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第3章 幾つもの思い

「…カヌヤぁ…泣かないでくだせぇ!」

「触るな」

現実に戻った俺たち。
ラッスターは涙で顔をぐしゃぐしゃにしてカヌヤに抱きつこうとする。
カヌヤは華麗に避ける。

「…貴様、その力も使いこなせてきているな。」

「あぁ…ありがとうな、カヌヤ」

どうやらカヌヤは俺の力を使う練習のためにも自分の過去を見させたようだ。

「カヌヤ…オレ君のこと見直したよ。健気だね」

「貴様に言われると馬鹿にされているようにしか聞こえん」

「え?!それ酷くない?!」

ショックを受けるツルギ。
その様子を見て、冗談だと笑うカヌヤ。
カヌヤの笑っている所を見て俺たちは驚きで固まる。

「あのカヌヤが…」

「笑いやした!自分の辛い過去を見た直後なのに!」

「一言多いぞ、馬鹿星」

すぐに無表情に戻り、ラッスターを睨むカヌヤ。

「すいやせん…でもカヌヤもアニキと同じ思いを抱いていたんですねい!だからアニキに惹かれたんで」

「黙らんか!…貴様氷漬けにするぞ」

「ひぃええええ!ごめんなさい!」

恥ずかしさのあまり怒るカヌヤ。
ラッスターは恐怖で縮こまる。

「カヌヤ…俺たちにお前の過去を見せてくれありがとうな…お前のこと今まで以上に知れて嬉しいぜ」

「…貴様たちには教えても良いと思っただけだ。


…仲間だしな」

「カヌヤ…お前…!

可愛いところもあるじゃねぇーか!」

嬉しくなりカヌヤの肩を抱いて頭をわしゃわしゃと撫でる。
カヌヤはふんっと外方を向くが、嫌がってはいないようだ。
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