刀剣乱舞
その本丸の審神者は、食に対してあまりにも無頓着であった。
万屋で無差別に購入した炭酸水と出来合いの揚げ物とで暴食の大罪を犯したと思えば、そこに興味を向ける対象があれば食を抜くということが多々あった。
だかしかし、運がいいのか身体が良いのか、そんな食生活の乱れから体調を崩すことは一度もない。
ある意味で管理ができているのだから良いのではないかとはじまりの五振りは諦め半分、甘やかし半分でそう述べるが、そうは問屋が卸さない。
審神者自身全く手をつけていない、備え付けられた厨に当初より立ち、刀剣男士たちの食事を率先し手作りで用意してきた燭台切は、そんな主を真っ向から咎める刀剣であった。
「主くんにはバランスの良い食事が足りてないからね」
と進んで料理を用意をするものの、かなりの確率で趣味を優先されることがしばしばであった。
更に収穫された野菜が苦手だ、と主が駄々をこねると、刀として思うこともあるだろうに、六枚刃の家電を取り出し液体にするほどである。
そのくせ、当の審神者はというと後から顕現した小豆の甘味は素直に食していたり……
兎にも角にも、燭台切の努力という努力は身を結ぶこともなく。
挙げ句、どうしてそんなに自分にものを食べさせたいのだ、と笑いながら話される始末である。
「そりゃあ、主くんに僕の料理を食べてもらいたいのは……その……」
まさか人間の身体の仕組みで食べたものが組み変わるのを知り、主の細胞を自分の用意したもので作り変えたい、などとは素直に言えるわけもない。
燭台切が口ごもっていると、主が大量に購入し短刀たちに分け与えていた巨大な速成菓子が皿と共に差し出される。
「チョコレート入りのマフィンかい? 僕はあまりこういうものは食べないんだよね……
…………うん。悪くはないけど。ちょっと大きすぎるかな……。君もあまり食べすぎちゃダメだよ。丸々一つなんて絶対に駄目だからね」
くどくどと喋る刀剣男士を前に、審神者は笑う。
それは大地の女神の娘にザクロを食べさせた、冥府の王の微笑みであった。
万屋で無差別に購入した炭酸水と出来合いの揚げ物とで暴食の大罪を犯したと思えば、そこに興味を向ける対象があれば食を抜くということが多々あった。
だかしかし、運がいいのか身体が良いのか、そんな食生活の乱れから体調を崩すことは一度もない。
ある意味で管理ができているのだから良いのではないかとはじまりの五振りは諦め半分、甘やかし半分でそう述べるが、そうは問屋が卸さない。
審神者自身全く手をつけていない、備え付けられた厨に当初より立ち、刀剣男士たちの食事を率先し手作りで用意してきた燭台切は、そんな主を真っ向から咎める刀剣であった。
「主くんにはバランスの良い食事が足りてないからね」
と進んで料理を用意をするものの、かなりの確率で趣味を優先されることがしばしばであった。
更に収穫された野菜が苦手だ、と主が駄々をこねると、刀として思うこともあるだろうに、六枚刃の家電を取り出し液体にするほどである。
そのくせ、当の審神者はというと後から顕現した小豆の甘味は素直に食していたり……
兎にも角にも、燭台切の努力という努力は身を結ぶこともなく。
挙げ句、どうしてそんなに自分にものを食べさせたいのだ、と笑いながら話される始末である。
「そりゃあ、主くんに僕の料理を食べてもらいたいのは……その……」
まさか人間の身体の仕組みで食べたものが組み変わるのを知り、主の細胞を自分の用意したもので作り変えたい、などとは素直に言えるわけもない。
燭台切が口ごもっていると、主が大量に購入し短刀たちに分け与えていた巨大な速成菓子が皿と共に差し出される。
「チョコレート入りのマフィンかい? 僕はあまりこういうものは食べないんだよね……
…………うん。悪くはないけど。ちょっと大きすぎるかな……。君もあまり食べすぎちゃダメだよ。丸々一つなんて絶対に駄目だからね」
くどくどと喋る刀剣男士を前に、審神者は笑う。
それは大地の女神の娘にザクロを食べさせた、冥府の王の微笑みであった。