継がれない思いと継がれていく思い

「新しい魔の民の長はお前さんか?随分とお留守にしてたもんだな」

「お前は…?」

ここは魔の民の住処、ダータウン。
ラグースのダータウン地区担当代表のスティルはダクロの住む邸に訪れていた。

「ダーシャが一生懸命に守り続けたこのダータウンを放置するなんて…お前さんも酷だねぇ…」

「…長の代わりなんてできないってんだ…」

「…そうだな…お前さんにはダーシャの代わりなんて務まらない。
ダーシャの守り続けたこの村もお終いになっちまったっていう話なだけだ」

「…どうでも良いってんだ」

「………。」

「もう何もかもどうでも良いってんだ…」

「そうかい…それなら話が早い…」

「っぐぅ…」

静かに呟き、刀でダクロの胸を貫く。
ダクロは何も抵抗はしない。

「お前さんには消えてもらってこのダータウンはラグースが頂く」

「…好きにしろってんだ…おれには関係ない…」

「……って…のか…」

「…?」

「…それは…本気で言ってんのか…?」

「…何怒って…っがは」

ダクロの首を掴みそのまま持ち上げていくスティル。

「ダーシャ…俺には分からないな…お前さんがこんな情けねぇ奴のために命を落とすなんてよ…

俺には理解できないな」

「…っぐぅ……」

「理解できないからよ…教えてもらうことにしよう。
なあ、答えてくれるよな?魔の民の長」

部屋の中に低く冷たい声が響き渡る。
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