第一章〜出会い〜
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あの日_______。
「変装しないで来て欲しい」
と、そう言われて。
果純はありのままの姿で、とあるビルの屋上に立っていた。
約束の時間より数分遅れて、彼はやってきた。
「ごめん、遅れちゃった。来てくれてありがとう。……やっぱり、澪桜さんは…今のままが、良いと思うな。すっごく綺麗だ」
彼はそう言って、にっこり笑った。どことなく無理して作ったような笑顔に、疲労感を漂わせている彼に、果純は不安を覚える。
(彼らしくない。いつもは子犬みたいな無邪気な笑顔で、『澪桜さん!』って言うのに)
やっぱり。
「まず、澪桜さん…落ち着いて聞いてくれる?
俺はね、とある組織に追われてるんだ。見つかったら、殺されるんだよ」
彼は、哀しそうに笑った。
「どういうこと……?」
「ごめん、現実味がないよね、こんな話。俺、犯罪組織に潜入捜査してたんだ。それがバレて……追われてる。多分、後一時間もしないうちに、ここにも奴らが来るんだ。で………殺される」
彼の手も、弱々しく震えていた。
「だから、最後に言いたかったんだ。
_________澪桜さん。いや、果純さん。俺は、あなたのことが好きです。ずっと、ずっと前から、好きでした」
(えっ……………!?)
果純は突然のことに、頭の理解が追いつかない。
対照的に、彼は落ち着いていた。
「分かってる」
真っ直ぐに見つめてくる彼の目は、純粋で、艶やかで、見ていてクラクラする。
「分かってるよ、澪桜さんが、兄貴の彼女だってこと_____。それでも、一度言いたかったんだ……」
「………ヒロ」
困るよね、と頼りなく笑う彼を、果純は思わず抱き寄せていた。
「ごめんなさい……ごめんなさい…………私……………知らなかった………。今まで…………。私は、ヒロの彼女にはなれません。アキ君の、彼女だから…」
「そうか……うん。澪桜さん、ありがとう。言ってもらえて、ちょっと清々した。あーあ…俺の初恋、叶わなかったなぁ〜?」
私を元気づけようと、ちょっとでも明るく、おどけて話す彼。
「……そろそろヤバいかも。組織の人間が来る。……澪桜さん、最後に、これだけ持っといてもらえない?」
そう言って彼が差し出したのは、一枚の紙切れだった。
「………何、これ……?」
「俺の親友の連絡先。頼りになるからさ、困った時、連絡して。話はつけてあるから、大丈夫だよ。
それじゃあ、澪桜さん………じゃあな…………ありがとう」
「ひ、ひ、ヒロ!?」
そこからの展開は、あっという間だった。
タン、タン、タン、と階段を駆け上る足音が、微かに聞こえ始めた時。
「早くしろっ!澪桜さ…果純っ!!裏口から、逃げろ!俺はここに残るからっ!!」
何も言い返す間もなく、彼に裏口まで引っ張られて、バタンと錆びたドアを閉められた直後_________
バンッ!!という銃声と、「スコッチ!」という怒鳴り声が、微かに聞こえた_________。
そこから先は、よく覚えていない。
フラフラになりながら家に辿り着いて。紙切れを呆然と見つめて。
ヒロは、あの日から連絡がつかなくなった。
アキ君も、何も言わなかった。でも、どうせ分かっているだろう、彼なら。賢いから。
未だに忘れられない、あの日の記憶。
神様、願いが一つかなうなら。
どうか________この記憶を、永遠に私から消してください。
神様なら、できるでしょう?
「変装しないで来て欲しい」
と、そう言われて。
果純はありのままの姿で、とあるビルの屋上に立っていた。
約束の時間より数分遅れて、彼はやってきた。
「ごめん、遅れちゃった。来てくれてありがとう。……やっぱり、澪桜さんは…今のままが、良いと思うな。すっごく綺麗だ」
彼はそう言って、にっこり笑った。どことなく無理して作ったような笑顔に、疲労感を漂わせている彼に、果純は不安を覚える。
(彼らしくない。いつもは子犬みたいな無邪気な笑顔で、『澪桜さん!』って言うのに)
やっぱり。
「まず、澪桜さん…落ち着いて聞いてくれる?
俺はね、とある組織に追われてるんだ。見つかったら、殺されるんだよ」
彼は、哀しそうに笑った。
「どういうこと……?」
「ごめん、現実味がないよね、こんな話。俺、犯罪組織に潜入捜査してたんだ。それがバレて……追われてる。多分、後一時間もしないうちに、ここにも奴らが来るんだ。で………殺される」
彼の手も、弱々しく震えていた。
「だから、最後に言いたかったんだ。
_________澪桜さん。いや、果純さん。俺は、あなたのことが好きです。ずっと、ずっと前から、好きでした」
(えっ……………!?)
果純は突然のことに、頭の理解が追いつかない。
対照的に、彼は落ち着いていた。
「分かってる」
真っ直ぐに見つめてくる彼の目は、純粋で、艶やかで、見ていてクラクラする。
「分かってるよ、澪桜さんが、兄貴の彼女だってこと_____。それでも、一度言いたかったんだ……」
「………ヒロ」
困るよね、と頼りなく笑う彼を、果純は思わず抱き寄せていた。
「ごめんなさい……ごめんなさい…………私……………知らなかった………。今まで…………。私は、ヒロの彼女にはなれません。アキ君の、彼女だから…」
「そうか……うん。澪桜さん、ありがとう。言ってもらえて、ちょっと清々した。あーあ…俺の初恋、叶わなかったなぁ〜?」
私を元気づけようと、ちょっとでも明るく、おどけて話す彼。
「……そろそろヤバいかも。組織の人間が来る。……澪桜さん、最後に、これだけ持っといてもらえない?」
そう言って彼が差し出したのは、一枚の紙切れだった。
「………何、これ……?」
「俺の親友の連絡先。頼りになるからさ、困った時、連絡して。話はつけてあるから、大丈夫だよ。
それじゃあ、澪桜さん………じゃあな…………ありがとう」
「ひ、ひ、ヒロ!?」
そこからの展開は、あっという間だった。
タン、タン、タン、と階段を駆け上る足音が、微かに聞こえ始めた時。
「早くしろっ!澪桜さ…果純っ!!裏口から、逃げろ!俺はここに残るからっ!!」
何も言い返す間もなく、彼に裏口まで引っ張られて、バタンと錆びたドアを閉められた直後_________
バンッ!!という銃声と、「スコッチ!」という怒鳴り声が、微かに聞こえた_________。
そこから先は、よく覚えていない。
フラフラになりながら家に辿り着いて。紙切れを呆然と見つめて。
ヒロは、あの日から連絡がつかなくなった。
アキ君も、何も言わなかった。でも、どうせ分かっているだろう、彼なら。賢いから。
未だに忘れられない、あの日の記憶。
神様、願いが一つかなうなら。
どうか________この記憶を、永遠に私から消してください。
神様なら、できるでしょう?
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