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第2章 目覚める力

「っぐ…あぁぁ…!」

「物音がすると思えば…

随分と苦しんでいるな、ツノヤ」

邸の外に出たファボはもがき苦しんでいるツノヤに言葉をかける。

「…オレを…ぐぁぁ…殺、せ…!」

「………。

ツノヤ…何故そこまでして自分を追い込む?その癒しの力を受け入れるんだ」

苦しむツノヤを優しく抱きしめるファボ。

「いや、だ…!うぐぅ…!オレは、幸せになった、ら…っぐ…いけ、ないん…だ…!」

「………。」

「君に、しか…頼め、ない……オレ、を…殺してく、れ…」

「…その言い方は…ズルいぞ…」

ドンっ!

鈍い音が辺りに広がった。


「ファボ!戦闘狂が来ていない…か?」

「うむ。来ているぞ」

俺たちはファボのいる邸に戻った。
するとそこには、ファボと隣には横たわっているツノヤがいた。

「長…もしかして殺しちゃった?」

「うむ。手が滑ってなぁ、にしし!」

笑えない冗談を交わすツルギとファボ。
そして真顔になり俺の元へ寄る。

そして…

「…おい、寝坊助。我の可愛い子を中途半端に癒すんではない。殺すぞ」

俺の顎を持ち、殺気の籠もった紅い眼で俺の眼を見る。
ファボの見たことのない一面に恐怖を覚える一同。

ーーデイタ!この男やはり危険です!距離をあけてください!!ーー

あ、出てきたな。アンタ。
さっきは怒って悪かったな…
ファボが言うように中途半端な癒しの力を使っちまったみたいだ。
この力はどうやったら使えるようになるんだ?

ーー…残念ながら今の貴方にはまだ癒しの力を扱うことはできないようですーー

ーー癒しの力は傷ついた心を癒す白き炎です。その炎は扱う者の心の強さによって力が発揮されますーー

ーー貴方は人一倍に強い心を持っています。強い力が発揮されるでしょうーー

ーーですが、貴方の癒しの力はまだ目覚めたばかり…扱うには時間が要りますーー

ーー…私は貴方の中に眠っている力を呼び起こす手伝いしかできません…ーー

そうか…
そしたら今の俺ではツノヤを救うことが…
いや。それでも俺は…

「長。大丈夫だよ。今からデイタ君が本領発揮するから。…ね?」

「あぁ!ツノヤの心を救ってみせる!」

俺はツノヤの胸に手を当てる。

「なあ…ツルギ、ファボ。お願いしたいことがあるんだ。」

「うん。一緒に思いを込めるよ。」

「ふむ。思いの力が必要ということか…任せろ、にしし。」

そう言い、俺の手に手を重ね、思いを込める二人。
ラッスターたちはその様子を見守る。

ーーデイタ…貴方というヒトは…周りのヒトたちの心までも引き込んで…本当に…強いのですねーー

ーーこれ以上貴方に力を貸すことは禁じられていますが…貴方の思い、私にも届きましたーー

アンタに助けられてばかりだな…ありがとう。

「ツノヤ…お前には心強い家族や仲間がいるじゃねぇか。
だから…全部一人で抱え込むんじゃねぇ!」

先ほどとは比べものにならないぐらいの大きさの白き炎がツノヤと俺たちを優しく包み込む。
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