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「銀ちゃーん、グレートマザーから手紙が届いてるネ」
「………誰それ?」
ソファーに寝転び銀時がうたたねをしていた所、神楽が腹の上に乗っかってきて、一枚の手紙を顔付近にちらつかせてくる。記憶を掘り返してみるが、自分にグレートマザーという知り合いは居ない。
神楽の手からそれを取って封を切る。癖のある字で万事屋へ手紙を出してきたのは、グレートマザーならぬ八郎の母ちゃんであった。
いつの話だったかは覚えてないが、家を飛び出した息子を探して江戸までやって来て、この万事屋へ手伝いを求めてきた八郎の母ちゃん。色々振り回されはしたが、息子と会わせる事も出来たし、まあ無事に解決した依頼ではある。
今になって何故アクの強い八郎の母ちゃんが手紙を寄こしてきたのか。内容に目を通すにつれ、銀時の眉間に皺が寄る。
「銀ちゃん何て書いてあったアルか?」
「もしかして来られるんですか?」
向かいのソファーで新聞を読んでいた新八も顔を上げる。銀時の表情を窺うと、これはどうも「めんどくさい」と思ってる時にする顔だとすぐに分かった。
綺麗な銀髪をかきながら起き上がれば、神楽も降りて素直に隣に座る。そして手紙を新八に渡せば、今度は彼の隣へ移動して一緒にそれを覗きこむ。
「…つまり、八郎さん……って言うか狂死郎さんの様子を見てきて報告すれば良いんですね」
「ざけんじゃないネ、あのババア。万事屋をパシろうとは良い度胸アル」
「神楽の言う通りだよチキショー。そんなに心配なら自分で行けっつんだよ」
「でも銀さん、報酬はしっかり頂けるみたいですよ。ほら、追伸の所に"報酬はお振込いたします"って書いてありますし」
「期待できねーよ。どうせATMにカボチャとか突っ込んでんだろ」
そんな事を話していると、タイミング良く万事屋のチャイムが鳴らされて、お届け物でーすという飛脚の声も聞こえてくる。
届け人は八郎の母ちゃんだった。カボチャだろうと悪態をついてみたものの、やはり期待は拭えないというもので、3人はリビングに運んだ段ボールを囲んだ。取りあえず銀時がガムテープを剥がし、神楽が勢いよく開ける。そして中をのぞいた新八が突っ込む。
「せめて調理前のカボチャを送ってこいよォォオォオオオ!!!!」
リズムの良い3人組のテンポを尻目に、定春が欠伸を一つこぼした。
「信じられねーよアイツ。何で調理後のカボチャを送ってくんだよ。しかも何でクール便じゃねぇんだよ!!」
半分腐ってたじゃねーか、と銀時が口を尖らせる。ちなみに服装は、前回八郎の母ちゃんをつれて「高天原」に行った時のホスト仕様だ。
残念ながら、八郎の母ちゃんお手製のカボチャの煮つけは長旅によってだいぶ傷んでいたので報酬としては貰えない。今月がピンチの万事屋にとってはすぐにでもお金が欲しい状況なので、ひとまず母ちゃんの言う通り高天原へ行く。そこで彼の様子を見つつホストとして金をがっぽり稼ぎ、報告代として後から母ちゃんに報酬を請求する。ホストとして金が稼げるかどうかは分からないが、やるしか無かった。
「今夜の私ならホスト界の王になれる気がするネ!」
「いや、神楽ちゃんは女の子だから。ホストにはなれないから」
「オナベだって居るんだし気にすんなヨ。ね、銀ちゃん」
「その意気だ神楽。取りあえず色んな客から金を巻き上げろよ」
「最悪だこの人たち…」
銀時のあくどい計画に自然と巻き込まれる形になった新八と神楽だが、彼女はノリノリ状態で、しきりにスーツ姿を「似合う?」と聞いてくる。同じくスーツ姿の新八は機嫌を損ねないように「似合うよ」と無難に答えていた。どっからどう見ても女の子にしか見えないが、本人が楽しそうにしてりゃ良いだろうと割り切ってみる。
派手なネオン街を歩いていれば、やがて立派な店構えが見えてくる。あれこそが、歌舞伎町で一番のホストが居ると言われている「高天原」だ。
相変わらずのキラキラぶりに、3人はまるで田舎者の様に「おー」と感嘆の声をもらし、扉へ続く階段へ足をかけたのだった。
