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問題児と苦労人

「ヤイバ…死なないでくれよ…!逃げてばかりの俺様のこと仲間だって言ってくれたのお前だけなんだよ…死ぬなよ…っ…」

横たわるヤイバの手を握って涙を流すサラム。

「…そ、うか…」

「!!…ヤイバ!よかった!生きてたんだな!!」

「いてぇ…勝手に殺す、な…」

力なく応答するヤイバ。
サラムは感動のあまりに強く抱きつく。

「…サラム…ありがとうな…」

「………。


お礼なんて言わないでくれよ…俺様は…お前の仲間を殺したんだ…」

「…俺にはできなかった…お前に辛いことをさせて…すまない…」

「……ヤイバ…今はゆっくり休んでくれ…」

サラムは気を失うヤイバを担ごうと手を伸ばす。
するとどこからか足音が聞こえ、見上げる。

「辛いことだと感じなくても良いですよ。これからもっともっと経験をするのですから」

再びヤイバとサラムの前に現れたへーリオス。

「へーリオス!お前!!」

「何をそんなに怒っているのですか。貴方の隠れた才能が開花したんですよ!これは喜ばしいことですよ」

「喜べるかよ…!」

「…あ、そうだ…良い機会なのでよく目に焼き付けておいてくださいね。」

そう言い、片手を空に掲げるへーリオス。
空に無数の光の刃が現れる。

「ラグースには強い者しか必要じゃないということを」

掲げた手を素早く下げる。
無数の光の刃は容赦無く気絶している者たちを貫く。

サラムには何が起きているのか理解ができなかった。
ただただ目の前の恐怖に身を震わせる。

「貴方の幸運な日々はもう終わりです。これからはラグー様のために生きるのですよ」

へーリオスはサラムの頭を優しく撫でて立ち去る。

「…何が…ラグー様だ……」

我に戻り、気を失っているヤイバを担いで医務室へ足を進める。
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