第2章 目覚める力

「すまぬ、デイタ。稽古ができなくなってしまった。」

「え?何かあったんですか?」

「ラグースの小僧がこんな物を寄越したからなぁ。」

俺に紙切れを渡すファボ。
俺はそれに目を通す。

ーーーーー

アジトで待っててあげるからおいでよ。
バンダナ君。

君が来ないのなら僕が直々に行ってあげるのも良いね。
手土産にデンルトーの村人の首でもどうかな?

まあ、正午までは待っててあげるよ。

ーーーーー

「何だこれ…」

「デンルトー地区の隊長、ラグースの戦闘狂だね。」

「戦闘狂…噂に聞いたことがある。
常に強き者を追い求め続け、戦い続ける狂人というな。
最近は噂を耳にしなかったが…」

「長が止めてたからね…力で」

「そんな危ないヒトを止めれるだなんてファボさんすごいですぜ!」

キラキラと目を輝かせるラッスター。

「まあ、戦闘狂はデイタ君に興味があるみたいだよ。デイタ君は可哀想なぐらいにモテモテだねぇ」

「小僧は主と戦いたいみたいだな…だが、主はまだ力が目覚めていない。行くのはまだ止しておけ」

「…いや、俺は行くぜ。俺が行かないと村人達が危険にさらされるんだろ」

「心配するな。我がいるから大丈夫だ」

「いいや。それでも俺は行くぜ。
ラグースのアジトを探し出すことは本来の目的でもあるからな。」

「戦うことは目的ではないがな」

釘を刺すカヌヤ。
カヌヤも反対のようだ。

「今の主が敵う相手ではない。ラグースでも手を焼く程に戦うことに執着している奴だ。容赦無く主を殺すぞ。」

「俺は死なねぇ。大丈夫だぜ。」

一歩も引かない俺に片手で頭を抑えるファボ。

「貴様ぁ…さっきから甘ったれた事ばかりぬかして…長の手を煩わせるな!」

メディーは俺の胸ぐらを掴み持ち上げる。
ラッスターが慌てて止めに入るがビクともしない。

俺は真っ直ぐとメディーを見る。

「俺はラグースを止める。もう誰も傷つかせない」

「………。

仕方ないから私も一緒に行ってやる。

…こんな危なっかしいバンダナだけでは長も心配で仕方ないでしょう。」

俺から離れてファボの方へ向くメディー。
ファボは、そうだなと笑う。
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