グランドセレスタギャラクシー本戦の第一回戦が始まった。相手はカゼルマ＝ウォーグルが率いるサンドリアスイレブン。

慣れない砂のフィールドに地球よりも軽い重力、加えて黒岩流星の指示による3TOPにアースイレブンは苦戦する中、サンドリアスイレブンはファラム・オービアスからの助っ人・バルガ＝ザックスを加えて試合に臨む。しかしバルガと一部の選手の取り巻きによるラフプレーにカゼルマは怒(ｲｶ)るが、バルガは試合の重みと星を救うためにはどんな手段も使うべきだと告げる。

先制点を奪われ１対０の中、アースイレブンはどう対抗するのだろうか。


《アースイレブンはサンドリアスのラフプレーで満身創痍だ！　試合の行方は全くわからないぜ！　タイムアップまで～……Don misit!!》

「そらそらそら！」

「うわっ！」


ドリブルする九坂隆二に向かって、バルガは勢いよくタックルをかました。その衝撃に九坂は弾き飛ばされ、ボールはラインの外に出る。


「ウワッハッハッハッハッ！　歯応えのない種族だな、チキュウ人は！」

「クッ……このぉ！」

「九坂！」

「！」


バカにするバルガの言葉に、九坂はの細めた目が開いてキレかけたとき、松風天馬が駆け寄って来た。


「俺たちは地球代表なんだ。正々堂々と戦おう」

「……ウッス！」


天馬の言葉により落ち着きを取り戻した九坂は、差し出された天馬の手を握って立ち上がった。


《Oh yeah!!　サンドリアスが１点をリード、アースイレブン反撃の糸口がつかめなーい！》

「はああっ！」

「っ、わああっ！」

「通さねぇ！　ふっ！」


またもダフ＝ナッターによる自身を回転して起こした砂嵐に弾き飛ばされた野咲さくら。それを鉄角真がダフにスライディングし、ボールを弾いたことによりカバーされる。


「さくら！　何回おんなじ手に引っかかってんだ！」

「そんな言い方しなくったって！」

｢｢～～っ！｣｣


昨日からいがみ合っている鉄角とさくら。慣れない異星の環境と重力でイライラが募り、ほとんどお互い八つ当たりしている状態だ。

バルガに支持する一部のサンドリアスイレブンによるラフプレーは、どんどんアースイレブンの体力を削って行く。その様子を見てバルガは愉快そうに笑っていた。


「ウワッハッハッハッ！　いいぞ、もっとやれ！」

｢｢抜かせない！｣｣

「へっ！」


ゴールに向かってドリブルするガラ＝ハリザに、真名部陣一郎と皆帆和人が前に出る。だが、スピードを上げたガラは砂塵をも巻き込んで二人の間を強行突破した。


「ふんっ！」


ズザアアッ！


「っ、またか！」

「今度は決めるぜ！」

「クッ！」


ガラがまたしても足を振り上げて砂塵を起こし井吹宗正の視界を奪ってシュートを撃つ。しかし井吹はそれを横っ飛びで取ってくれたので追加点は防がれた。

ゴールを決めることができなくて、ガラは忌々しげに舌打ちをする。


「チッ！」

「おい、ディフェンス！　アッサリ抜かれ過ぎだろ！」

「皆帆くん、ちゃんとマークしてください！」

「僕のせいだけじゃないでしょ」

「勝たなければ地球はおしまいなんですよ!?」

「言われなくたってわかってるよ！」

「あっ……。みんなが…ウチの嫌いな顔してる……」


井吹が咎めたのを始め、真名部も皆帆もお互いを咎めている。嫌悪感が強い状況に森村好葉は多勢に無勢といういじめに遭った過去とシンクロして怯え始めた。


「九坂！」

「ふんっ！」

「ぐわああっ！」


井吹のゴールキックが九坂へと向かう中、ザバ＝ハーラーが自身をドリルのように九坂の一歩手前の地面に頭突きし、大きな砂塵と共に九坂を吹っ飛ばした。


「クッ……もう我慢できねぇ！　本物の頭突き、見せてやろうか！」

「――ケンカはダメ！」

「！」


耐えていたつもりだが相手がその気ならと九坂は怒髪天モードの一歩手間になると、好葉の大声に気づき振り向いた。