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第3章 幾つもの思い

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「冷血のカヌヤ…オメーも酷い通り名をつけられたもんだな、ひゃははは」

「っふん…周りが何を言おうと俺には関係ない」

あれからカヌヤは成長し背が伸び、顔も大人びていた。

「…オメーそんなこと言ってたら友達できねーぞ」

「友達なんていらん。

俺には貴様たち…家族がいる。それだけで十分だ」

「…カヌヤ……この可愛い弟めっ」

「や、やめんかい!実験の邪魔をするな」

カヌヤの肩を抱いて、頭をグリグリとするフズ。
カヌヤは迷惑そうに距離をとる。

「オメーこれ以上実験しなくて良いぜ?」

「…何故だ」

「その通り名が全てを語っているぜ。」

「………。」

「オメーは大事なこと忘れてんぜ。実験は淡々と数をこなせば成功するって訳じゃない。
失敗する理由を追求するのも大事だが、それ以上にもっと大事なことがあんだろ?」

「…大事なこと…?」

「俺もアンタみたいな優しいヒトになる。いつかはヒトを傷つける実験をしなくても良い世界にしたい…オメーがまだ小さい時に言ってたことだぜ?」

「!」

「実験体に寄り添うことも忘れんじゃねーぞ。大きな夢を持っているオメーが他の奴らと同じことしてどーすんだ」

「…俺は…一体…何をしているんだ…」

一心不乱に実験をしてきたカヌヤは我に戻る。
フズは仕方ねー弟だなとカヌヤの頭をわしゃわしゃと撫でる。

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