奇天烈文化祭
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第一章「出会った全てのものは敵とみなせ、絶対に背後を取られるな」
太陽が青空にぽかんと浮かび、惜しみなく暖かな光を注いでくれる気持ちの良い午後。この長閑なさんずぃー村は今日も平和な時間が流れています。
おや、向こうから1人の女の子が歩いてきました。彼女の名前は赤ずきんちゃん。その名の通り、赤いずきんがトレードマークの可愛らしい女の子です。
「土方くーん、私の赤いずきん何処―?」
うぉおおぉおおい!!!トレードマークの赤ずきん忘れて何のこのこ出てきてやがんだぁ!!しかも役者名で呼ばない!はいっ!やり直し!
「ちょ、ナレーション厳しいな…」
「おい教室に忘れてたぞ」
「あ、ありがとう土方君」
何ナチュラルにお母さん出てきてんのぉおお!!?しかも喋り方を直して下さい土方さん!って俺も直さないと!あ、観客の方、カメラのフラッシュはお切り下さい。お母さん役の土方さんが珍しいからといってブログやネットに公開するのは必ず止めて下さい。
…ゴホン、では改めまして、赤ずきんはちゃんと赤ずきんを装着しましたね?はい、それでは続けさせて頂きます。
…今日も元気いっぱいの赤ずきんちゃんは、何やらお母さんに頼みごとをされています。ワインとパン、そしてチーズが入ったカゴを渡されました。あ!こら食べるな!!
「もぐもぐ……で、お母さん。私はこれを隣町のお婆ちゃんに届ければ良いんだね?もぐもぐ」
「届けて欲しいパンは今全部お前に食べられたけどな」
「やっぱりパンはくるみパンが一番だね、ごちそうさま」
「一回殴って良い?……道のりはちゃんと覚えてるな?」
「覚えてますとも!だって私が止まってても勝手に背景が移動してくれるよ!」
「そりゃそうか。なら、寄り道のしようは無いが、途中で変な奴に会っても無視しとけ。良いか?困った時は家訓を思い出せ」
「イエッサー!赤ずきん家家訓その一、出会った全てのものは敵とみなせ、絶対に背後を取られるな!」
「上等だ」
馬鹿かお前ら!!世界観ぶち壊すような発言ばっかりして!!台本にはそんな台詞無かったでしょう!!!
「ちょっと崩しただけじゃねぇか」
「ねー」
ねー、じゃねぇよ!!
もう!2人は少し黙ってて下さい!俺が話の説明をしますから…!
え~、赤ずきんちゃんはお母さんに頼まれ、隣町のお婆ちゃんの家へ行く事に。お婆ちゃんは最近足腰が悪く、中々思うように体が動きません。そんなお婆ちゃんの為に心優しき赤ずきんは旅に出る事を決意し、己の剣の腕を磨く為にまずシュレイザー島の首都であるバランを目指し、港に停泊していた船に乗り込むのだった。そう、全ては村を滅ぼした憎き悪の化身・土方マヨネーズ閣下を倒すため……って誰だこれナレーションの台詞勝手に変えたの。返して下さい本物を!あ、やっぱり沖田さんでしたか!ホントにもう…。
……、…そんなお婆ちゃんの為に心やさしき赤ずきんは意気揚々とカゴを持ち、笑顔でお母さんに言いました。
「行ってきます!お母さん!」
「ああ、気をつけてな。困った時は赤ずきん家家訓」
「出会ったものは…」
その物騒な家訓はもう良い!!さっさと行って下さい!
「ではナレーションが急かすので行ってきまーす!」
お母さんに大きく手を振って、赤ずきんはお婆ちゃんの家を目指して歩きだしました。
途中の野原でお見舞い用の花を摘んだり、木に実っていたリンゴをもぎとって食べたり…あ、それ本当にもぎ取れるようになってたんだ…、まあ何やかんやしながら森の中へ入っていくと、太陽の光が木々に隠れ、少し薄暗い空気の中を歩く事になってしまいました。
怖いもの知らずの赤ずきんは、そんな森をものともせずずんずん進んでいきます。
「ワリ、台詞忘れてたわ」
普通に舞台袖から出てくるな母親―!
「なぁに土方君」
だから役名で呼べー!!
「森の中は狼が出るから気を付けろよ」
「サー、イエッサー!」
………。狼の忠告をようやく受けた赤ずきんでしたが、ものの2秒で忘れ、
「失礼な、3分ぐらいは覚えてるよ」
…、道端に生えていたキノコに夢中になってしまいました。
「わあ、キノコがこんなに沢山。これを食べたら、きっと服部先生の持病も治る事だわ」
「キノコなんかで治るかァァアアア!」
はい、落ち着いて下さい服部先生。観客席から声を出すのは今後控えるように。
優しい赤ずきんは部外者である服部先生の持病の完全治癒の為キノコを楽しそうに取っていました。それに夢中になり過ぎて、奥から聞こえるガサガサという音に気付いていません。草をかきわけて、何かが赤ずきんに近寄ってきます。
「?何の音かしら」
やっと赤ずきんが顔を上げた時、木の陰から飛び出してきたのは1人の狩人でした。…あれ?1人?まあ良いか…。
「こんにちは狩人さん」
「お嬢さん、ここら辺を1人で歩くのは危ないネ」
「どうして?」
「この森には、俺が数十年とやり合ってきたツキノワグマの八兵衛が居てな、右目に大きな切り傷のある2mを越す巨大な…」
なんで日本昔話みたいになってんだ!!狼!!出るのは狼です!
「……だ、そうです」
「説明を放棄しましたね狩人さん…。で、その狼は何か悪い事でもするんですか?」
「可愛い女の子を全て食べるアル」
なんかその言い方嫌だな…。
親切な狩人さんに忠告を受け、赤ずきんはすぐに立ちあがりました。それなら早くこの森を抜けないと。そう危機感を持ってくれた赤ずきんに、親切な狩人は言いました。
「途中までなら送っていくアル」
「わあ、ありがとう」
満面の笑みで赤ずきんはお礼を言いました。……はい、そこー、カメラのフラッシュは焚かないで下さいという注意は先ほどしましたよー。うちの主演女優さんを勝手に撮らない様に!
