その妹、強烈につき
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外から何やら凶悪なオーラを感じるなぁと思い窓から下をのぞいてみれば、狂犬ちゃんがズボンのポケットに手を突っ込み歩いていた。
「見て岩ちゃん」
「ん?」
「狂犬ちゃんが不機嫌そうに歩いてるよ」
「まるでチンピラだな」
「じゃあ岩ちゃんはチンピラのボスだね!」
「あ?」
だってそうじゃん!狂犬ちゃんは岩ちゃんの言う事だけ聞くんだからさぁ、って痛い痛い痛い痛い!アイアンクローやめて!及川さんのかっこいい顔が潰れる!パワーゴリラの岩ちゃんのせいで、みんな大好きな及川さんが…!!
狂犬ちゃんのオーラにびびって、すれ違う人達は自然と道を開けている。まあ確かに見た目怖いもんね。俺もバレーを一緒にする仲間じゃなかったら絶対に関わりたくないよ。
「お、勇者が現れたぞ」
「勇者?」
やっと岩ちゃんの馬鹿力から頭が解放されたので、勇者の意味が知りたくて教室の窓から視線を辿った。
「ハル?」
「凄ェな、臆する事なく京谷に近づいたぞ」
ケラケラ笑いながら岩ちゃんは二人を見下ろしていた。おーい、ハルー、お前の大好きな岩泉サンが見てるよー。
怖いもの知らずなのか、不機嫌丸出しの狂犬ちゃんに何の躊躇いなく声を掛けていた。
「京谷」
「ああ?」
「来週の現代社会でグループごとに発表なの知ってるでしょ?んで、私と京谷は同じグループなのね、だから一度みんなで集まって打ち合わせしよ」
「めんどくせぇ…」
「そんな事言ったって仕方ないでしょ!」
腰に手をあてて、まるでオカンの様に振る舞うハル。
「明日の昼休みに打ち合わせしよう!はい、私ちゃんと伝えたからね!絶対教室に居ててね!」
「……」
「返事は!」
「……」
「こら京谷!返事!」
強めに睨まれたってハルは全く怯まない。それどころか返事を強要しながら前へと詰め寄り出した。そいつ狂犬だから噛みつかれないように気を付けるんだよハルちゃーん。
「ハルは誰とでもびびらず喋れるから凄ぇよな」
「お兄ちゃんに似てコミュニケーション能力が高いんだよ☆」
「…………」
「無視やめて!」
でも岩ちゃん知らないんだよな~、あの子のコミュニケーション能力が高さ故に色んな人と知り合いになっていって、そしてみんな君関連に巻き込まれ沢山のハルの奇行に頭を悩ませてるんだよ。国見ちゃんから聞いたけど、矢巾なんか照れ隠しからの暴行も受けたらしいよ。俺この前謝ったもん、兄として。
「京谷ってば!……返事しないとお兄ちゃんみたいに呼ぶよ!?」
「やめろ」
「やっとこっちを見たな狂犬ちゃん」
「結局言ってるじゃねぇか」
額に青筋を浮かべる狂犬ちゃん。あ!お前!まさかハルに手を上げるんじゃ…!?
「京谷っ!」
妹のピンチを阻止しようと声を出した。俺じゃなくて、岩ちゃんが。
「あ、岩泉さん」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ま~、ハルの赤面ったるや凄いものがあったね。
「大人しく打ち合わせ行ってこいよ」
「…………ウス」
どうして狂犬ちゃんは岩ちゃんの言う事はすんなり聞くかなぁ!?そして岩ちゃんはどうして俺の出番を取っちゃうかなぁ!?
後そのカラリと晴れた笑顔はハルには毒だから、そろそろ引っ込めた方が良いと思うよ。だって見てみなよ、ハル顔真っ赤だもん。
「ハル、そろそろチャイムが鳴るから教室に戻りなよ。…ハル~?お兄ちゃんの声聞こえてますか~?もしもーし!」
駄目だこりゃ、岩泉一の笑顔にやられて息以外の全ての機能が止まってるな。
「狂犬ちゃん、悪いけどハルを教室に連れて行ったげてよ」
「…………」
「京谷、ハル連れて教室に行ってやってくれ」
「ウス」
「くそぉぉおお主将は俺なのにぃぃい!!」
俺が悔しがってる間に、放心状態のハルを脇に抱えて去っていった狂犬ちゃん。…もっと他に運び方あるでしょうが!!
「?ハルの奴どうしたんだ?」
ああ岩ちゃん、ホントに罪な男だねぇ。