再びフィールドに立った松風天馬たちは、ついに同点までいったがイクサルフリートに追加点を許してしまった。キャプテンとしてチームメイトを励ます天馬。しかし、瞬木隼人は『キャプテン・松風天馬』ではなく『一人の選手・松風天馬』のプレーが見たいと叫び、円堂瑞貴も天馬に自分自身のサッカーを出すように告げる。

それからはまるでリミッターが外れたかのように、天馬は素早いドリブルでチームメイトを驚かせ、さらにはソウルをペガサスに進化させた。天馬の放つ必殺技、嵐・竜巻・ハリケーンが再び同点までいき、それを受けたビットウェイ＝オズロックの心に何かを残すのだった。

試合はまたも振り出しに戻り、ドリブルするデスピナ＝ラクスはダルヴォス＝ボソンにパスしようとボールを蹴ると……。


「はっ！」

｢｢!?｣｣

《Wao!!　松風だ！》


ボールを素早く奪ったのは天馬だ。そして天馬のうしろを走るのは剣城京介と神童拓人だけじゃない。


「付いて行くぜ、キャプテン！」

「付いて行かなきゃ！」

「ギャラクシーイレブンじゃないよね！」

「うん！」

「こういうキャプテン、嫌いじゃないけどね！」

「見えました！　キャプテンの本来の姿！」

「みんな！　いくぞ！　みんなで勝ち取る勝利だ！」


鉄角真も九坂隆二も野咲さくらも森村好葉も皆帆和人も真名部陣一郎も、そして瞬木隼人も井吹宗正も、今まで天馬に支えられて走って来たのに、今度は自分たちが前を走る天馬に着いて行く番だと先ほどのプレーで気づかされた。その気持ちで今まで疲労困憊だったのに、嘘のように走り出しライフエナジーが溢れ出る。

天馬と剣城と神童は背中合わせに三角形の陣を取ると、中心のボールに三人だけでなく十一人全員の力が集まると同時に飛び上がる。


「みんなの想いが入ってるんだ！　なんとかなるさ！」

｢｢｢ジ・アース∞(ｲﾝﾌｨﾆﾃｨ)！｣｣｣


仲間の想いを力に変え、宇宙希望の無限大パワーを発動する。まさに光輝く究極のシュートがゴールへと向かう。


「追加点はやらん！　フッ！」

「……オズロック？」


そのシュートの前にオズロックが現れたが、彼の雰囲気が何か変わっているとうしろでゴール前に構えているフォボス＝クェーサーは気づいた。


「うおおおっ！」


ボオオォォオオオ――！


オズロックはソウル・イクサールを発動し身を挺して受けるが、まるで浄化されるようにイクサールは消えてオズロックが単身で受ける。そのとき、さっきの天馬のシュート技、嵐・竜巻・ハリケーンのように何かが流れ込んでくるのを感じた。


「これだ……光だ……光を感じる……！」

｢｢うわああっ！｣｣


オズロックはシュートを受けているのに心地いい表情をしており、ついにフォボスごと押し込まれ……――ボールはラインを越えてゴールに入っていた。


《ゴォ――ルッ!!》


ピッ、ピッ、ピィ――ッ!!


《そして、The Great Gameここに決着!!　ソウルを打ち破る究極のシュートが、ギャラクシーイレブンに勝利をもたらした!!　熱戦、ここにThe End！　宇宙の運命を担った一戦は、８対７でギャラクシーイレブンの勝利だ――っ!!》

「うおおおっ！」

｢｢うわああんっ！｣｣

「やったね！　私たち、宇宙で一番！」

「一番……！　ホントのホントに一番だ……！」

「ああ…僕の生まれてきた意味はここにありました……！　天にも昇る心地です……！」

「だからって、ここで昇天しないでよ～？　クヒヒッ！」


九坂は興奮のあまり雄叫びのような声を上げる。そして正真正銘の宇宙一に輝き、さくらと好葉はお互い抱き合って涙を浮かべていた。ベンチでも満足な表情を浮かべるバンダ＝コローギュJr.に、ロダン＝ガスグスはいたずらっ子のように笑った。


「おめでとう……天馬…みんな……！　やったよ……守……！」


ベンチで喜び合う選手やマネージャーたちの横で、瑞貴は首に下げた結婚指輪を握りながら目に涙を浮かべ、フィールドにいる天馬たちを祝福する。次いで空を見上げると遠くの星で待っている夫・円堂守に言葉をかけた。