『夢幻蜃気楼(ミラージュ)』 ゾルガネイダール×光バスカーク

想いは届いるのに彼のタコちゃんにはなれなくて
何故今自分は………こんな…………幸せなのに………
ずっと胸が苦しくて………辛い………
近いのに遠い彼にワタクシは…まだ………。

『アハハ…とろっとろ…だねぇ………まだ早かったかなぁ………
タコちゃん…好きだよ…好き………』

ネイダールさんは満足した表情をして力なくワタクシの隣に寝転び
安心たのか寝てしまった。
全てが終わり何も考えず彼から離れドアにもたれて
ロングコートを握りしめながら声に出せない声で泣いた。

『ッ…あ゛っ………うぐっ……ぐすっ………』

泣いている間もずっと胸が苦しくて
どうしたら治るのか分からないまま暫く泣き続けた。

『…はぁっ………………か、帰らないと………この後、タコちゃんが
来ますからね………ワタクシではなく………アハハ…はぁ………
分かっていても辛いです……よ………ネイダールさん………』

彼を起こさないように最後にワタクシも今だけ夢を見させて
頂こうと触れるだけのキスをし囁いた。

『愛しています…ネイダールさん…』

返ってこない言葉を呟いてちゃんとネイダールさんを寝かしつけて
ワタクシはネイブルゲイザーさんの部屋の前に張り紙をし
研究所を出た。
少し歩くと止んでいた雪が降り始め、豪雪になり後ろを振り返ると
何も無いただの豪雪が降る場所になっていた。

『暖かったなぁ………ネイダールさん………
もう二度あんな事……出来ないんですね……………』

体も、気持ちもこんなにも暖かいのに
何故か心だけはまだ、この白銀の世界みたいに凍り付いていて…

『コレで…コレで…良かったんですよ…
ワタクシとネイダールさんはこのままで………』

前を向いて歩き出していつの間にか流していた涙を
彼から貰ったコートの裾で拭いた
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