紅い眼と蒼い眼

「………。」

あれから10年の時が経った。
気が付いたらおれは長に拾われた場所に戻っていた。そしてそのまま住み続けている。
村はどうなっているか分からない。分かることは長はもういないっていうこと。

おれが長を殺した。村人も殺した。
罪悪感と嫌悪感から自ら命を絶とうと何度も何度も試みた。
しかし、それはおれの中にいる闇の力によって許されなかった。

傷つけては再生…傷つけては再生…
何度も繰り返した代償に視力が無くなった。
おれは少し罪悪感から解放されたように思えた。

「よ!オイラはファボ!」

「!!」

突然の気配と声に驚く。

「にしし!ビックリしたか」

楽しそうな声が聞こえる。

「貴様がダクロか?」

「………。」

今度は圧のある冷たい声と気配が近づく。

「さっきダータウンに行ったら10年前から長がいなくて困っていたぞ!」

「…おれが殺した」

「らしいな!お前強いんだな」

「……消えろ」

「同じ所にずっと居て暇じゃないのか?」

しかし、明るく陽気に話し続けるファボという奴。
その場を離れようとするが腕を掴まれる。

―私の愛する息子…―

「!!!

離せ!!!」

突然あの日の出来事が蘇る。
おれは手を振りほどいてその場を離れる。

「…まあ、そうなるだろうな」

「うむ…更にアイツと仲良くなりたくなったぞ」

「………。貴様は相手の気持ちを考えて発言するということを覚えたほうが良いのではないか?」

「うむ!頑張る!」

楽しそうに笑いながら追いかける。
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