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よーし、作戦の確認を行うアル。敵が出てきたらぼこる。以上、解散!
「解散!?何処に!?しかも確認を行う程の作戦じゃないよねそれ!!」
「発言は慎め志村捕虜」
「捕虜!?僕捕虜なの!?」
万事屋内で思わぬ格差喧嘩が勃発してる間に、車は目的地への港へと到着した。大きな港な為、怪しげな倉庫は幾つも建ち並んでいるが、一か所だけ黒塗りの車が何台も止まっている場所があった。土方組からハズレという連絡を受けた今、ここが取引先であるのは明らかだった。
「山崎、止めろ」
沖田が真剣な声音で指示を出せば車は倉庫前で止まる。一番に飛び出したのは、沖田と銀時が同時だった。
「ちょっと沖田隊長、隊士への指示も出してから行って下さいよ!!」
「銀ちゃん抜け駆けはずるいアル!!」
山崎も神楽もそれぞれ2人を止めるが、既に倉庫の中に消えた後だった。
「結局俺が指示出すハメになるのか…」
あまりそういったのが得意ではない山崎は頭を項垂れたが、それでもすぐに無線を取ってこの場に居る隊士達に援護の指示を送り、土方組への連絡もした。
「新八~2人とも行っちゃったアル」
「……心配なら素直に言えば良いのに…」
「ホントにね」
パトカーから降りた瞬間に、発砲の音はすぐに聞こえた。自然と足も早くなり、大きな扉を馬鹿力であけてみれば、血の匂いと銃弾が揺るがす空気の振動を肌で感じる事が出来た。
だが、何かの拍子に銃弾がパタリと止み、気持ち悪い程の静寂が訪れた。
「何だ…?」
「…あっちの方から誰かの気配がする、様な気がする」
「あてになりやせんねィ」
と言いつつ沖田は銀時の背を追った。パトカーの中の落ち着きっぷりは一体何だったのかが沖田には不思議だった。
臆する事なく、そして迷わず自分と同時に車を飛び出したのが少し悔しかったのだろう、俺1人で十分です、と強がった。
「そりゃ俺の台詞だ」
「ホストは黙ってホストクラブで働いてりゃ良いんでさァ」
「ははは残念だったね沖田君、ホストはクビになったのだよ」
「でしょうねィ」
徐々に何かの気配に近づいていくのが分かる。一体そこに居るのは誰なのか。
決定的な声が聞こえたのはすぐだった。
「待って!!!」
彼女の声だ。
銀時も沖田も木刀と刀を抜く態勢は整えてある。後は勢いのままここを抜け出して彼女の前に立ち敵を倒す。非常に簡単な撃退プランを頭に立てて、そしてそれを実行される時がきた。
「ほな、ちゃっちゃとやったろかいの~」
彼等の、手によって。
「は?」
間抜けな声を出したのは果たして銀時だったか沖田だったか、刀の柄を握ろうとしていた右手はだらしなくブラリと垂れ下がった。
「うおらぁぁぁああああ!!!!」
「いてもうたれぇぇえええ!!!!」
「そっちに逃げたぞぉぉおおお!!!」
「わー待って下さい皆さーん!あんまりおイタしないで下さーい!皆さんの事までしょっぴかないといけなくなっちゃうじゃないですかー!」
2人が見た光景は異様なものだった。上に隠れていた天人達、そして彼女に拳銃を向けていたであろう天人に強面の男達が素手で掴みかかっているのだ。露出された肌には桜が散っていたり、龍が天に舞い上がっていたり、それはそれは賑やかな肌であった。
そんな男達を統括する人間が、気絶させるだけで良いですーと叫ぶ彼女の横でカッカッカッと笑っている。見事な七三分けが輝いていた。
「張り切ってまんなぁ」
「そんな場合じゃないですよ!もー大丈夫ですからそろそろ止めて下さい!」
「つまらんのお」
最初に正気に戻った沖田が無言で彼女の背後まで歩み寄り、そして強烈な脳天チョップをお見舞いした。
「いっ……!!!!」
体中を電気が走り抜けたように痺れ、反射的に涙が出た。
「ったぁあ~~……!!誰ですか!」
「お前の隊長です」
「沖田隊長!!!!」
抱きつかんばかりの勢いで起き上がった彼女の左腕をあざとく見つけた沖田は、まず自分のスカーフで止血する為に腕を縛ってやった。すいません、と色んな意味で謝った彼女に、何でィこの状況は、と問いかけた。
彼女が沖田に説明をしている間に、銀時もようやく我に返り何度か面識のある七三分けの男、黒駒勝男の所まで歩み寄った。
「テメー俺の大事な登場場面をどうしてくれるんだコノヤロー」
「あぁ?お前が助けにくるのが遅かったんやろボケェ。王子様気取るんならもう少しはよ来んかい」
撃たれる所やったで、と静かに言われて何も言い返す事は出来なかった。ただ無性に腹は立った、なんとなく。
「ほなそろそろ終わらせよか。巣巻きにして海に捨てといてくれ」
「駄目ですってばァアアアア!!!!」
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