同じクラスの縁下くん
私は進学クラスだけど落ちこぼれ。
大学には行きたいからと安易な気持ちで進学クラスを選んだら、授業に全然ついていけなくて、先生に聞きに行こうにも「どこがどう分からない」のかさえ説明できなくて途方に暮れていた。
夏休みは全教科補習だった上に、宿題も分からなすぎて手をつけられず、自分の理解力の無さに自己嫌悪になっていた。
夏休みの補習の帰り、先生の「何度教えたら分かるの?」という発言に傷つき泣きながら帰っていた。
「〇〇、どうした?」と後ろから声がした。
振り返ると隣の席の縁下くんがいた。
きっと部活途中だったんだろう、ジャージを着た彼がこちらを見ている。
「今、補習の帰りでね…私が馬鹿すぎて、何度言えば分かるの?って先生を困らせちゃった…」
自嘲するかのように伝えると、
「俺で良ければ勉強教えようか、どうせこの後、西谷や田中に勉強教えるからさ」と声掛けてくれた。
部活が終わるまで図書室で待っていたら、縁下くんが迎えに来てくれた。
待っている間、宿題を進めようと問題集を開いたのだけど、1問も解けなかった。
「勉強してたんだ」ってノートをのぞき込まれたけど
「…でも全然わかんなくて…ノート真っ白でしょ?」
「ここムズいからなぁ、後で教えるよ」
すっごく優しい声で慰めてくれた。
今日は1組の田中くんの家で勉強会。
縁下くんと成田くんが手分けして教えてくれた。
「どこがわかんないのかわかんないの」って無茶苦茶なことを言ったせいか、最初から全部教えてくれた縁下くん。
全然手が動かなかったのに、いつの間にかノートがびっしり埋まるぐらい進んでた。
田中くんの家から帰る時、帰る方向が同じ縁下くんに送って貰った。
「そういやさ」少し前を歩く縁下くんが振り返った。
「こないだ、掃除中に鼻歌歌ってなかった?」
「へ?いつだろ?」
「えーと…あ、終業式のあとの階段掃除のとき!」
「歌ってたかも…気分乗らなくてイヤホンで音楽聞きながら掃除してたんだ。ごめん、うるさかったよね」
「そうじゃなくて、歌は知らなかったんだけど、声がかわいいなぁ…って思って」
「かわいい…かなぁ?」
「うん、また聞きたい」
「えー、そんな上手くないよ」
「ちなみに何歌ってたの?」
「…秘密」
「えーなんでだよ」って不服そうな縁下くん。
その時歌ってたの、確かラブソングだったから。
その日の夜。
LINEを交換した縁下くんと通話を繋ぎながら勉強をした。
「〇〇ページの問××がわかんないの」って聞いたら
「しょーがねぇな」って言いながら教えてくれる。
「タダで教えて貰って申し訳ないなぁ…今度何か奢る」ってスマホの前で手を合わせていたら、
「じゃあ、今度カラオケ行こう?いろいろ歌って欲しい」って言われた。
*******
LINE交換した日から毎晩通話しながら勉強してたおかげで、無事に夏休みの宿題が終わって、バレー部の2年生ズとカラオケに来た。
みんながいろいろ歌う中、ニコニコしながら聞いてたら
「お前も歌えよ」って縁下くんにマイクを押し付けられた。
「みんなが知ってる歌は歌えないかもだよ…」
って不安がったら
「かわいい声が聞けるなら何でも」って耳打ちされた←
♫♫♫♫♫♫
木下くんが「これ、サイサイじゃん!知ってる!」ってノッてくれた。
「知ってるの、嬉しい!サイサイ好きなんだ~」
ってテンション上がっちゃった。
そっからはサイサイばっかり歌ってしまった。
帰り道。
木下くんにCD貸すね~とか話してたら、縁下くんが割り込んできた。
「俺にもCD貸して、覚えるから」
「でもあんまり興味無さそうだったよ…?」
「これから好きになるから」って小さな声で言われた。
他の子とバイバイして、また縁下くんに送って貰った。
「…なぁ、やっぱりカラオケは2人で行けばよかった」って言われて
「なんで?楽しかったじゃん!」って言い返したら
「かわいい声、やっぱり独り占めしたかった」って。
「…そういうの、その気がなくたって期待しちゃうじゃん」ってふくれっ面になってたら
「期待していいよ」
「へ?」
「前から好きだったよ、歌う声もだけど、普段の声もかわいいとこ。いつかたくさん話したいなって思ってたし」
赤くなった顔を私に見られないようにしながら、縁下くんが私の左手をさらっていった。
「あぁ、もう、そういうことされたら好きになっちゃうじゃん!」って離れようとしたら、ぎゅっと離れないように強く手を握ってきた。
「好きになってもいいよ」
「じゃあ、好きになるよ?いっぱい勉強を教えてもらうし、いっぱいワガママも言うかもだよ?」
「いいよ、独り占めできるんなら」
「そういうこと、サラッと言わないでよ/////」
夏の暑さとも違う熱さが込み上げてきた。
大嫌いだった勉強が、彼のおかげて好きになれそうです。
大学には行きたいからと安易な気持ちで進学クラスを選んだら、授業に全然ついていけなくて、先生に聞きに行こうにも「どこがどう分からない」のかさえ説明できなくて途方に暮れていた。
夏休みは全教科補習だった上に、宿題も分からなすぎて手をつけられず、自分の理解力の無さに自己嫌悪になっていた。
夏休みの補習の帰り、先生の「何度教えたら分かるの?」という発言に傷つき泣きながら帰っていた。
「〇〇、どうした?」と後ろから声がした。
振り返ると隣の席の縁下くんがいた。
きっと部活途中だったんだろう、ジャージを着た彼がこちらを見ている。
「今、補習の帰りでね…私が馬鹿すぎて、何度言えば分かるの?って先生を困らせちゃった…」
自嘲するかのように伝えると、
「俺で良ければ勉強教えようか、どうせこの後、西谷や田中に勉強教えるからさ」と声掛けてくれた。
部活が終わるまで図書室で待っていたら、縁下くんが迎えに来てくれた。
待っている間、宿題を進めようと問題集を開いたのだけど、1問も解けなかった。
「勉強してたんだ」ってノートをのぞき込まれたけど
「…でも全然わかんなくて…ノート真っ白でしょ?」
「ここムズいからなぁ、後で教えるよ」
すっごく優しい声で慰めてくれた。
今日は1組の田中くんの家で勉強会。
縁下くんと成田くんが手分けして教えてくれた。
「どこがわかんないのかわかんないの」って無茶苦茶なことを言ったせいか、最初から全部教えてくれた縁下くん。
全然手が動かなかったのに、いつの間にかノートがびっしり埋まるぐらい進んでた。
田中くんの家から帰る時、帰る方向が同じ縁下くんに送って貰った。
「そういやさ」少し前を歩く縁下くんが振り返った。
「こないだ、掃除中に鼻歌歌ってなかった?」
「へ?いつだろ?」
「えーと…あ、終業式のあとの階段掃除のとき!」
「歌ってたかも…気分乗らなくてイヤホンで音楽聞きながら掃除してたんだ。ごめん、うるさかったよね」
「そうじゃなくて、歌は知らなかったんだけど、声がかわいいなぁ…って思って」
「かわいい…かなぁ?」
「うん、また聞きたい」
「えー、そんな上手くないよ」
「ちなみに何歌ってたの?」
「…秘密」
「えーなんでだよ」って不服そうな縁下くん。
その時歌ってたの、確かラブソングだったから。
その日の夜。
LINEを交換した縁下くんと通話を繋ぎながら勉強をした。
「〇〇ページの問××がわかんないの」って聞いたら
「しょーがねぇな」って言いながら教えてくれる。
「タダで教えて貰って申し訳ないなぁ…今度何か奢る」ってスマホの前で手を合わせていたら、
「じゃあ、今度カラオケ行こう?いろいろ歌って欲しい」って言われた。
*******
LINE交換した日から毎晩通話しながら勉強してたおかげで、無事に夏休みの宿題が終わって、バレー部の2年生ズとカラオケに来た。
みんながいろいろ歌う中、ニコニコしながら聞いてたら
「お前も歌えよ」って縁下くんにマイクを押し付けられた。
「みんなが知ってる歌は歌えないかもだよ…」
って不安がったら
「かわいい声が聞けるなら何でも」って耳打ちされた←
♫♫♫♫♫♫
木下くんが「これ、サイサイじゃん!知ってる!」ってノッてくれた。
「知ってるの、嬉しい!サイサイ好きなんだ~」
ってテンション上がっちゃった。
そっからはサイサイばっかり歌ってしまった。
帰り道。
木下くんにCD貸すね~とか話してたら、縁下くんが割り込んできた。
「俺にもCD貸して、覚えるから」
「でもあんまり興味無さそうだったよ…?」
「これから好きになるから」って小さな声で言われた。
他の子とバイバイして、また縁下くんに送って貰った。
「…なぁ、やっぱりカラオケは2人で行けばよかった」って言われて
「なんで?楽しかったじゃん!」って言い返したら
「かわいい声、やっぱり独り占めしたかった」って。
「…そういうの、その気がなくたって期待しちゃうじゃん」ってふくれっ面になってたら
「期待していいよ」
「へ?」
「前から好きだったよ、歌う声もだけど、普段の声もかわいいとこ。いつかたくさん話したいなって思ってたし」
赤くなった顔を私に見られないようにしながら、縁下くんが私の左手をさらっていった。
「あぁ、もう、そういうことされたら好きになっちゃうじゃん!」って離れようとしたら、ぎゅっと離れないように強く手を握ってきた。
「好きになってもいいよ」
「じゃあ、好きになるよ?いっぱい勉強を教えてもらうし、いっぱいワガママも言うかもだよ?」
「いいよ、独り占めできるんなら」
「そういうこと、サラッと言わないでよ/////」
夏の暑さとも違う熱さが込み上げてきた。
大嫌いだった勉強が、彼のおかげて好きになれそうです。
1/1ページ