【TSUBASA】KANDE【DE〇MOパロ】
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一段一段、階段が増えていく。
その度、KANDEの演奏する曲が悲し気な曲調になる。
階段とKANDEを見つめるしかない翼は、曲が終わる度涙を流していた。
遂に、最後の一段が現れた。
KANDEが創り出した階段を一段一段上る。
最初は、不気味な生き物だと怖がった。見えない口で音楽を奏でるKANDEが不思議でたまらなかった。
こどもの存在を初めて見つけて、木の生長を嫌がるこいつは一体何者だと何度眉を顰めたことか。
KANDEが何者か、こどもが何なのか。結局、最後までわからなかった。
最後の一段。
お礼を言おうと、後ろを振り向く。
こちらを見上げるKANDEの隣に、いつの間にかあのこどもがいた。
KANDEが楽器を構える。
奏でるのは、初めて聴く曲。
けれども、翼は何故か曲の意味を理解した。
KANDEが奏でるのは、別れの歌。鎮魂歌だ。
曲が盛り上がるにつれて、KANDEの黒い身体から黒が溶ける。そして見えたのは、女性のものと分かる指先。目だけしか分からなかった顔は、自分と同じ年頃の女の子のものに。細長い足は、自分が通う中学校の制服へ。
KANDEの黒が全て溶けた瞬間、翼の中で様々なことが浮かんでは消えた。
学校の中で、少し離れた席にいた女の子。自分の周りにいるタイプとは違った記憶がある。彼女は、KANDEと同じ楽器を吹いている、吹奏楽部員だった。
最後に頭に過ったのは、車に轢かれかけた記憶。信号無視のトラックがこちらに向かっていて、何かに背中を突き飛ばされた。倒れた翼の目に、最後に映ったのはーーー
「お前、まさかーーーー」
『奥井君』
曲を終えたKANDEだった人物―――同級生の奏が微笑んだ。初めて聞いたが、優しい声だった。
涙を浮かべて笑みを浮かべた奏。
その隣で、こどもがフードと仮面を外した。
こどもは自分と同じ金髪を揺らし、今やアルバムの中でしか見れない幼い自分と同じ顔でこちらを見つめていた。
翼が乗る最後の階段が、ふわりと浮かぶ。
予想していなかった衝撃に、翼はへたりと膝から落ちる。
翼を見上げる奏が泣き笑いながら、足元からはらはらと消えていく。
げ ん き で ね
奏の唇が、そう動いた気がした。
意識が浮上し、目の前に見えたのは白い天井。
翼を取り囲むように、医者や看護師が覗き込んできた。
「翼君、意識が戻りました!」
「すぐご家族へ連絡を!」
人工呼吸器で送られてくる酸素。
窓の外に見える都会の姿。
翼はハッと目を見開き、自分を縛るものを全て引き千切って窓を開ける。
聞こえてくるのは車の走行音にクラクション、人の歩く靴音、話し声。
突然翼の膝が力を失った。
翼君、と看護師が二人掛かりで翼の脇を抱える。
翼の瞳からはらはらと涙が落ちる。どうして自分が泣いているのか分からない、けれども自分が何かを失った気がして、それが悲しかった。
その度、KANDEの演奏する曲が悲し気な曲調になる。
階段とKANDEを見つめるしかない翼は、曲が終わる度涙を流していた。
遂に、最後の一段が現れた。
KANDEが創り出した階段を一段一段上る。
最初は、不気味な生き物だと怖がった。見えない口で音楽を奏でるKANDEが不思議でたまらなかった。
こどもの存在を初めて見つけて、木の生長を嫌がるこいつは一体何者だと何度眉を顰めたことか。
KANDEが何者か、こどもが何なのか。結局、最後までわからなかった。
最後の一段。
お礼を言おうと、後ろを振り向く。
こちらを見上げるKANDEの隣に、いつの間にかあのこどもがいた。
KANDEが楽器を構える。
奏でるのは、初めて聴く曲。
けれども、翼は何故か曲の意味を理解した。
KANDEが奏でるのは、別れの歌。鎮魂歌だ。
曲が盛り上がるにつれて、KANDEの黒い身体から黒が溶ける。そして見えたのは、女性のものと分かる指先。目だけしか分からなかった顔は、自分と同じ年頃の女の子のものに。細長い足は、自分が通う中学校の制服へ。
KANDEの黒が全て溶けた瞬間、翼の中で様々なことが浮かんでは消えた。
学校の中で、少し離れた席にいた女の子。自分の周りにいるタイプとは違った記憶がある。彼女は、KANDEと同じ楽器を吹いている、吹奏楽部員だった。
最後に頭に過ったのは、車に轢かれかけた記憶。信号無視のトラックがこちらに向かっていて、何かに背中を突き飛ばされた。倒れた翼の目に、最後に映ったのはーーー
「お前、まさかーーーー」
『奥井君』
曲を終えたKANDEだった人物―――同級生の奏が微笑んだ。初めて聞いたが、優しい声だった。
涙を浮かべて笑みを浮かべた奏。
その隣で、こどもがフードと仮面を外した。
こどもは自分と同じ金髪を揺らし、今やアルバムの中でしか見れない幼い自分と同じ顔でこちらを見つめていた。
翼が乗る最後の階段が、ふわりと浮かぶ。
予想していなかった衝撃に、翼はへたりと膝から落ちる。
翼を見上げる奏が泣き笑いながら、足元からはらはらと消えていく。
げ ん き で ね
奏の唇が、そう動いた気がした。
意識が浮上し、目の前に見えたのは白い天井。
翼を取り囲むように、医者や看護師が覗き込んできた。
「翼君、意識が戻りました!」
「すぐご家族へ連絡を!」
人工呼吸器で送られてくる酸素。
窓の外に見える都会の姿。
翼はハッと目を見開き、自分を縛るものを全て引き千切って窓を開ける。
聞こえてくるのは車の走行音にクラクション、人の歩く靴音、話し声。
突然翼の膝が力を失った。
翼君、と看護師が二人掛かりで翼の脇を抱える。
翼の瞳からはらはらと涙が落ちる。どうして自分が泣いているのか分からない、けれども自分が何かを失った気がして、それが悲しかった。