第2章 目覚める力

「美味しいですぜい!!ありがとうございやすう!!」

「…オヤツがてらに罠を張ってたらまさかヒトが取れるなんてねぇ」

赤髪の青年が経営している飲食店の料理を堪能する俺たち。
ラッスターはあまりの美味しさに涙を流しながら食べている。

「こんなに美味しい料理初めてだ…」

「…そう?オレより上手なヒトなんて沢山いるよ」

真顔で淡々と料理を作る赤髪の青年。

「俺は、デイタ。よろしくな」

「カヌヤだ」

「俺はラッスターですぜい」

「ツルギだよ。よろしく」

大量の料理を作り終えたツルギは、ラッスターの隣に座り一緒に食事をする。

「ツルギ…それ全部食べるんですかい?」

「うん。」

大量の料理に唖然とするラッスター。
ツルギは大食いらしい。

「…ねえ、ラッスター。」

「何ですかい?」

「君って美味しいの?」

「え?」

「ヒトって食べたことないんだよねぇ」

「「!!!」」

料理を食べながら、淡々と問うツルギ。

コ、コイツ…!!
冗談抜きでラッスターを食おうとしてやがる。
ラッスターは止まらない冷や汗を拭えずに固まっている。

「ラッスターは大事な仲間だ。…それにヒトは食い物じゃねぇよ」

「それは残念だねぇ。罠に引っかかってたから食べ物かと思ったよ」

「「………」」

ツルギの笑えない冗談に固まる俺とラッスター。
カヌヤは黙々と料理を食べている。

「ツルギ…あんまり客人をイジめては駄目だぞ」

声がする方に目を向けると壁にもたれかかっている金髪の紅い眼をした男がいた。
右目は前髪で隠されていた。

「…長の客人だったんだね」

「「長?!」」

俺とラッスターは驚きの声を上げる。
そして急いで立ち上がる。
カヌヤも立ち上がり、お互いに向かい合う。

「俺はデイタです。よろしくお願いします。」

「ラッスターですぜい。よろしくお願いしやす。」

「カヌヤだ。」

「あぁ。雷の民の長、ファボという。よろしくな」

ニカッと眩しい笑顔で握手を交わすファボ。

長ってもっと威厳があって話しにくいヒトかと思っていたが
このヒトはそんなことを感じさせない程に朗らかなヒトだ。

「フズから話は聞いておるぞ。お前たちが面白そうなことをしようとしているとな」

「フズが話を通してくれていたんだな…ありがてぇ」

「何だかんだで優しいですぜい」

「たまには役に立つな」

ファボはカヌヤの隣に座り、俺たちに座るよう促がした。

「我に聞きたいことがあるんだろう?聞いてやるぞ」

「ありがとうございます。…俺たちは、ラグースを止めるために旅をしています。何かラグースのことで知っていることがあれば教えてください。」

「あと、強くなる方法も教えてくだせぇ」

「ふむ。成る程なぁ」

「あはは!モンスターの罠に引っかかるようなヒトたちがラグースを止めるの?」

笑い出すツルギ。
ファボは目を瞑り考え込む。

「ふむ。確かに…まずは強くなることからだな」

にししと楽しそうに笑うファボ。
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