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ザザザ、と無線にノイズがまじる。周りの音に気を取られぬ様に、彼女はイヤフォンをしている左耳へ集中した。
――えーっと、こちら山崎、応答願います
「こちら緋村です、どうぞ」
――入り口付近に怪しい連中を発見、沖田さんが対応に向かってます、どうぞー
「了解しました」
ただいま真面目に潜入捜査中の緋村は内容を確認して、すぐに足を進める。ここは人が多いが違和感なく簡単に周りに馴染めるのは利点だった。
彼女は現場に向かいながら無線で沖田に呼びかける。
「こちら緋村、沖田隊長応答ねがいます」
――あー、こちら沖田、現場に到着しやしたどうぞー
「え!?私もすぐに向かいます、どうぞ」
――…いや、焦らなくて良いですぜィどうぞ。寧ろ来ない方が良いでさァ。アンタ等はさっさとお引き取り願えますかねィどうぞ。出口はこちらですどうぞ
「隊長!"どうぞ"の使い方がよく分かんない事になってます!」
――良いから帰りやがれって言ってんでィこのチャイナ娘
「………チャイナ娘?」
――…チャイナ娘じゃないアル、歌舞伎町のグラと呼ぶヨロシ
「………ヨロシ?」
一瞬沖田の声とは違って女の子の声が聞こえた時、彼女がようやく入口へ辿り着いた。たどり着くや否や、沖田がバズーカをぶっ放し今まさに潜入している高天原の門の一部を破壊。「えぇええ!?」と彼女が驚く暇もなく、たちこめた黒煙の中から勇ましい声で跳び出してきたのは、見間違いでなければ神楽だった。
そうしていつもの様に常人では真似出来ない乱闘が始まり、周りのボーイ達があたふたとしている。彼女は階段の上から「何この状況…!?」と頭を抱えていた。
「沖田隊長何やってんですか!」
「うおらぁぁあああ!!!」
「ほあちゃぁぁあ!!!!」
「全然聞いてないし…!そこの暴走車2人!今すぐ左に寄って止まりなさい!」
まるで車に呼びかける様にピーピーピーと笛も鳴らす。生憎それはリオのカーニバルで使う様なホイッスルだったので、ツッコミ役である新八の「いや、そんな楽しそうな音じゃ誰も止まらねぇよ!」という叫びが冴え渡った。
「志村さん!?何でこんな所に!?」
「ゲホッ…やっと逃げれた…って言うか緋村さんこそ何してんですか!しかもその格好……」
なんとか沖田の凶弾から逃げてきた新八が階段を上がってくる。見下ろせばもはやそこは戦場そのものだった。
「ったくよー、何でアイツがここに居るんだよ…」
「!坂田さんも居らっしゃるんですか!?」
「げ、お前こんな所で何してんだ、転職かぁ?」
「違いますよ!万事屋さんこそ何してるんですか。ホストにでもなるつもりですか?」
「ホストの格好してるお前に言われたくねーし。真撰組に愛想でもつきたか」
「だから違いますってば!」
相変わらずのコンボを繰り出す2人は、順調に高天原玄関口の破壊活動を進めていく。遂には周りのボーイ達を巻き込み始めて、事態は更に悪化していくばかり。
「おいおい、これ修理費として逆に金取られんじゃねーの……?」
乾いた笑みをもらす銀時の横で、彼女は意を決した様に「よし!」と意気込んだ。パッと見、綺麗な男に見えなくもないが妙に可愛らしい小さな気合の入った声。その時点でかなりのミスマッチが起きているが、更なるミスマッチ具合に新八はまた突っ込まざるを得なかった。
「え、緋村さん…?バズーカなんか担いでどうす…!!」
新八の制止の声もむなしく、彼女は迷う事なく凛々しい顔つきで引き金を引いた。その瞬間1発のミサイルが沖田と神楽に吸いこまれる様にして飛んでいき、派手な爆発が起こった。
破片や何やらが飛んでくる中、彼女は爽やかな笑顔で額の汗を拭う。そして無線へ連絡。
「えー、こちら緋村。不審者を排除しました、どうぞ」
――了解しました、どうぞー
何事も無く掃除を終えて、彼女は固まっている銀時達へ極上の笑顔で振り返った。
「ようこそ、天使の休息所”高天原”へ」
