凸の行方
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例えばコレは、耳鼻咽喉科に行けば取ってもらえるものだろうか?
四六時中感じる違和感ともそろそろオサラバしたい。
期待外れの気持ちで目覚める度に確実に大きくなっていく不快感に似た何か。実際に魚の骨が喉に刺さってんじゃないかと危惧してしまうぐらい、コレは確かに俺をちくちくと苦しめているのだ。誰でも良いから、この違和感を取り除いてはくれないか。
パチパチパチパチパチ!
拍手の音が右耳から左耳へ突き抜けた。最後のリハーサルを終えた3Zの面々が、今までの頑張りを互いに褒め合っている。
「後は明日頑張るのみよ。私が監督をつとめたんだから絶対大丈夫。絶対成功するに決まってる」
「うわ~、なんか緊張してきたね~私ちゃんと出来るかなー…」
「大丈夫でさァ。アンタは大人しく俺の銃に撃たれときゃ良いんでィ」
「そんなストーリーじゃないから!」
只の小道具とは思えないぐらい完成度の高い銃を向けられ、赤ずきんがヒィヒィ言いながら体育館を逃げ回っている。
本番と同じ衣装を着ている面々は、いつものユルさの中に多少は緊張の色が入っていた。
しかし、文化祭1日目の初っ端の劇を任されてる割には落ち着いている。肝が据わっている集団だというのは担任の俺がよく知っているので、特にちょっかいをかけたり引っかき回すつもりはない。
最後の調整も終わって、あとは終礼をやれば今日は終わり。体調は完全に復活したが、何となく早く帰りたい気分だった。
「んじゃお前ら先に教室戻っとけ。俺は職員室寄ってから行くわ」
「キャァアアア!!!!銃を下ろせ狩人Bィィイイ!!!」
「……………」
すばしっこく逃げ回る夏目とそれを狙う沖田には聞こえなかったみたいだが、他の奴らには聞こえた様で教室に戻る準備を始めていく。
「ハルも早く戻ってくるヨロシ」
神楽に声をかけられ、何とか逃げ切ろうとする夏目がこっちへ走ってくる。
目を覚めさせる、赤い頭巾。あの時のお前の声が俺に届けば、こんな得体のしれない違和感を喉に飼う事は無かったというのに。夏目に罪は無いが、言ってくれるんじゃないかという期待はどうしても消えない。何このモヤモヤ!誰か取ってェェエエエ!!!!
「さ~、明日の準備してから帰りましょうか」
すっかり監督業が身に付いた志村(姉)の一声で3Zが体育館から出はじめた。
「銃を下ろせ狩人B!話し合えば分かる!!」
後ろから聞こえる赤ずきんの声。………俺が聞きたい内容は、きっとこんな台詞ではないであろう事だけは分かる。
**********
ぱしん、と頭を誰かに叩かれてゆっくりと目を開ける。……あれ?もしかしてなくても俺寝てた?
「何寝てやがる職務怠慢野郎!」
「あ、ボラ●ノール先生」
「殺すぞ!!!!」
思わず心のあだ名をもらしてしまい、第二発目が頭にきそうな所で体を起こした。あれだ、職員室に来るとどうも眠たくなるんだよ。生徒が授業始まった途端に寝るのと一緒だから。特有のマジックにかけられただけだからコレ。
小一時間は寝たようで、5時を少し過ぎていた。ついでに定時も過ぎているので帰れるのは帰れるが、おそらく教室には居残り組がまだ居座っているだろう。明日の準備はさほど残ってないが、緊張を紛らわす為には何気ない話をクラスメートとする方が良い。特にあの赤ずきんは家で1人で居るよりあいつ等と居たがるに決まってる。
一声かけて帰るべきか、それともここは教師面してあいつ等が帰るまで一応俺も居残るか…。
「……よし、もうひと眠りしよう」
「何故そうなる」
仕事しろよ、という声を右から左に受け流し欠伸を一つこぼした。
「俺はネ、寝なきゃいけない理由があるんですぅ~」
「なら寝とけそして一生目覚めるな」
「ヤダ服部先生ってば超怖~い」
「超ウザ~イ」
妙にイライラしているなと観察してみれば、どうやらテストの丸付けをしているらしく(しかも3Z)、その正答率に呆れかえってるんだとか。さすが期待を裏切らない我が生徒諸君。
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