『記憶の中の面影』

暫く時間が経ちダークが落ち着きを取り戻し一段落ついた。
返してもらった髪留めを再び結び直し髪を結んだ。

覚醒ダーク
『すまないな。』

ボソッと申し訳なさそうに呟いたダークの声は何処か寂しそうで何も怒っていない事を表す為に我はダークの頭を撫でた。

ロスト
『大丈夫だダーク…我は怒っていないから。』

優しく撫でると泣きそうで安心した表情のダークが下を向いて首を縦に振った。

ロスト
『…ありがとう。アルフレッドを思っていてくれて…
我も嬉しかった。』

そう、嬉しかったのだ。
どれだけ思っていてもお前とアルフレッドはもう一緒に居れない…
お前はアーリーの大切な…そう、大切な…人になったのだから。

覚醒ダーク
『ロスト…』

ロスト
『シッ…今だけ…今だけ我を…アルフレッドと呼んでくれ…』

我はアルフレッドの後悔と罪と失われし記憶から出来た存在…
ああ…ダーク。
お前みたいに我も前に進めたらどれだけ楽だったか…。

覚醒ダーク
『…アルフレッド。』

呼ばれた瞬間分かっていたのに
自然と涙が溢れて流れた…

覚醒ダーク
『お、おいっ?大丈夫…』

ロスト
『…ダークっ!嫌だっ!!嫌なんだ!!我を…我を…捨ててかないで…っ…』

覚醒ダーク
『…お前、あの時に泣いていたのか?』

話しをしたら想いを伝えたら楽になると吹っ切れると忘れられると…
全て暗示をかけて乗り切ったつもりだった…
グレーブラブレには感謝している
あの時アルフレッドが前に進めるようになったのは
紛れもなく彼のおかげだったのだ。
だが、我が生まれて我がその記憶を残したまま
この失った世界で生きている…

ロスト
『我はアーリーの大切な人を…ダークを愛してしまった…もっと早く…早く…ダークに想いを伝えていれば…』

溢れた涙が止まらないまま自問自答を繰り返し過去に縛られそして後悔を今も続けている。
コレがアルフレッドが残した後悔と罪…。

覚醒ダーク
『アルフレッドっ‼泣かないで…。俺はお前にあの日手を差し伸べてもらったから今ここに居られるんだ…アルフレッドアーリーにもダークサイドプリンスアーリーにも皆にも会えたのは…アルフレッド…お前のおかげなんだよ。』

優しく我の体を抱きしめて耳元で優しい声色で我の好きな声で囁くダーク。
失われし世界にしか居なかった我にも失い切れなかったモノが確かにあったのだなと安心した。
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