白は黒になりたかった

『…やはり、予想していた通りだったな。』

ここ最近の違和感の原因が分った。
目の前に見えるのは度々見るこの世界では当たり前の酒に酔ったアルフレッドだ。
今日はどんな理由でやけ酒したんだ?コイツ…
ため息をつきながら開けられた酒を片付けていく
そう言えば今月はまだペルルさんからいただいた酒を
飲んでいないな?
それに…以前より今日は強い心の叫び声だな?煩い。
俺は15の時からユニットが心から発する悲鳴を聞くことが出来る…
自分の意思では拒否出来ない為身内であろうが嫌でも聞こえる…
王を引退してもお前は…いや、そうだな過去はトラウマはずっと心に残るからな。

『大丈夫だなんて無責任には言えないな…』

ボソッと呟く
良く気分が落ち込んだ時に発せられるこの言葉が俺は嫌いだった…
大丈夫だなんて無責任に言うな
ダメだった場合はお前責任取れるのか?と
取れるわけがない。
こんな人に何て言葉をかけたら良いんだろうか?

『我は…小生は…ッ…王らしく…王らしく居なければいけないんだ…』

首を横に振りながら涙を流して呟くアルフレッドを俺はただ黙って見ていた。
15歳でアルフレッドは王になったんだ
色々とやりたい事を我慢して日々こう泣いていたんだな…

『違う…そうじゃない!我は…本当は小生は…』

ギュッと抱きしめて頭を撫でてあげたアルフレッドはビックリしていたがどうしたら良いかなんて分からないから…

『もう、良いんだ…自分自身をイジメるなお前はお前なんだ…変わらなくていい、それもお前なんだ…認めてやれ。』

顔を隠して泣いていたアルフレッドが目を潤ませながら俺を見て目を見開いていた…

『よく頑張ったな、お前のお陰で皆が今を生きて居られているんだ…俺も感謝している。』

『…ッ…うわぁぁっ…』

初めてだったアルフレッドのこんな大きく声を上げて泣く姿を見たのは
アルフレッドはこの14年間どんな気持ちで王をし夢を一人称を性格を捨ててきたのだろう…
力無く俺の服の一部を握りしめて泣いているアルフレッドを見つめながら俺はそう思った…

『強く、強くならないといけないと…』

『あぁ…』

『我は王になったんだ…しっかりしなければと…』

『…だな。』

『皆から頼られる王として情けない姿など…』

『…良いんだ、もう…アルフレッド。』

優しく声をかけるしっかりとした普段のキリッとした表情がまるでショボンとした時の子供のような表情みたいだった…
ずっとずっと自分自身を責めていたんだな。

『もう、誰もお前を責めない…だからお前自身もお前を責めないでくれ。』

1つづつ正直な言葉を届ける…
段々と収まる心の叫び声を俺は聞いて安心した。

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