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第3章 幾つもの思い

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「ひゃははは!この死の崖(デスクリフ)の底に生きて辿り着いたのは俺たちぐらいかもしれねーな!」

「さすがフズ様!ただ私の背中に乗っていただけで、誇らしげにできるとはっぐふん!」

「さーてと、失敗体がモンスター化するのを防ぐことができるクサクサ草を探すぜ」

ドラゴの背から降りて、歩くフズ。
ドラゴの背中から出ていたドラゴンの様な翼は背中に収まっていた。

「それにしてもクサクサ草って臭そうな名前ですよね~」

「そうだな。草だけにな」

「………。

フズ様見た目はお子様なのに中身は変態親父みたいですよね」

「あ?褒めても何も出ねーぜ?…ん?」

フズは立ち止まり、上を見上げる。
ドラゴも不思議そうに上を見上げる。

「「!!」」

二人は上から落ちてくるものを見て、衝撃を受ける。

「大変です!フズ様!上から少年が落ちてきます!!ちなみに私の翼はお休みタイムに入ってしまっています!」

「あー?こんな時に役に立たねぇ翼だな」

「酷い!ここまで来るのにどれ程、酷使したと思っているんですか!」

「…悪かったよ。まあ、この俺が受け止めてやんぜ」

そう言い、少年を受け止めようと両手を広げるフズ。

「フズ様!まさか貴方がこの超特急に墜落している少年を受け止め…」

フズの首に付いていた数珠の1つが分離し、巨大化する。
そして優しく少年を包み込む。

「…さすがフズ様!その両手の意味は分かりませんがお見事です!」

「様になるだろ?ひゃははは!」

「なーるほど!さすが変態親父!」

「…そろそろ黙らねぇと実験材料にすんぞ」

睨みを利かしドラゴを黙らせるフズ。
そして数珠の巨大化を解いて、少年を介抱する。

「…氷の民だな」

「みたいですねぇ。この死の崖(デスクリフ)はヒトが近づかない場所ですし…
まだ幼い少年が自ら飛び降りるとは思えませんしねぇ…もしかすると…」

「捨てられたんだろうな。…可哀想なことしやがるぜ」

気絶している少年を優しく抱きかかえるフズ。

「…帰るぞ、ドラゴ」

「もしかして!また私がパタパタと翼をハッスルさせないといけないのですか?!フズ様の数珠ちゃんはもうお眠の時間ですかぁ?!」

「今日の晩飯はドラゴの煮付けだな」

「究極の鬼ですね!そんな所だけジュラア様に似てしまわれて!」

「黙れ。あんなクズと一緒にすんじゃねーよ」

渋々と休み足りない翼を出し、フズたちを背に乗せるドラゴ。

「そういえば、クサクサ草は採れましたか?」

「ひゃはは!バッチリだぜ!」

「うわ。超臭い。しまってください、フズ様」


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