このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第3章 幾つもの思い

ーーーー
ーーー


「…ここは……」

「目が覚めたか?ガキンチョ」

目が覚めた少年は隣にいたフズに目をうつす。

「オメー名前は?俺はフズ様だぜ」

「カヌヤ…」

ポツリと言う少年。

「そうか。これから面倒見てやんぜ、カヌヤ」

「…アンタが俺を助けたのか?」

少年の目は何もかも失ったかの様に光を失っていた。

「俺は生きていても仕方がないから母さんに捨てられたんだ…何でいらないことをする」

「…本気で言っているんか?」

「本気だ。実験もできない俺はこの世界には必要な…っ!」

カヌヤの頭を掴み目線を合わせるフズ。
カヌヤは真っ直ぐな目で見られて動けずにいた。

「カヌヤ…生命(いのち)に必要あるとかないとか、そんなこと決まっていねーんだ。
みんなに平等に与えられているのが生命だ。

なくなっても良い生命なんて何ひとつもない。」

「……っ…」

フズの真っ直ぐな言葉に涙が溢れるカヌヤ。

「今日からオメーは俺たちの家族だ、カヌヤ。」

「…うん」

ーーーー
ーーー
3/19ページ
スキ