感謝あるのみ! 食義の極意‼
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
修業のために昨日食林寺へ入門した私とトリコと小松さん。女性だからと二人とは違う部屋で私は泊まったんだけど、日が昇る前に起きてしまった。正直昨日だけでもいろんなことがあったから、目が覚めちゃったんだよね。珍師範に案内してもらっている間、第六感で感じた胸騒ぎも食林寺の師範代・シュウさんとの確認できたし、あとはそれに備えて修業あるのみだ。
さっそく私はシュウさんに昨日の内にもらった紫色で『食』というマークが左胸にある道着に着替える。本当なら今日渡されるんだけど、昨日部屋に案内してもらったときにシュウさんからこう言われた。
『一応起こしに行くつもりですが、嫁入り前の女性の部屋に入るのは気が引けますから』
それにしても道着なんて元の世界の薙刀道場でしか着たことがなかったから、なんだか懐かしい感じもする。普段降ろしている髪も修業しやすいようにポニーテールにして身支度を整えて部屋を出ると、向かいの廊下でシュウさんが歩いているのを見つけた。
「シュウさん! おはようございます!」
「おや、おはようございます。瑞貴さんは朝が早いんですね」
「なんだか目が覚めちゃって……。でもシュウさんも早いってことは、このぐらいの時間から起きないとダメなんですよね」
「ええ。食林寺の朝は早いので」
「そうなんですか……。あっ、今日もよろしくお願いします!」
「こちらこそ」
廊下を歩きながらシュウさんはこれからのことを教えてくれた。なんでも珍師範の指示でシュウさんが付きっきりの特別メニューで修業をやるらしい。まず食林寺の一日は座禅ならぬ『食禅』から始めると言われた。
「この通路を真っ直ぐ言った所が道場です。瑞貴さんは先に行ってください。これから起床の時間を知らせる銅鑼が鳴りますので、私はトリコさんと小松さんを起こしに行ってきます」
「はい」
シュウさんは私が示したのと別の通路へ向かって行ったので、私もまた道場へ向かう。それにしても食禅かぁ……よくある座禅とは少し違うみたいだし、どんな修業なんだろう?
☆☆☆☆☆
ジャ――ンッ!!
起床を知らせる銅鑼が鳴って少ししたあと、私が待っていた道場にトリコと小松さん、そしてシュウさんがやってきた。
小松さん、私、トリコの順で並んで座布団に胡坐をかいて座る。シュウさんは私たちのそれぞれの前に蝋燭を置くと、トリコの隣に立って食禅のやり方を説明するから両手を合わせて目を閉じるようにと言われたので、私たちはその通り行動する。
「食禅とは、食へ感謝するための心の準備運動……まずは、心を落ち着かせて自分の命の鼓動に耳を傾けます」
「『無我の境地』って奴だな」
「違います」
「えっ? 違うのか?」
驚きの声を上げたトリコに、私と小松さんも思わず目を開けてシュウさんに顔を向けて理由を聞く。
「無我――無欲とは、言い換えれば無を欲していること……無を望んでいる状態です。食義では雑念に入ります」
「「ハァ……」」
「とにかく食義の基本である感謝の意を示すのです。あらゆる雑念を追い払って、全てに感謝をするのです」
「感謝、ねぇ……」
珍師範も言っていたな……『あらゆるモノへの感謝と敬意……この気持ちを片時も忘れず、常に心の中心に据えて置く。これが食義の基本の構えじゃ』って。これは基本中の基本である修業なんだろう。
「みなさんの前に置かれているモノが、何かわかりますか?」
「これは……」
「松明みたいに燃える土筆、たいまつくしだな」
「先端には油を含んで、最大で百時間は燃え続けるんですよね」
「ただのたいまつくしではありません。感謝の念以外の雑念を察知すると、炎が消えてしまいます。珍師範が修業のために改良したモノです。――さあ、その炎を消さないようにただひたすら感謝の念を示すのです」
「「「感…謝……」」」
「まずはその炎を30分保つようにがんばってみてください。それが終わったら朝食にします」
もう一度私たちは両手を合わせて目を閉じたあと、シュウさんが移動する気配がした。とにかくたいまつくしに食への感謝をただひたすらに……。
(朝食……)
フッ…フッ…フッ……。
「「「ああっ!」」」
いきなり私たちの前のたいまつくしが全部消えてしまった。もちろん犯人はわかってる! さっきシュウさんが言った『朝食』に一番反応する奴はこの場で一人しかいない!
「わあっ! トリコさん、雑念丸出し!」
「てか、私たちのまで消してしまうなんて、どんだけたくましい雑念なの!」
「すまん……」
「早いですね……感謝の念を示せば、また火は灯ります。今度は消さないようにね」
――感謝の念を文字通りひたすら送り続け、シュウさんが知らせてくれて30分が経ったとわかると、私たちは一気に脱力したから炎も同時に消えた。
「ハァ……やっと合計30分経った……。まあ炎はもって5分ってところだが……」
「食への感謝って…意外に難しいですね……。根気がいるというか……」
「しかもこれを…片時も忘れずにしないといけないんだよね……」
「さっ! 朝食にしましょう」
「わあっ!」
「やったー!」
トリコも小松さんも喜びの声を上げるけど……昨日の豆のこともあるから正直嫌な予感しかしない。絶っ対に一筋縄じゃいかないよ!
さっそく私はシュウさんに昨日の内にもらった紫色で『食』というマークが左胸にある道着に着替える。本当なら今日渡されるんだけど、昨日部屋に案内してもらったときにシュウさんからこう言われた。
『一応起こしに行くつもりですが、嫁入り前の女性の部屋に入るのは気が引けますから』
それにしても道着なんて元の世界の薙刀道場でしか着たことがなかったから、なんだか懐かしい感じもする。普段降ろしている髪も修業しやすいようにポニーテールにして身支度を整えて部屋を出ると、向かいの廊下でシュウさんが歩いているのを見つけた。
「シュウさん! おはようございます!」
「おや、おはようございます。瑞貴さんは朝が早いんですね」
「なんだか目が覚めちゃって……。でもシュウさんも早いってことは、このぐらいの時間から起きないとダメなんですよね」
「ええ。食林寺の朝は早いので」
「そうなんですか……。あっ、今日もよろしくお願いします!」
「こちらこそ」
廊下を歩きながらシュウさんはこれからのことを教えてくれた。なんでも珍師範の指示でシュウさんが付きっきりの特別メニューで修業をやるらしい。まず食林寺の一日は座禅ならぬ『食禅』から始めると言われた。
「この通路を真っ直ぐ言った所が道場です。瑞貴さんは先に行ってください。これから起床の時間を知らせる銅鑼が鳴りますので、私はトリコさんと小松さんを起こしに行ってきます」
「はい」
シュウさんは私が示したのと別の通路へ向かって行ったので、私もまた道場へ向かう。それにしても食禅かぁ……よくある座禅とは少し違うみたいだし、どんな修業なんだろう?
☆☆☆☆☆
ジャ――ンッ!!
起床を知らせる銅鑼が鳴って少ししたあと、私が待っていた道場にトリコと小松さん、そしてシュウさんがやってきた。
小松さん、私、トリコの順で並んで座布団に胡坐をかいて座る。シュウさんは私たちのそれぞれの前に蝋燭を置くと、トリコの隣に立って食禅のやり方を説明するから両手を合わせて目を閉じるようにと言われたので、私たちはその通り行動する。
「食禅とは、食へ感謝するための心の準備運動……まずは、心を落ち着かせて自分の命の鼓動に耳を傾けます」
「『無我の境地』って奴だな」
「違います」
「えっ? 違うのか?」
驚きの声を上げたトリコに、私と小松さんも思わず目を開けてシュウさんに顔を向けて理由を聞く。
「無我――無欲とは、言い換えれば無を欲していること……無を望んでいる状態です。食義では雑念に入ります」
「「ハァ……」」
「とにかく食義の基本である感謝の意を示すのです。あらゆる雑念を追い払って、全てに感謝をするのです」
「感謝、ねぇ……」
珍師範も言っていたな……『あらゆるモノへの感謝と敬意……この気持ちを片時も忘れず、常に心の中心に据えて置く。これが食義の基本の構えじゃ』って。これは基本中の基本である修業なんだろう。
「みなさんの前に置かれているモノが、何かわかりますか?」
「これは……」
「松明みたいに燃える土筆、たいまつくしだな」
「先端には油を含んで、最大で百時間は燃え続けるんですよね」
「ただのたいまつくしではありません。感謝の念以外の雑念を察知すると、炎が消えてしまいます。珍師範が修業のために改良したモノです。――さあ、その炎を消さないようにただひたすら感謝の念を示すのです」
「「「感…謝……」」」
「まずはその炎を30分保つようにがんばってみてください。それが終わったら朝食にします」
もう一度私たちは両手を合わせて目を閉じたあと、シュウさんが移動する気配がした。とにかくたいまつくしに食への感謝をただひたすらに……。
(朝食……)
フッ…フッ…フッ……。
「「「ああっ!」」」
いきなり私たちの前のたいまつくしが全部消えてしまった。もちろん犯人はわかってる! さっきシュウさんが言った『朝食』に一番反応する奴はこの場で一人しかいない!
「わあっ! トリコさん、雑念丸出し!」
「てか、私たちのまで消してしまうなんて、どんだけたくましい雑念なの!」
「すまん……」
「早いですね……感謝の念を示せば、また火は灯ります。今度は消さないようにね」
――感謝の念を文字通りひたすら送り続け、シュウさんが知らせてくれて30分が経ったとわかると、私たちは一気に脱力したから炎も同時に消えた。
「ハァ……やっと合計30分経った……。まあ炎はもって5分ってところだが……」
「食への感謝って…意外に難しいですね……。根気がいるというか……」
「しかもこれを…片時も忘れずにしないといけないんだよね……」
「さっ! 朝食にしましょう」
「わあっ!」
「やったー!」
トリコも小松さんも喜びの声を上げるけど……昨日の豆のこともあるから正直嫌な予感しかしない。絶っ対に一筋縄じゃいかないよ!