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問題児と苦労人と泣き虫

「………」

「はーい。この子がかわい子ちゃんのレイちゃんです。」

研究施設の中にある大きな実験場へ案内された二人。
そこには紫色の目をした薄紫色の髪の少女がいた。
ヤイバとサラムと変わらない年だが、みすぼらしい姿をしていた。

「…お前女の子なのに外見気にしない系なのか?」

「……触らないで」

手入れされていないボサボサの髪をポンポンと軽く叩くサラム。
レイはサラムの手を弾く。

「…可愛くねーの……って、おいヤイバ。俺様の服の襟をちぎって何するつもりだよ」

「これでは前が見えないだろ。」

「だからって俺様の服を使うなよな…」

そう言い、ヤイバはひきちぎった服の襟を使ってレイの髪を一つにまとめた。
レイは驚いたようにヤイバの目をじっと見つめていた。

「俺はヤイバだ。アイツはサラム。無神経だが悪い奴ではない。…よろしくな、レイ」

優しい表情をするヤイバにレイは静かに頷く。

「さすがヤイバ君!実験体の心をも鷲掴みに!…この調子で任務も成功させてくださいね」

そう言い、監察室へ移動するへーリオス。
ヤイバは痛む胃をさする。

「…お前どんな実験されてるの?」

「…体を損傷させる実験…」

「へえーそれで悪魔を呼び起こそうとしているんだな…で、悪魔を呼んでお前はどうしたいんだ?」

「…え?どうしたいって……?」

困惑した表情でサラムを見るレイ。

「実験体なんかやめてお前のしたいことすれば良いんじゃねーの?」

「……実験体をやめる…?…何言ってるの…?」

「ラグースで好き勝手に生きているのはお前ぐらいだぞ、サラム。レイは立派に職務を全うしている。」

「へえ、それはご立派なことで〜」

頭の後ろで手を組み興味なさそうにするサラム。
ヤイバはそんな自由気ままなサラムにため息がこぼれ落ちる。

【聞こえますかー?これから始めますよ。死なないようにしてくださいね】

部屋のスピーカーからへーリオスの声が聞こえ、大きな扉が開く。
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