第2章 目覚める力

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「ツルギ…もう戦闘狂に料理を持っていかなくて良いぞ」

「もう元気になったから?」

「そうだ。」

「嘘だね。この間アジトの前で気絶してたよ」

「……ひ、昼寝でもしていたのだろう…」

「もしかして…長が気絶させたの?最低だねぇ。見損なったよ」

「……傷つくではないか」

再び場面は変わり、ツルギの飲食店に二人はいた。
ファボはツルギの容赦ない言葉に背中を丸める。

「長。オレはやめる気はないよ…これからも毎日持っていくよ。例えラグースのヒトでも。」

「ツルギ…」

「長が言ったんだよ…救ってやれって…


だから間違っても殺さないでよね?」

「……にしし。お見通しだったか。さすが、ツルギだな!」

楽しそうに笑いツルギの肩を抱くファボ。
ツルギは軽蔑した目でファボを見続ける。

「…我には分からぬのだ…どうしてやればアイツは苦しみから解放されるのか。
主の料理を食べさせて心を繋ぎ止めてはいるが…余計に苦しめているだけなのだろうか…」

「…長……。


とんでもない仕返ししてくるね。それは傷つくわ」

「主から仕掛けてきたのだからな、にしし」

朗らかに笑うファボに笑えないねぇと距離を置くツルギ。

「要するにこれ以上苦しめたくないから殺しちゃうぞ?って」

「うむ。だが、我にはできなかった」

「…できなかったって…本当に殺そうとしたんだね」

「あぁ。だが、どうしても主の顔が過ってできなかった」

「…そう。オレの顔もたまには役に立つね。」

「自分で何を言っておる」

珍しく冷めた目でツルギを見るファボ。
ツルギは気にせずに背伸びをする。

「あーあ…今回の件で長とオレの間に深い溝ができちゃったなぁ。

これからは自分でご飯作って、一人寂しく屋敷で食べることになるなんて可哀想に」

「……い、良いぞ。メディーがい」

「メディーのとんでもない料理が待っているなんて更に可哀想だねぇー」

「…ツルギ…メディーがこの場にいなくて良かったな。


…仕方ない。ツルギ、主が続けたいというのなら我はもう止めはしない。」

「長ならそう言ってくれると思ったよ。今より美味しい料理を作れるように頑張らないとね」

ニコっと笑うツルギ。
ファボは困ったように笑い、クシャクシャとツルギの頭を撫でる。


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