第2章 目覚める力

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「やっほ~久しぶり、ファボ君」

「…どうした、寒いのか?」

フードを深々と被った戦闘狂がいた。
にししと笑いながら戦闘狂の顔を覗き込むファボ。
そして戦闘狂の顔を見て固まる。

…俺はまた戦闘狂達の過去を見ているようだ。

「…ツノヤ……


顔色が悪いぞ?風邪でもひいているのか?」

「そういう冗談いらない。」

ファボと距離を置く戦闘狂。

「ねえ、オレと戦ってよ」

「断る」

そう言いニカッと笑うファボ。
そして話を続ける。

「ツルギは元気だぞ。…主と似て優しい子だ。料理を覚えて村のみんなに振舞っているんだ。」

「…料理…ねぇ」

ツルギの話題になると素直に聞く戦闘狂。

「長~おにぎりあげる…って、お客さん来てたんだね」

「!」

開いた襖の先には、お盆に山盛りに積まれたおにぎりを持っているツルギがいた。
戦闘狂はツルギに背を向ける。
ファボは嬉しそうにおにぎりを食べる。

「邪魔してごめんね。」

「構わんぞ。ちょうどツルギの料理が食べたいと話していた所だ。

ほら、主も食え」

「………。


…美味しい…。おかわり」

大人しくおにぎりを受け取り、食べる戦闘狂。
先ほどまでダダ漏れだった殺気は消えていく。

「はい。…オレもお腹減ったから食べよ」

「うむ。みんなで食べると美味しさが増すな」

戦闘狂におにぎりを渡し、自分も食べるツルギ。

「主らも随分と大きくなったな。我は嬉しいぞ」

「…長のおかげだよ。君も長に助けられたヒトなんだね。」

長って本当にお人好しだよね、と笑いかけるツルギ。
戦闘狂はそっぽを向く。

「…気が変わっちゃった。またね」

そう言い、その場から立ち去る戦闘狂。
ツルギは不思議そうに立ち去った後を見る。

「そうだ。ツルギ…主にしか頼めないことを頼もうか」

「え?オレにしかできないこと?」

ニカっと笑うファボ。
ツルギは嬉しそうに前のめりに話を聞く。

「あの戦闘狂に毎日料理を作って持って行ってやってくれないか?」

「なぁ~んだ…そんなことかぁ。良いよ。なんか元気なさそうだったし」

「にしし!主がアイツを救ってやれ。我にはできないことだ」

「…救うって大げさだなぁ…ただ料理作って持っていくだけでしょ」

冷めた目をするツルギに頭をわしゃわしゃと撫でるファボ。


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