第3章 幾つもの思い
「アニキ!逞しくなりやしたね!」
「…あぁ。ファボとメディーの特訓のおかげだな」
デンルトーを出発し、俺たちは新しい目的地に足を進めていた。
今回はちゃんと決めて出たぜ。
ファボからラグースの情報を聞こうとしたけど、我よりも確実な情報を持っている奴を紹介するぞ。と次の目的地である水の民の住処、ウタオルへの地図をもらった。
どうやらそこの水の民の長、ツムジはタイルター一の情報網らしい。
そこの長は少し癖が強いが、確実な情報は得られると言う。
「ラッスターも良い物もらえて良かったね」
「…?何をもらったんだラッスター?」
「よくぞ聞いてくれやした!アニキィ!」
ジャジャーンと嬉しそうに古びだ本を掲げるラッスター。
…ラッスターが本…?
俺は困惑した表情でラッスターをみる。
「【この世界ができた理由(わけ)】っていうおとぎ話の本ですぜい!」
「おとぎ話?どんな内容なん…ぐっ?!」
俺が本に手を伸ばそうとした瞬間に激しい頭痛に襲われる。
突然頭を抑える俺に心配をするラッスター。
ーー師匠!俺もいつかこのおとぎ話のーーーのような優しくて強くてカッコいいヒーローになる!ーー
過去の記憶が脳裏によぎる。
あ、れ…?
俺は…昔にこのおとぎ話を読んだことあるのか…?
激しい頭痛によって思考は現実に戻る。
「…すまねぇ。ちょっと頭痛がしただけだぜ」
「アニキ…顔色も悪いですぜい…」
「大丈夫だぜ」
「大丈夫ではない。…少し休んだらどうだ」
ふらふらと歩き出す俺の腕を掴んで木陰に連れて行くカヌヤ。
俺たちは少し休憩を取ることにした。
「すまねぇ…休んでいる場合じゃねぇのにな」
「休むことも大切だ。そもそも貴様は張り切りすぎなのだ」
カヌヤに治療をしてもらい頭痛が治って行く。
ツルギも隣に座り、トラブルを起こさせないようにラッスターを膝の上に座らせる。
「ありがとうな、カヌヤ」
「…俺の話をちゃんと聞いているのか?」
立ち上がろうとする俺に睨みを利かすカヌヤ。
珍しく怒っているみたいだ。
俺は大人しく座る。
「確かに貴様は化け物みたいな生命力を持っている。
だけど、貴様は化け物ではなくヒトだ。無茶ばかりするといつか取り返しのつかないことになるぞ」
「…そ、そんなにも怒るなよ…悪かったよ」
「この石頭野郎め!」
「「?!」」
再び立ち上がろうとする俺の両肩を掴み、地面に叩きつける勢いで座らせるカヌヤ。
俺とラッスターはカヌヤの珍しい行動に驚き、口を開けて固まる。
ツルギはクスクスと笑っている。
「休めと言っているだろ!手足をもがないと休めないのか?!」
「ひぇぇ!カヌヤ怖いですぜいぃ」
「カヌヤー何でそんなにも怒ってるの?」
「!…俺としたことが……」
震えるラッスターの頭を撫でながら聞くツルギ。
カヌヤは、はっと我に戻りいつもの無表情になる。
これ以上カヌヤを怒らすのは申し訳ないと思い、俺は大人しく休むことにした。
「暇だしカヌヤの過去話でも聞こうよ」
「カヌヤはあまり自分のことを話さないから俺も聞きたいですぜい!」
「何故貴様らに俺の過去を…」
「まあ、カヌヤが話したい時に話せば良いじゃねぇか」
興味津々の二人に嫌がるカヌヤ。
俺は優しく微笑んで止める。
カヌヤは考え込むように目を瞑る。
カヌヤもきっと今まで辛い思いをしてきたんだと思う。
無理に辛い過去を思い出す必要も…
「…デイタ。俺の過去をコイツらにも見せろ」
「…大丈夫なのか?」
カヌヤは何か決意をしたように目を開ける。
そして、ツルギとは反対側の俺の隣に腰を下ろす。
…と、言われてもどうやったら過去を見られるのかイマイチわからねぇんだよな。
とりあえずやってみるか…
俺はカヌヤの心に意識を集中させた。
「…あぁ。ファボとメディーの特訓のおかげだな」
デンルトーを出発し、俺たちは新しい目的地に足を進めていた。
今回はちゃんと決めて出たぜ。
ファボからラグースの情報を聞こうとしたけど、我よりも確実な情報を持っている奴を紹介するぞ。と次の目的地である水の民の住処、ウタオルへの地図をもらった。
どうやらそこの水の民の長、ツムジはタイルター一の情報網らしい。
そこの長は少し癖が強いが、確実な情報は得られると言う。
「ラッスターも良い物もらえて良かったね」
「…?何をもらったんだラッスター?」
「よくぞ聞いてくれやした!アニキィ!」
ジャジャーンと嬉しそうに古びだ本を掲げるラッスター。
…ラッスターが本…?
俺は困惑した表情でラッスターをみる。
「【この世界ができた理由(わけ)】っていうおとぎ話の本ですぜい!」
「おとぎ話?どんな内容なん…ぐっ?!」
俺が本に手を伸ばそうとした瞬間に激しい頭痛に襲われる。
突然頭を抑える俺に心配をするラッスター。
ーー師匠!俺もいつかこのおとぎ話のーーーのような優しくて強くてカッコいいヒーローになる!ーー
過去の記憶が脳裏によぎる。
あ、れ…?
俺は…昔にこのおとぎ話を読んだことあるのか…?
激しい頭痛によって思考は現実に戻る。
「…すまねぇ。ちょっと頭痛がしただけだぜ」
「アニキ…顔色も悪いですぜい…」
「大丈夫だぜ」
「大丈夫ではない。…少し休んだらどうだ」
ふらふらと歩き出す俺の腕を掴んで木陰に連れて行くカヌヤ。
俺たちは少し休憩を取ることにした。
「すまねぇ…休んでいる場合じゃねぇのにな」
「休むことも大切だ。そもそも貴様は張り切りすぎなのだ」
カヌヤに治療をしてもらい頭痛が治って行く。
ツルギも隣に座り、トラブルを起こさせないようにラッスターを膝の上に座らせる。
「ありがとうな、カヌヤ」
「…俺の話をちゃんと聞いているのか?」
立ち上がろうとする俺に睨みを利かすカヌヤ。
珍しく怒っているみたいだ。
俺は大人しく座る。
「確かに貴様は化け物みたいな生命力を持っている。
だけど、貴様は化け物ではなくヒトだ。無茶ばかりするといつか取り返しのつかないことになるぞ」
「…そ、そんなにも怒るなよ…悪かったよ」
「この石頭野郎め!」
「「?!」」
再び立ち上がろうとする俺の両肩を掴み、地面に叩きつける勢いで座らせるカヌヤ。
俺とラッスターはカヌヤの珍しい行動に驚き、口を開けて固まる。
ツルギはクスクスと笑っている。
「休めと言っているだろ!手足をもがないと休めないのか?!」
「ひぇぇ!カヌヤ怖いですぜいぃ」
「カヌヤー何でそんなにも怒ってるの?」
「!…俺としたことが……」
震えるラッスターの頭を撫でながら聞くツルギ。
カヌヤは、はっと我に戻りいつもの無表情になる。
これ以上カヌヤを怒らすのは申し訳ないと思い、俺は大人しく休むことにした。
「暇だしカヌヤの過去話でも聞こうよ」
「カヌヤはあまり自分のことを話さないから俺も聞きたいですぜい!」
「何故貴様らに俺の過去を…」
「まあ、カヌヤが話したい時に話せば良いじゃねぇか」
興味津々の二人に嫌がるカヌヤ。
俺は優しく微笑んで止める。
カヌヤは考え込むように目を瞑る。
カヌヤもきっと今まで辛い思いをしてきたんだと思う。
無理に辛い過去を思い出す必要も…
「…デイタ。俺の過去をコイツらにも見せろ」
「…大丈夫なのか?」
カヌヤは何か決意をしたように目を開ける。
そして、ツルギとは反対側の俺の隣に腰を下ろす。
…と、言われてもどうやったら過去を見られるのかイマイチわからねぇんだよな。
とりあえずやってみるか…
俺はカヌヤの心に意識を集中させた。