明るいほうへ
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ああ、頭が痛い。
まるで頭のどこかが脈を打っているように疼いている。とてつもなく痛くて、いつもの様に引き出しに入っている市販の薬を探す。……あれ、ここ真っ暗じゃないか。どうして?停電?でもおかしいな、私の手がどこにあるか分からないぐらい真っ暗って異常じゃない?
あ、もしかして気付かない内に世界でも終わったのか。
それは困ったな…。まだ終わらせてない仕事がデスクの上に山盛りだというのに、それを処理できず世界の終わりを迎えるというのは実に悔しい。
(でもまあ、この頃ちょっと疲れたし、働く事はもう考えずに潔く終りを迎えよう)
目を閉じているのか開いているのかさえ分からないし、自分の体があるのか無いのかも分からない空間で、ふぅと息を吐いた(ような気がした)。
広がる黒い空間に溶けていくような感覚に、いよいよ最期の時を知る。
ズキズキ。
それでも、やはり頭が痛すぎる。
そのせいで意識だけはしかと残っていて、実体が消えても己の阿呆らしい思考回路だけがこの世に存在し続けていってしまうような気がする。あぁやだ。
意識が残るっていうなら、あとちょっとぐらい生きさせてくれても良いじゃないですか。
(ここがどこだか分かんないくせに、よく喋るなぁ私も…………あれ?これ声に出してんのかな?)
ズキズキ。
それにしても頭が痛い。どうして?
……あ、そう言えば私風邪ひいてたような気がする。最近帰りが遅くてろくなもん食べれてなくて睡眠時間も減って、不規則かつ不健康な生活をしてたんだった。
減らない仕事にワーワー騒いでたけど、体も限界だったんだっけ……。
どうりでずっと頭が痛い訳だ。
世界の終りじゃなくて、私の体力の終りだったんだな。
でも困った。こうも暗くちゃどうにも出来ない。溜まってる洗濯物を干したいし、消化の良いもの作って食べなきゃいけないし、職場でも家でもやらなきゃいけない事が沢山……。
(うう…考えただけで頭が痛い…)
どうして私って要領が悪いんだろう…。この世には仕事もプライベートも完璧にこなしている人も居るというのに…。情けなくて涙が出るわホント…。
相変わらず痛みがおさまらない。さて、どうしたものか。
(ん?今誰か私の名前呼んだ?)
……気のせいかな。まさかこんな真っ暗な場所で人と出会えるなんて無いしね。って言うかここは本当にどこなんでしょうか。いい加減独り言を呟くにも飽きてきたんですけど。誰でも良いから半分は優しさで出来てると噂の薬をちょうだい。
そしたら、頭痛もきっと治って、私はまた頑張るから。
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