このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

刀剣乱舞

急須と湯呑が二つ。それまではいつもの通りだ。
竹の盤に乗るのはそれよりも一回り小さい茶壺・茶杯という中国茶器一式。
透明な瓶の中では鮮やかな赤い葉が踊り、同じ色を注いだ白い陶器も二対。
当然の如く、茶請けの菓子も三種並んでいる。
「ほう……これはこれは、豪勢な……」
机の上に並べられたそれらを見、蒼の瞳が煌く。
これは三日月が近侍と決まっている今日の日のために、審神者が少しずつ用意していた物だった。
どうしたことかと主の顔を見る三日月に、ばつが悪そうな審神者曰く、こんなものしか用意できなかったとの事。
見た映画に影響され、抹茶ラテマキアートを飲みたいとぼやいていた三日月の呟きを覚えていての行動であった。

「そうか、そうか。いい顔をしたいのは俺だけだと思っていた。じじいは嬉しいぞ。どれ……」

照れ隠しに三日月が手に取った桃色の焼き菓子は、力のかかった指先の力で潰れる。刀と審神者は顔を見合わせて笑うのだった。
7/7ページ
スキ