分かったこと
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甘味を買いに行こう。
そう思って俺はソファーから立ち上がった。新聞を読んでいた新八に出かける事を告げれば、「銀さんも甘味ばかりじゃなくて、たまには新聞とか読まないと」と口うるさい母親のように言ってくる。
「俺だって世の中の動きぐらい把握してらァ」
「そのついでに自分の血糖値も把握して下さいね」
「その通りネ」
神楽まで揃うと尚更うるさく感じ、絶対土産は買ってこないからな、と啖呵を切って家を出た。スーパーまで歩くのも面倒に感じ、コンビニでプリンでも買おうと思い歩きながら財布を持ってきているのを確認した。
天候は晴れ、気温は21度。
普段と変わらない町並み。
行き交う人の数。
見慣れたその景色の中に、つい最近知ったばかりの人間の背が見えたのは、万事屋を出て数分後の事だった。
泣く子も黙る真撰組。
恐ろしいのか可笑しいのか良く分からないキャッチフレーズを引っ提げているその集団は、悔しくも我等が江戸の治安を守っている一つの団体だ。ゴリラ局長やマヨラー副長を知るまでは中々むさくるしい団体なのだろうと勝手に感じていた。無論、その想像が間違っている訳でもない。
けれど、たった一人だけ、そのイメージを払拭させる人物が居る。
それが緋村という女隊士だった。
数日前に沖田の横について検問を行っていたのをたまたま見かけた。因みにスクーターに乗っていた俺は沖田に捕まり、半ば世間話をしながら緋村を紹介された。一番隊に所属してんだとか。
”沖田隊長の方が実は年下なんですけどね”
笑ってそう言っていた緋村の腰にはしっかり刀があって、制服は真撰組そのものなのに、女という事だけで全然違って見えた。確かに、男ならあんな風に柔らかく笑えない。
まだ子供のように無邪気な笑みに見えたし、何より検問のチェックシートらしきものを持っているその手は、まだ汚れを知らない綺麗な手だったと思う。
そんな緋村が普通の着物で街を歩いているという事は非番か何かなのだろう。
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