桜色の片隅で
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最近は見かけないけど、旅行に行こうぜ的なキャッチフレーズの後ろで流れるCMの曲をフと思い出した。携帯のカメラ越しでも、桜の花びらが落ちていく様子が鮮明に見えている。クラリネットの優しい音で流れる脳内の曲と、暖かな春の陽気に照らされて、一瞬ここがどこだか分からなくなる。あれ?私って、お花見にしに来てたんだっけ?
「ちょっと千早―!昼の会議が始まるから早く帰るよー!桜の写メは後で撮れば良いでしょー!?」
先を歩いていた同僚に呼ばれ、自分の状況を思い出した。そうそう、お昼ご飯を食べに外に出て、後10分で会議が始まるから急いでた所、通りかかったこの公園の桜が綺麗で写メを撮ろうとしてたんだ。やべ、がっつり仕事中だった。
「今行くー」
ちゃっかり一枚だけ撮って、急いで後を追いかけた。頭の中には、まだあのメロディーが流れている。
「そうだ!京都行こう!」
「行かねーよ、そんな金どこにあんだよ」
「銀ちゃんの意地悪ゥゥウウウ!!!!」
誰が意地悪だっての。行く時間はあるけど金が無いんだよ!それが貧乏人にとって現実なんだよ!たった一つの真実なんだよ!
春が始まった途端に旅行会社がCMで余計なものを流し始め、これはマズイなと思っていた矢先に神楽の好奇心が突かれたのだ。ほらね~、絶対行きたいって言うと思ってたんだよ俺は~。
「白塗りなら俺がしてやるから。新八、水に溶かした小麦粉持ってきてくれ」
「そんなバラエティーみたいな白塗りなんかお断りヨ!!京都に行って美味しい和菓子をいっぱい食べて、お寺とか観光するアル!!!」
「お前みたいなお子ちゃまが京都を観光するなんざ100年早いわ。まずは身近な場所から旅行に行ってレベルを上げろ」
「例えば」
「まず大江戸スーパーでいちご牛乳買ってきてくれ」
「それ只のパシリじゃねーかァァアァァアアア!!!!」
まあ神楽の性格は熱しやすく冷めやすいタイプなので、しばらくしとけば忘れるのだ。今日一日ぐらい我慢したら、明日には違う事に興味を向けてるに決まってる。
大体女ってのはいつもそうだ。あれがしたい、これがしたい、我が儘を散々言う奴に限ってコロッと興味対象を変えやがる。一番良い例が神楽だな。そのてん千早はあんまり我が儘を言わない。そこら辺はちょっと見習ってくれ。
「近くの公園に花見とかなら行けるんじゃないですか?」
「花見だァ?去年みたいに真撰組と鉢合わせちまったらどうすんだよ。またお前の姉ちゃんが局長を半殺しの目にあわせるぞ」
「そ、それは…」
「姉御が来るのは嬉しいけど、ダークマターは勘弁ネ」
思い出すのは去年の悲惨な花見大会。何から何までチンピラ警察24時にケチをつけられ、それはもう至上最悪の花見になった。料理も暗黒物質しか無かった…。あれは人が食べていいものでは無かった。
ただ、今の神楽を黙らせるには適当に花見の日にちを決めておくのが一番だろう。近場で済ませるものの、出掛ける事が決まれば京都なんてすぐに忘れちまう。
壁にかかってるカレンダーを見れば、今朝の天気予報も思い出した。確か、この週末は晴れるんだっけか…。
「じゃあ土曜あたりにでも行くか」
「マジでか!!?」
「お弁当は責任持って僕が作りますから安心して下さい」
「お、良いねぇ」
「じゃあ銀ちゃんはお姉ちゃんを誘っといてネ」
「…………」
「何アルかその顔」
「何ですかその顔」
「…いや、別に」
真撰組がその日出てこれない様に門の前でゲロ吐いちゃるヨ!
目を輝かせてとんでもない事を言っている神楽の声を聞きながら、今頃睡魔と戦っているだろうアイツの事をぼんやりと思った。
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