いつか2人で1日を想う
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「「「「お疲れでーーーーす!!!!!!」」」」
その声と共にジョッキを高く掲げ、派手に乾杯をぶちかました後、私たちはそれを一気に飲み干した。仕事終わりのビールは喉に染みてとても美味しかった。
「今日の会議ホントにお疲れ!」
「頑張ったよね私たち!」
「上司の嫌がらせを受け流し!」
「荒れ狂う社会の波と戦ったさ!」
同期の3人と飲みにきた私は、今日の会議の戦いぶりを称えるために居酒屋へとやってきました。仲の良いこのグループは本音が話せるので本当に楽しい時間が楽しめる。枝豆とか焼き鳥とか、取り敢えずこちゃこちゃしたものを食べながら私たちは日頃の鬱憤を話した。
「今日千早凄い睨まれてたよねー」
「うん?そう?気にしない気にしない」
そう言いながら鳥の唐揚げを頬張った。
「そういや自分も良い顔されてなかったよ?」
「とか言ってる貴女のあの態度もどうよ」
「会議中に寝てるやつを私は初めて見たわ」
「千早もこの前爆睡してたじゃない!」
「ぎっっくうう!!!し、してないよ!してない!!」
「おじさーん!ビールおかわりー!!!」
「私冷奴ー!」
「巨峰のチューハイ下さーい!」
「人の話聞いてる!?」
良いテンポで話が出来て、自然と笑いが溢れるこの空間が本当にたまらなく好きだった。周りのお客さんにも負けない声で私たちはいろんな話をし始めた。
仕事から日常、
日常から仕事、
仕事に戻ったと思えば、
次は恋についてだった。
お酒を口に運びながら、私はぼんやりと坂田さんを思い出した。
いやいや、あの人の事が本当に好きなのかい、私。
3人が騒ぎながら好みの異性像を楽しそうに話している中、私はただ酒を飲みながら坂田さんだけを考えた。人の多い駅内で、私の腕を引いてくれたあの人の事を。
「………好きなんだ?」
まるで誰かに聞くような口ぶりでフと呟いてみれば、3人は大きくそれに反応してくる。盛り上がっていた話題を何の躊躇いもなく放り捨て、一気に私の呟きへと乗り込んでくる。心なしか目は輝いているように見える。
「好きな人居るんだ!?」
「良いなー……誰!?社内恋愛!?」
「社内………うーん…電車内で会った」
「私、明日から電車通勤するわ!」
「あんたはバイク買ったばっかでしょうが!」
「ガソリン代がバカになんないのよ!」
「ちょっと声がうるさいっての。で、声はかけたりしたの!!?」
「……喋った事はある…」
「「「明日から絶対電車通勤!!!」」」
息の合う声に笑いが込み上げる。すると、急に1人が立ち上がり、半分以上のんでいるジョッキを掲げながら立ち上がる。
「えー、それでは、我等が友の千早の恋愛成就を願ってー……かんぱぁぁあぁあい!!!!」
「「かんぱぁぁああぁあい!!!!」」
「どーもどーも!!是非とも頑張りまぁす!!!」
結局4人が立ち上がった。スーツ姿の女4人が、腰に手をあててビールを飲んでいるその姿はきっと面白いものだろう。
「「「「私たちに幸あれエェエェ!!!!!」」」」
取り敢えず周りに負けじと声を出して、笑った。
「ちょいとアンタ等騒ぎすぎですぜィ。こちとら近藤さんの196回目の失恋パーチー中でさァ。静かにしな」
「総悟くぅぅぅん!!??数とか正確に言わなくても良いからアァア!!!」
後ろらへんの席で飲んでいた栗色の髪をした少年が、ゴリラのような男の人をなぐさめていた。失恋パーチー中に騒いでしまったのは申し訳ない。けれど、酒が入った私たちが止まる事はない。
「失恋パーチー!?あっはっは!頑張って下さいよぉ!」
「諦めずに踏ん張って下さいね。私みたいに電車に乗れば良い事あるかもしれませんよ!」
「おじさーんビール追加ー!」
「「「私もーー!!!!」」」
「応援する感じがまったくありやせんねィ」
取り敢えずも、よく分かんないけど頑張ってみようと思う。あれから坂田さんには会ってないけど、また会えたら良いな、って単純に思う。それから、持っていたチューハイを一気に飲み干した。
「ぷはーっ!」
「良いぞ千早ーー!!!」
「飲ま飲まイェイ!」
「イエッフー!!」
「声のトーンを下げろってんでィ」
もちろん明日も仕事が待っているのに、配分を考えず酒を飲んだ結果、4人とも見事に二日酔いになるのだけれど、それもまた楽しいもの。成人が何ですか!青春が無いとは言い切れません!
「「「「私たちにかんぱーい!!!!!」」」」
より一層楽しげな声を出してやって、私たちは3度目の乾杯をやった。この楽しい雰囲気を、いつか坂田さんと味わえたら、何となく嬉しいだろうなと思った。
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