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第2章 目覚める力

「…ここがデンルトー地区、ラグースのアジト…」

俺たちはラグースのアジトにつき、門を見上げる。
アジトは木々に囲まれており、外部からは見えないようになっている。

「やっほー。来てくれたんだね」

頭上から声が聞こえ、見上げる。
そこには黒いフードを深々と被ったヒトがふわふわと浮いていた。

「アニキ!あのヒト空に浮いてやすぜ?!」

「マジかよ…すげぇ」

「…貴様らこんな状況で何を感心しているんだ。

アイツはおそらく風の民だろう。
風の民は、風の力を使い宙に浮くこともできると聞いたことがある。」

なるほど!と純粋に感心する俺とラッスター。
そんな俺たちを見て、カヌヤは片手で頭を抑える。

「あれ、君も来たの?」

「ねえ、戦闘狂さん。下りておいでよ。おにぎり作ってきたよ」

そう言い、おにぎりを差し出すツルギ。
おにぎりを受け取り、浮かびながらもぐもぐと食べ出す戦闘狂。

「「………」」

ツルギと戦闘狂の気の抜けたやり取りに唖然とする俺たち。
メディーは頷きながら優しく見守る。まるで弟の勇姿を見守る姉のように。

「君って相変わらず不思議だよね…おかわり。」

「はい。…自分でも不思議だよね。長のせいかな」

「そうかもね…おかわり。」

「はい。…長がオレに初めて教えてくれた料理がおにぎり」

「ふ~ん…おかわり。」

もぐもぐとおにぎりを食べ続ける戦闘狂とそれに応えるツルギ。
フード深く被っているため戦闘狂の表情は見えない。

おいおいおい。
俺たちは一体何を見さされているんだ?
つか、おにぎりどんだけ持ってるんだツルギ。

「ねえ、戦闘狂さん。デイタ君のこと見逃してよ」

「そうだねぇ…君のお願い事なら聞いてあげても良いかな。


…なんてね。オレとしたことが君のペースにすっかり乗せられちゃった」

おにぎりを食べ終え、俺の方を見る戦闘狂。
ツルギはそれは残念。と淡々とぼやく。

そうか…
ツルギなりに何とかしようとしてくれていたんだな。
ありがとうな、ツルギ。
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