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第2章 目覚める力

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「…うぬ?何か物音がしたな」

ここは邸…?
俺は今戦っている最中だったはず…

なあ、ファボ。俺は何で邸にいるんだ?

「様子を見に行くか」

そう言い、立ち上がるファボ。

あれ?…聞こえていない。
状況が飲み込めないぜ…

「はぁっ…はぁっ…」

「大丈夫か?ボロボロではないか…腕はどうしたんだ」

ファボと一緒に邸を出るとそこには赤髪で同じ顔をした少年が二人いた。
二人とも酷く体がボロボロになっていた。
気を失っている一人を支えながらファボの方へ向かう片腕を失っている少年。

「弟を…ツルギを…お願い…助け…て…」

!!
ツルギ…?
何でそんなボロボロに…

もしかしてこれはツルギ達の過去を見ているのか…?

「…あぁ。安心しろ二人とも助ける。」

気を失っている二人を優しく抱き上げ、邸に連れて行くファボ。

「…っう……」

「目が覚めたか?」

「……僕生きてるの?」

「あぁ。生きているぞ。大事な弟もな」

「…ツルギ……良かった…」

あれからファボが介抱し、一人の少年が目覚めた。
少年は隣に眠っている少年を見て、安心する。

「…腕が…?」

「我が再生させといたぞ。片腕がないと不便だろ?」

「…すごい…ありがとう」

少年は不思議そうに失ったはずの腕を見ている。

「一人でよく頑張ったな。」

「…っ……」

「よしよし。もう大丈夫だぞ」

少年は張りつめていた糸が切れたかのようにファボの胸の中で泣いた。

「そうか…主達はラグースの一員なのだな。」

「……ラグースのこと嫌だよね…押しかけてゴメンね…」

「嫌ではないぞ?気に入らないだけだ!にしし。

それに主のことは好きだぞ。弟のことを守りたくて逃げ出したんだろう?」

「うん…ツルギにはもう悲しい思いして欲しくないの…」

「あぁ。主も悲しい思いをする必要はないぞ。我が面倒見てやるぞ」

「僕は良いの…戻らないと…」

「…何故だ?」

「…弟以外にも大事なヒト達がいるの。このままみんなを置いていけない」

「そうか…小さな体で沢山の物を背負っているんだな」

「そんなことないよ。僕よりもみんなの方が頑張っているから…だから戻ってみんなの力になるの」

そう言い、ツルギの頭に手を乗せる少年。

「…何をする気だ?」

「…ツルギの記憶を消すの」

「…弟はそんなこと望んではいないだろう」

「…きっと目が覚めたらラグースに戻ってきちゃうから。もうツルギは悲しい思いしなくて良いの」

「………。」

「これからは僕の分まで幸せに生きるんだよ。ツルギ」

少年は優しく微笑む。

「…主が選んだ道なら我は止めない」

「うん…ありがとう…ツルギをよろしくね」

「あぁ。たっぷりと愛情を注ぐぞ」

ファボは優しく二人の少年の頭を撫でる。
安心したように笑い、立ち上がる。

「我の名前はファボだ。主は?」

立ち去ろうとする少年にファボは問う。

「ツノヤだよ」

そう言い、その場から立ち去る少年。


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