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第3章 幾つもの思い

「そんな警戒しなくても良いぜ。俺様サラム。よろしくな」

「お、おう…俺はデイタだぜ…」

俺の手を握り握手を交わすサラム。

「…お前がデイタねぇ…俺様のスイートハニーがお前の首を狙ってるんだ。本当可哀想だな」

そして、他人事のように笑うサラムは背伸びをしながら俺たちと距離をとる。

「…なあ、お前たちはなんでラグースを潰そうって思うんだ?」

「…それは」

「ソイツはラグースの一員だ。情報を渡す必要はない」

「!!

…ラグースの一員に見えねぇけど…そうなのか?」

「こんなキラキラしててカッコいいヒトはラグースにいなさそうですぜい」

「どうもどうも…冷血のカヌヤ坊ちゃんが言うように俺様はラグースの一員だったぜ。
…今は追放されちまったけどな」

「…怪しいねぇ」

「本当だぜ…にしても、ツルギ…お前よく生きてたな。久しぶり」

「…オレ昔の記憶ないんだよね…アンタのこと覚えてないや」

「本当に覚えてないもんなんだな…まあ、その方が気にせずにスイートハニーとも戦えるな」

「…サラムさん、すいーとはにーって何ですかい?」

「愛おしい恋人ってことさ」

「いとおしいこいびと…?」

「おい。コイツとまともに話すな。」

気さくなサラムに警戒心を解いていく俺たちに注意するカヌヤ。

「コイツはウタオル地区の隊長でもあるヤイバの相棒だ。相棒が簡単にラグースを追放される訳ない。」

「え?!そんなすごいヒトなんですかい?」

「相棒ねぇ…その情報は間違っているぜ、カヌヤ坊ちゃん。
スイートハニーは俺様のことお荷物にしか思っていないぜ。だから簡単に切り捨てたんだぜ」

「…サラムさん…何だか可哀想ですぜい…」

「アイツの策略にはまるな」

「策略ねぇ…事実しか言っていないぜ。俺様吹っ切れてるから同情なんてしなくて良いぜ、お星ちゃん」

「スイートハニーって言ってる時点で吹っ切れてないじゃん」

「………。
お前は昔から言うことが鋭いんだよな…俺様の心の傷を容赦無くえぐってくるな」

「それはどうも」

「…なあ、サラム。俺たちに用があって会いにきたんだろ?」

「そうだ。話すのが楽しくてデイタ達に用があるの忘れてたわ。」

サラムはへらへらと笑いながら腰にかけている細剣に手を置く。
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