『あの日の君にもう一度会いたい』

声を聞いてビクッと身体が震え声の主を見つめた。
真っ黒い兜を外し濃いグレーの短髪の髪がなびきしっかりとした
顔のダークがいた。

『…ダーク?』

『…お前もしかして、操られていたのか?ファントムブラスター様と同じ症状だな。』

段々今自分自身がどういう状況におかれているのか頭がハッキリとしてきてハッ!と気付く。

『…ダーク!私は今まで何を?』

『ロイパラの光の王を呪縛しかけたんだよ…全く、お前まで操られていたとはね。』

苦笑いをしながら説明するダークを見て安心したのもつかの間ふと、私は思い出した。
呪縛しかけたという事は放った恐れがある、放った場合解除しなければ大変な事になる。

『…まぁ、王は助かったからよかったけどな。お前も悪者にならなかったし…っ!やっぱり人間がくらうと呪縛って…ぐぁぁっ!!』

先程から感じた違和感があった…何故ダークが近くに居て説明をして
放ったリングの行方を伝えなかったのか…
それもそのはず私の呪縛を直接受けたのはダークだったからだ。
私は慌てた…
そしてすぐにダークに近づいた。

『ダークっ!』

『…っ!来るなっ!俺なら大丈夫だ…大丈夫だから…』

『ダメだ!すぐに解除を…』

ダークを片腕で支えながら泣きそうになる感情を抑えながら片方の手で手のサイズに合うハサミを能力で出す。

『ダーク、私を信じてくれ。私の能力は私のこのハサミじゃないと解除出来ない。苦しいかもだが…』

『…当たり前じゃな…いか。俺はお前を一番思って…っ!』

そうだ、お前は私を一番思っている。
私だってお前を思っているんだぞ?
私は目を閉じハサミをリングに付ける…

『…ミラージュナイト、大丈夫だ。お前ならこの先何があっても大丈夫だ…こんな俺を好きで居てくれてありがとう。俺も…』

『ダークっ…そんな別れの言葉みたいなこと言わないでくれ!助ける!助けるからっ!』

『…ミラージュナイト。愛してる、この先お前が俺を忘れても…ずっと俺達一緒だからな。』

虚無がリングがダークを包み私から奪った。
ハサミが間に合わない…
解除が失敗した…
ダークっ!ダークっ!

『…ダメだ!ダークっ!私を置いて行かないでくれ!』

周りの虚無が収まりダークが地面に倒れていた。
ダークは目を閉じたまま目を開かない…
息はしているのに…

『…ダーク。すまない…』

あの日からずっと私の時は止まったままだ。
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