頷いて返事をした。この調子なら大丈夫かな……――あれ?
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ちゃんと給具所で手に入れたメルク包丁ではなく、普通の包丁に会場はどよめきが生じている。ブランチも驚きのあまり小松さんのいる調理台へ向かってしまったほどだよ。
《Pardon? あの業物・二代目メルク包丁はどうした!?》
「小松シェフ……何故?」
「おいおい、どうしたんだ? 小松?」
……製作者のメルクはもちろん、トリコも驚きを隠せなかった。もちろん小松にはメルク包丁とは別の包丁も持っていたが、今彼の元にあるのはその包丁でもない。
「なんやその包丁は!?」
「えっ? ああ、係りの人に用意していもらいました」
「『係りの人に用意してもらいました~』……――お前のメルク包丁はどないしたんやって聞いとんのやないかい小松―!」
「メルク包丁は……」
「ああ?」
「給具所から持って来ませんでした」
ザワッ……!
小松さんのひと言にさらにどよめきが上がる。ブランチも顔を近づけて怒鳴ったから長い鼻が小松さんの頬に当たった。
「なんやてー!? 持って来んかったやと!? どういうこっちゃねん!?」
「だって……僕が1位でゴールしたのも、制限時間内に給具所に入れたのも、ブランチさんのおかげです」
確かに小松さんのあのスピードじゃ1位にはなれなかったし、ましてや給具所で自分の調理器具を手に入れなかっただろう。私は小松さんの気持ちを優先して先に進んでいたし、ブランチがいなかったら小松さんは制限時間内にゴールで来たのかも怪しかった。
「僕の力じゃメルク包丁は持ち帰れなかった……ですから、持って来ませんでした!」
「おんどれアホか――っ!!」
「ぎええぇぇえええ!?」
いきなり大声で叫び出したブランチ。真正面だから小松さんは目が飛び出すほど驚いて両耳を塞いでいる。その光景と小松さんの理由に対して私は笑いを抑えきれなかった。
「アハハッ」
「どうしたんだじょ?」
「なんか小松さんらしいなぁって。そこが小松さんのいい所なんですけどね」
隣にいた節乃さんが不思議そうに問いかけたので、私は微笑みながらそう答えた。でもまた私とは対極にブランチは小松さんの胸倉をつかんで顔を近づけ、反対の手の指を小松さんの額に押しつける。
「ええか、ワレ! わしが勝手にワレを引っ張ってきたんじゃ! ンなモン気にしとってどないすんねん! ただ勝つことだけを考えとったらええとちゃうんかい!?」
「でも……」
「あ?」
「勝負したいんです」
小松さんのひと言に不意を突かれたブランチの手が緩んだらしく、その間に小松さんはブランチの手から離れて向き合う。もうさっきの驚いていた顔はどこにもない。
「勝てるかどうかはわかりませんけど……――正々堂々と勝負したいんです!」
真っ直ぐな目を向けてそう答える小松さんに、ブランチもすっかり毒気を抜かれたらしい。立ち上がって盛大に溜息を吐く。
「ったく、めんどくさいやっちゃのう。勝手にしいや! ホンマにアホなやっちゃ! 頭にドがつくほどのアホや! じゃが……おもろいやっちゃ」
最後の言葉は聞こえていたのかはわからないけど、背を向けて手を上げるブランチに小松さんは深々と礼をした。
ステージから降りたブランチは私の隣に移動すると、観戦をするために再び小松さんの方向に体を向けた。
「どう? ブランチ? あれが料理人の小松さんなんだよ」
「フンッ。この業界、あんな甘いだけじゃ生き残れへんで。わしと直接対決することになったら手加減せえへんけどな」
「うん。それも小松さんが望んでいることだよ」
ただ料理が上手いだけじゃトリコだってコンビにならなかったし、食材の声も聞こえて来ないだろう。小松さんのあの性格と人柄があってこそ、私たちみんな小松さんの元に集まってしまうんだから。
「ったく……」
「小松くんらしいよね」
「小僧……あの生意気な天狗野郎を適応させやがった。フンッ」
「ブランチを動かしたのも、小松の人柄って所だな」
「小松シェフは、なんとなく応援したくなるんだよね」
……四天王もメルクも、小松の行動には納得するものがあり、そしてブランチもいつの間にか小松のペースに引っ張られているのがわかった。
《さあ料理をJudgeする審査員・G7も準備OKだー!》
「さて小松シェフ。自分の調理道具を使わないのは君の自由だが、審査は厳しくさせてもらうよ」
「はい!」
パッチさんの忠告を聞いても、小松さんは堂々と頷いて返事をした。この調子なら大丈夫かな……――あれ?