究極の絆グリフォン
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十年前のイナズマジャパンの世界制覇……それによってサッカー人気が高まり、サッカーでの強さが社会的地位まで決めるようになった。実力のない学校は経営が立ち行かなくなり、人々に喜びをもたらすはずのサッカーは社会に大きな影を落とす存在となってしまった。
そんな事態に対応するため、サッカー管理組織・フィフスセクターが誕生した。
『サッカーは皆平等に愛されるべきであり、その価値ある勝利も平等に分け与えられるべきである』
この少年サッカー法第五条を守ることが、フィフスセクターの存在意義である。――サッカーは今、世界の頂点にある。
☆☆☆☆☆
早朝とも呼べる朝、円堂瑞貴は目覚まし時計が鳴るより先に起きてスイッチを切る。
「もう朝か……。今日は朝練があるから早く準備しなくちゃ」
体を起こして隣を見ると、いつもいるはずの夫・円堂守がいない。わかっているとはいえ毎朝隣を見るのが癖になっているのだ。悲しくなるがすぐに気持ちを切り替えて準備を始めた。
――瑞貴は十年前のイナズマジャパンの副キャプテンで、女子サッカーの礎を築いた人物としてむしろ知らぬ者が少ないくらい有名なのだ。さらに加えて同じくイナズマジャパンのキャプテンだった円堂守の妻である。
高校卒業後は日本女子プロリーグに入り、数年でキャプテンとして名を馳せていた。だが、円堂と共に久遠道也の頼みでプロの世界から離れ、現在は雷門中サッカー部のコーチ兼監督補佐とフィフスセクターに対抗する組織・レジスタンスの事務員として勤めている。
「いってきまーす」
朝食と支度を終えた瑞貴はランニングがてら雷門中へ向けて走って行った。
雷門中に着くと職員室でサッカー棟の鍵を借りて朝練の準備を始める。
「おはよう瑞貴。相変わらず早いな」
「おはよう有人。私はさっき来たばかりだよ。有人だって早いじゃん」
彼は鬼道有人。帝国学園サッカー部の総帥だったが、レジスタンスの一員であり現在は円堂の代わりに雷門中サッカー部の監督として瑞貴と共にサッカー部を支えている。
「ホーリーロードも大詰めになってきたからな。今日からさらに厳しくやるつもりだ。一緒に練習メニューを考えてくれないか?」
「もちろん」
今の中学サッカー界はフィフスセクターに試合の勝敗まで管理されている。それは即ちサッカーを愛する者にとって屈辱的で苦しいことだ。雷門中サッカー部も例外ではない。しかし、松風天馬が雷門中に入学してサッカー部に入部してから変わっていった。
『俺は嫌だ! このまま負けるなんて絶対に嫌だ!』
天馬の入部、円堂と瑞貴の監督とコーチの就任、サッカー界に革命を起こそうとするレジスタンスの存在……キャプテンの神童拓人を始めサッカー部全員がフィフスセクターと戦うと決め、フィフスセクターのシードだった剣城京介も雷門中サッカー部と共に戦うことを決意する。
本当のサッカーを取り戻すための革命として、中学サッカー頂点を決めるホーリーロード優勝を目指す雷門中サッカー部に次々と新入部員も入りついに全国大会まで駒を進めた。だが……その矢先、円堂が監督を辞退したのだ。
『みんなすまない……。俺は雷門を出て行く』
そのあとは鬼道が監督に就任し混乱することもあったが、ついに全国大会三回戦まで突破することができた。
「そろそろみんなが集まる頃だね」
「ああ。グラウンドへ行こう」
「――瑞貴先輩! 兄さん! 大変です!」
扉から大慌てで入って来たのは鬼道の妹で、雷門中の教師でありサッカー部の顧問・音無春奈だ。珍しい様子に瑞貴も鬼道も目を見張る。
「春奈ちゃん、どうしたの?」
「そ、それが……フィフスセクターからサッカー部に遠征の話が出たんです! しかも今すぐにと!」
「「なんだって!?」」
春奈の報せに瑞貴と鬼道はサッカー棟を出てグラウンドへ行くと、そこは天馬を除いて集まったサッカー部と雷門中理事長・金山郷造と雷門中校長・冬海卓がいた。
二人が来たことに金山と冬海は確認すると春奈に伝えた話を再度言う。その話は全員にとって驚くべきことであり、鬼道が声を上げる。
「どういうことですか!? 金山理事長!」
「今言った通りですが?」
「「「「「!?」」」」」
「おはようございます」
「天馬!」
「遅いぞ」
「すみません、三国先輩。どうしたんです?」
遅れて来た天馬に西園信助や三国太一が気づいて声をかける。天馬が状況を知らない中、ちょうど金山がもう一度話した。
「鬼道監督と君たちには――今日この瞬間から強化合宿を兼ねた遠征に出てもらいます」
「遠征!?」
「待ってください。今はホーリーロードの真っ最中なんですよ。何故ここで遠征なんですか!?」
「これは、フィフスセクターからの指示です。あなたたちが歯向かうからですよ」
唐突の話に天馬が驚くと鬼道は抗議するが、冬海はニヤけた笑みを浮かべながら言った。
「嫌がらせってわけか……」
「こんなときに……!」
「なんか嫌な感じっスね、天城さん」
「何考えているんだド?」
「ムチャですよ!」
「革命もここまでかも……」
「神童、嫌な予感がしないか?」
「ああ。確かに」
神童も三国も浜野海士も天城大地も不審に思い、影山輝は声を上げ、速水鶴正は落ち込み、霧野蘭丸は良い状況ではないと判断した。監督として代表の鬼道が金山に話を続ける。
「それでどこへ行けと言うんですか?」
「行けばわかります」
「それでは納得できません」
「合宿……」
「どうかした、剣城くん。何か心当たりでも?
」
「いや……」
「気に入らんのう」
行く先も教えてもらえない合宿に剣城が考え込むと狩屋マサキが気づき、錦龍馬はフィフスセクターのやり方が気に入らない。
「兄さん……」
「こんなの行く必要ありませんよ、鬼道監督!」
「ホォ……そうですか」
春奈が不安な表情で鬼道を見ると三国が声を荒げた。だが、金山は意味あり気な言葉を放つ。
「知りたくないのですか? ――元監督の円堂くんがどうしているか」
「なっ、守!?」
「円堂監督!?」
「「「「「!?」」」」」
円堂の名前に真っ先に反応した瑞貴を始め、天馬もサッカー部全員が顔色を変えた。神童も少し顔をしかめて金山に尋ねる。
「その合宿に行けば、円堂監督がいるということですか?」
「彼は我々の手伝いをしてくれているんです」
「そんなバカな!」
「……金山理事長、冬海校長」
「「「「「ん? ――わぁ!」」」」」
低く響き渡る声に全員が反応して顔を向けると、そこには瑞貴が黒いオーラをまといながらニッコリと笑顔でいた。
「その言葉、円堂守の妻である私によく言えますねぇ? 嘘だったらタダじゃおきませんよ?」
「「ヒィイッ!」」
そのオーラに十年前のトラウマがある冬海はもちろん、金山も情けない声を上げて逃げて行った。それを確認した瑞貴は黒いオーラを治め、鬼道と顔を見合わせると円堂が雷門を去る前の出来事を思い返す。
――夕方の鉄塔広場で円堂は鬼道に衝撃的なことを告げる。瑞貴もそばにいたが事前に聞いていたためショックは少なかった。
『鬼道、俺は雷門の監督を降りる。代わりに監督を引き受けてほしいんだ』
『何を言っているんだ、円堂!』
『……今、雷門を任せられるのはお前と瑞貴しかいない。でも瑞貴は自ら辞退したんだ』
『雷門にとって私は支える立場が形になっているの。お願い、有人』
『頼む、鬼道』
『お前たち……』
真剣な瞳を宿した円堂と瑞貴を見て、鬼道は監督になることを了承した。だが、瑞貴も鬼道も円堂が今どこにいるのかはわからない。連絡もつかないので、その消息を知りたいのは山々ではあるが……。
「あからさまに罠だよね」
「ああ。この話は断ろう――」
「行ってみませんか? 瑞貴さん、鬼道監督」
鬼道の言葉を遮って二人に割り込んで来たのは神童だった。
「円堂監督は、何か奴らの企みにに気づいて行動に出たんじゃないんですか? だとしたら、俺は黙っていられません!」
「キャプテン!」
神童や天馬たちはやる気に満ち溢れている。教え子たちの気持ちを汲むため、自分たちも知るために、鬼道と瑞貴は顔を見合わせて頷いた。
「よし、わかった」
「行こう、みんな!」
「「「「「はい!!」」」」」
「天馬!」
「うん!」
瑞貴の掛け声に全員が声を上げてくれた。信助も天馬もやる気満々で顔を見合わせている。
そして各自最低限の荷物をまとめて家族に連絡を入れ、すでに雷門中の敷地内に停まっていたフィフスセクターのバスに乗り込んだ。……速水、浜野、倉間典人を残して。
「お前たちは残っててくれ」
「「「えっ?」」」
「今や雷門は反フィフスセクターの中心的存在だ。全員がここを離れるわけにはいかない」
「神童……」
「気をつけろよ」
「ああ」
神童がキャプテンとして浜野と倉間と速水に留守の間の雷門を任せた。残った三人は全員が無事なことを祈るしかなかった。
そんな事態に対応するため、サッカー管理組織・フィフスセクターが誕生した。
『サッカーは皆平等に愛されるべきであり、その価値ある勝利も平等に分け与えられるべきである』
この少年サッカー法第五条を守ることが、フィフスセクターの存在意義である。――サッカーは今、世界の頂点にある。
☆☆☆☆☆
早朝とも呼べる朝、円堂瑞貴は目覚まし時計が鳴るより先に起きてスイッチを切る。
「もう朝か……。今日は朝練があるから早く準備しなくちゃ」
体を起こして隣を見ると、いつもいるはずの夫・円堂守がいない。わかっているとはいえ毎朝隣を見るのが癖になっているのだ。悲しくなるがすぐに気持ちを切り替えて準備を始めた。
――瑞貴は十年前のイナズマジャパンの副キャプテンで、女子サッカーの礎を築いた人物としてむしろ知らぬ者が少ないくらい有名なのだ。さらに加えて同じくイナズマジャパンのキャプテンだった円堂守の妻である。
高校卒業後は日本女子プロリーグに入り、数年でキャプテンとして名を馳せていた。だが、円堂と共に久遠道也の頼みでプロの世界から離れ、現在は雷門中サッカー部のコーチ兼監督補佐とフィフスセクターに対抗する組織・レジスタンスの事務員として勤めている。
「いってきまーす」
朝食と支度を終えた瑞貴はランニングがてら雷門中へ向けて走って行った。
雷門中に着くと職員室でサッカー棟の鍵を借りて朝練の準備を始める。
「おはよう瑞貴。相変わらず早いな」
「おはよう有人。私はさっき来たばかりだよ。有人だって早いじゃん」
彼は鬼道有人。帝国学園サッカー部の総帥だったが、レジスタンスの一員であり現在は円堂の代わりに雷門中サッカー部の監督として瑞貴と共にサッカー部を支えている。
「ホーリーロードも大詰めになってきたからな。今日からさらに厳しくやるつもりだ。一緒に練習メニューを考えてくれないか?」
「もちろん」
今の中学サッカー界はフィフスセクターに試合の勝敗まで管理されている。それは即ちサッカーを愛する者にとって屈辱的で苦しいことだ。雷門中サッカー部も例外ではない。しかし、松風天馬が雷門中に入学してサッカー部に入部してから変わっていった。
『俺は嫌だ! このまま負けるなんて絶対に嫌だ!』
天馬の入部、円堂と瑞貴の監督とコーチの就任、サッカー界に革命を起こそうとするレジスタンスの存在……キャプテンの神童拓人を始めサッカー部全員がフィフスセクターと戦うと決め、フィフスセクターのシードだった剣城京介も雷門中サッカー部と共に戦うことを決意する。
本当のサッカーを取り戻すための革命として、中学サッカー頂点を決めるホーリーロード優勝を目指す雷門中サッカー部に次々と新入部員も入りついに全国大会まで駒を進めた。だが……その矢先、円堂が監督を辞退したのだ。
『みんなすまない……。俺は雷門を出て行く』
そのあとは鬼道が監督に就任し混乱することもあったが、ついに全国大会三回戦まで突破することができた。
「そろそろみんなが集まる頃だね」
「ああ。グラウンドへ行こう」
「――瑞貴先輩! 兄さん! 大変です!」
扉から大慌てで入って来たのは鬼道の妹で、雷門中の教師でありサッカー部の顧問・音無春奈だ。珍しい様子に瑞貴も鬼道も目を見張る。
「春奈ちゃん、どうしたの?」
「そ、それが……フィフスセクターからサッカー部に遠征の話が出たんです! しかも今すぐにと!」
「「なんだって!?」」
春奈の報せに瑞貴と鬼道はサッカー棟を出てグラウンドへ行くと、そこは天馬を除いて集まったサッカー部と雷門中理事長・金山郷造と雷門中校長・冬海卓がいた。
二人が来たことに金山と冬海は確認すると春奈に伝えた話を再度言う。その話は全員にとって驚くべきことであり、鬼道が声を上げる。
「どういうことですか!? 金山理事長!」
「今言った通りですが?」
「「「「「!?」」」」」
「おはようございます」
「天馬!」
「遅いぞ」
「すみません、三国先輩。どうしたんです?」
遅れて来た天馬に西園信助や三国太一が気づいて声をかける。天馬が状況を知らない中、ちょうど金山がもう一度話した。
「鬼道監督と君たちには――今日この瞬間から強化合宿を兼ねた遠征に出てもらいます」
「遠征!?」
「待ってください。今はホーリーロードの真っ最中なんですよ。何故ここで遠征なんですか!?」
「これは、フィフスセクターからの指示です。あなたたちが歯向かうからですよ」
唐突の話に天馬が驚くと鬼道は抗議するが、冬海はニヤけた笑みを浮かべながら言った。
「嫌がらせってわけか……」
「こんなときに……!」
「なんか嫌な感じっスね、天城さん」
「何考えているんだド?」
「ムチャですよ!」
「革命もここまでかも……」
「神童、嫌な予感がしないか?」
「ああ。確かに」
神童も三国も浜野海士も天城大地も不審に思い、影山輝は声を上げ、速水鶴正は落ち込み、霧野蘭丸は良い状況ではないと判断した。監督として代表の鬼道が金山に話を続ける。
「それでどこへ行けと言うんですか?」
「行けばわかります」
「それでは納得できません」
「合宿……」
「どうかした、剣城くん。何か心当たりでも?
」
「いや……」
「気に入らんのう」
行く先も教えてもらえない合宿に剣城が考え込むと狩屋マサキが気づき、錦龍馬はフィフスセクターのやり方が気に入らない。
「兄さん……」
「こんなの行く必要ありませんよ、鬼道監督!」
「ホォ……そうですか」
春奈が不安な表情で鬼道を見ると三国が声を荒げた。だが、金山は意味あり気な言葉を放つ。
「知りたくないのですか? ――元監督の円堂くんがどうしているか」
「なっ、守!?」
「円堂監督!?」
「「「「「!?」」」」」
円堂の名前に真っ先に反応した瑞貴を始め、天馬もサッカー部全員が顔色を変えた。神童も少し顔をしかめて金山に尋ねる。
「その合宿に行けば、円堂監督がいるということですか?」
「彼は我々の手伝いをしてくれているんです」
「そんなバカな!」
「……金山理事長、冬海校長」
「「「「「ん? ――わぁ!」」」」」
低く響き渡る声に全員が反応して顔を向けると、そこには瑞貴が黒いオーラをまといながらニッコリと笑顔でいた。
「その言葉、円堂守の妻である私によく言えますねぇ? 嘘だったらタダじゃおきませんよ?」
「「ヒィイッ!」」
そのオーラに十年前のトラウマがある冬海はもちろん、金山も情けない声を上げて逃げて行った。それを確認した瑞貴は黒いオーラを治め、鬼道と顔を見合わせると円堂が雷門を去る前の出来事を思い返す。
――夕方の鉄塔広場で円堂は鬼道に衝撃的なことを告げる。瑞貴もそばにいたが事前に聞いていたためショックは少なかった。
『鬼道、俺は雷門の監督を降りる。代わりに監督を引き受けてほしいんだ』
『何を言っているんだ、円堂!』
『……今、雷門を任せられるのはお前と瑞貴しかいない。でも瑞貴は自ら辞退したんだ』
『雷門にとって私は支える立場が形になっているの。お願い、有人』
『頼む、鬼道』
『お前たち……』
真剣な瞳を宿した円堂と瑞貴を見て、鬼道は監督になることを了承した。だが、瑞貴も鬼道も円堂が今どこにいるのかはわからない。連絡もつかないので、その消息を知りたいのは山々ではあるが……。
「あからさまに罠だよね」
「ああ。この話は断ろう――」
「行ってみませんか? 瑞貴さん、鬼道監督」
鬼道の言葉を遮って二人に割り込んで来たのは神童だった。
「円堂監督は、何か奴らの企みにに気づいて行動に出たんじゃないんですか? だとしたら、俺は黙っていられません!」
「キャプテン!」
神童や天馬たちはやる気に満ち溢れている。教え子たちの気持ちを汲むため、自分たちも知るために、鬼道と瑞貴は顔を見合わせて頷いた。
「よし、わかった」
「行こう、みんな!」
「「「「「はい!!」」」」」
「天馬!」
「うん!」
瑞貴の掛け声に全員が声を上げてくれた。信助も天馬もやる気満々で顔を見合わせている。
そして各自最低限の荷物をまとめて家族に連絡を入れ、すでに雷門中の敷地内に停まっていたフィフスセクターのバスに乗り込んだ。……速水、浜野、倉間典人を残して。
「お前たちは残っててくれ」
「「「えっ?」」」
「今や雷門は反フィフスセクターの中心的存在だ。全員がここを離れるわけにはいかない」
「神童……」
「気をつけろよ」
「ああ」
神童がキャプテンとして浜野と倉間と速水に留守の間の雷門を任せた。残った三人は全員が無事なことを祈るしかなかった。