『雨だけがワタクシの声をかき消してくれた…』ゾルガネイダール×光バスカーク

その表情がタコちゃんに似て僕も安心してつられて笑った
良かった…君が笑っていてくれて。

『ネイダールさん…』

『ん?何?』

『ワタクシの独り言…黙って聞いてくれませんか?』

ボソッとバスカークくんが独り言を呟き始めた…

『…初めてアナタを見たときは驚きと焦りがありました
次にワタクシではないタコちゃんに対して優しく会話している
アナタを見て切なくも胸の鼓動が高鳴るのを感じました…
その表情をワタクシに向けて欲しかった…
その口調でワタクシに話しかけて欲しかった………
タコちゃんとアナタが抱き合い互いを確かめ合う瞬間
ワタクシは出逢わなければ良かったと後悔しました
こんな…気持ち…初めてで………
愛しているのに…同じ姿でもアナタのいうタコちゃんになれない
自分自身が………悲しくも辛かったです………
今も胸が苦しくて………』

そう言ってバスカークくんは僕のロングコートを脱ぎ力一杯
抱きしめながら声を押し殺して泣いていた。

『ッ…終わったんです…ね……終わったんですよ…………
好きです…好きなんです…愛しています…
届いただけでも…………良かった………。』

『今は僕が居るんだから…抱きしめてあげるよ。』

ギュッと彼を再び包み込むようにして抱きしめた
彼は僕のロングコートを抱きしめたまま泣いて
今ある時間を使い僕を精一杯感じていた…………

『タコちゃんになれなかったワタクシを許し…………』

『良いんだ、君は君なんだ。バスカーク…
そんな優しい君は好きだよ…変わらずにそのままで居てね。』

そう伝えるとバスカークくんは『ッ…はいっ…はいっ……』と
鼻声混じりの声で答えていた。
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