大波乱必至!? クッキングフェス開幕!!
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……いよいよ今日、世界中の街から人が消える。飲食や遊戯関係なく営業しておらず、道路には車どころか人が一人もいない。
たまに走るのは電車と同じくらい長いグルメリムジンのみ。その中に運転手の他にいるのは――クッキングフェスの出場者、またはその関係者である。
☆☆☆☆☆
「うん、こんなものかな」
私は全身鏡に写る自分の姿を見ておかしいとこがないのを確認する。今日は舞獣姫として向かうため、仮面に合わせたドレスの上にスカートの丈は足首が見える程度にしてある。
本当は今までの数少ない(買ってもらった)ドレスにしようと思ったんだけど、リンちゃんが前のドレスを着ていた私を見た人がいてもおかしくないから新品にしとけって注意されたんだよね。そう考えれば確かに一理あるし、移動のみとはいえクッキングフェスに向かうのだから、それ相応のデザイン且つ私でも届くような値段にしようとしたんだけど……。
『出場のお祝いもかねて俺が買ってやるよ。ドレスだけじゃなくアクセサリーも靴もまとめてな!』
どこからか聞き(嗅ぎ?)つけたトリコが連絡して来たんだよね。お金に困っていないと言ってるけど、庶民生活を味わっているこっちは毎度毎度引け目を感じるんだよ……。大方、連絡したのはリンちゃんだろうな。
ピンポーン。
「瑞貴ー! 準備できたかー?」
「あっ、うん! 今行く!」
当日の楽しみにしとくって言うからトリコにはまだ新しいドレス姿を見せてないけど、彼女になったってどうせまた失礼なこと言うんだろう……。今までは『好き』って自覚なかったから平気だったのに、今の状態でそんなこと言われたら泣きそう……。
扉を開けるとそこには白スーツを着たトリコが、朝日にも負けない爽やかな笑顔を浮かべた。
「よっ! いい朝だな!」
「おはよう、トリコ」
「…………」
「どうしたの? ――あっ」
突然黙って私を見るトリコに不思議に思うと、急に仮面を外された。突然のことにびっくりしていたら、トリコは満足そうに頷いている。
「仮面でもに似合っていたけどさ、やっぱ素顔のほうがもっと似合ってるな」
「えっ!?」
トリコが貶すどころか褒めて来たので目をパチクリしていると、つられたのかトリコも目をパチクリした。
「何驚いてんだ?」
「だだだだって、今まではドレス着ても水着着ても『馬子にも衣装』とか『化けた』とか言ってたから……」
「あ~……」
そう言うと思い出したのか、トリコは片手に仮面を持って反対の手の指で気まずそうに頬を掻いた。次いでここには私たち以外誰もいないのに何故か少し私に顔を近づけて小声で話す。
「今だから言えるけどよ、本当は今までの奴だってスゲェ似合ってた。けど俺ガキでさ、照れ臭くてどうしても心とは正反対のことを言っちまったんだよ」
「ホント?」
「もう嘘を言わねぇよ。俺が素直じゃないせいで他の誰かに取られるなんてごめんだからな」
「そっか……ありがとう!」
私が満面の笑顔でお礼を言うと、トリコもまたニカッと満面の笑顔を浮かべて……。
チュッ。
「わみゃ!?」
なんでいきなりキスする!? 不意を突かれて私は真っ赤になってしまったのに、トリコは悪びれもなく笑っている。
「へへっ。なんつーか、我慢できなくてさ」
「バカ!」
キラッ!
私から顔を離れると同時に、木漏れ日の光に当たってトリコの左耳のピアスが光った。それを見た私はそっと自分の右耳にあるピアスを撫でる。
これはドレスを買ってもらった日に、トリコから贈られた指輪代わりの婚約の証だ。体術が主なトリコは指輪だと戦闘中に壊しかねないしね。もちろん指輪に憧れていたのは事実だけど、ピアスにしようと言ったあと、トリコはこう言った。
『指輪は結婚式のときにな』
そのとき私は頷いただけだけど、内心はとても喜んでいた。だって形あるものって好きな人と婚約した実感が持てるし、指輪もちゃんと送ってくれると約束してくれたもの。トリコはできない約束はしない(依頼食材を食い尽すことはあるけど……)からね。しかも片側ずつ付けたピアスの石の色はお互いの瞳の色と同じ。
これからいろんな意味で大変なことが起こるっていうのに、とても幸せを感じる。
たまに走るのは電車と同じくらい長いグルメリムジンのみ。その中に運転手の他にいるのは――クッキングフェスの出場者、またはその関係者である。
☆☆☆☆☆
「うん、こんなものかな」
私は全身鏡に写る自分の姿を見ておかしいとこがないのを確認する。今日は舞獣姫として向かうため、仮面に合わせたドレスの上にスカートの丈は足首が見える程度にしてある。
本当は今までの数少ない(買ってもらった)ドレスにしようと思ったんだけど、リンちゃんが前のドレスを着ていた私を見た人がいてもおかしくないから新品にしとけって注意されたんだよね。そう考えれば確かに一理あるし、移動のみとはいえクッキングフェスに向かうのだから、それ相応のデザイン且つ私でも届くような値段にしようとしたんだけど……。
『出場のお祝いもかねて俺が買ってやるよ。ドレスだけじゃなくアクセサリーも靴もまとめてな!』
どこからか聞き(嗅ぎ?)つけたトリコが連絡して来たんだよね。お金に困っていないと言ってるけど、庶民生活を味わっているこっちは毎度毎度引け目を感じるんだよ……。大方、連絡したのはリンちゃんだろうな。
ピンポーン。
「瑞貴ー! 準備できたかー?」
「あっ、うん! 今行く!」
当日の楽しみにしとくって言うからトリコにはまだ新しいドレス姿を見せてないけど、彼女になったってどうせまた失礼なこと言うんだろう……。今までは『好き』って自覚なかったから平気だったのに、今の状態でそんなこと言われたら泣きそう……。
扉を開けるとそこには白スーツを着たトリコが、朝日にも負けない爽やかな笑顔を浮かべた。
「よっ! いい朝だな!」
「おはよう、トリコ」
「…………」
「どうしたの? ――あっ」
突然黙って私を見るトリコに不思議に思うと、急に仮面を外された。突然のことにびっくりしていたら、トリコは満足そうに頷いている。
「仮面でもに似合っていたけどさ、やっぱ素顔のほうがもっと似合ってるな」
「えっ!?」
トリコが貶すどころか褒めて来たので目をパチクリしていると、つられたのかトリコも目をパチクリした。
「何驚いてんだ?」
「だだだだって、今まではドレス着ても水着着ても『馬子にも衣装』とか『化けた』とか言ってたから……」
「あ~……」
そう言うと思い出したのか、トリコは片手に仮面を持って反対の手の指で気まずそうに頬を掻いた。次いでここには私たち以外誰もいないのに何故か少し私に顔を近づけて小声で話す。
「今だから言えるけどよ、本当は今までの奴だってスゲェ似合ってた。けど俺ガキでさ、照れ臭くてどうしても心とは正反対のことを言っちまったんだよ」
「ホント?」
「もう嘘を言わねぇよ。俺が素直じゃないせいで他の誰かに取られるなんてごめんだからな」
「そっか……ありがとう!」
私が満面の笑顔でお礼を言うと、トリコもまたニカッと満面の笑顔を浮かべて……。
チュッ。
「わみゃ!?」
なんでいきなりキスする!? 不意を突かれて私は真っ赤になってしまったのに、トリコは悪びれもなく笑っている。
「へへっ。なんつーか、我慢できなくてさ」
「バカ!」
キラッ!
私から顔を離れると同時に、木漏れ日の光に当たってトリコの左耳のピアスが光った。それを見た私はそっと自分の右耳にあるピアスを撫でる。
これはドレスを買ってもらった日に、トリコから贈られた指輪代わりの婚約の証だ。体術が主なトリコは指輪だと戦闘中に壊しかねないしね。もちろん指輪に憧れていたのは事実だけど、ピアスにしようと言ったあと、トリコはこう言った。
『指輪は結婚式のときにな』
そのとき私は頷いただけだけど、内心はとても喜んでいた。だって形あるものって好きな人と婚約した実感が持てるし、指輪もちゃんと送ってくれると約束してくれたもの。トリコはできない約束はしない(依頼食材を食い尽すことはあるけど……)からね。しかも片側ずつ付けたピアスの石の色はお互いの瞳の色と同じ。
これからいろんな意味で大変なことが起こるっていうのに、とても幸せを感じる。